【特別企画】厳選した高品位導体を生かした設計
ゾノトーンの主力ラインアップ、Shupreme、Grandio、Royal Spiritの最新インターコネクトケーブルを聴く
■音楽を体感する異次元の再現性。他では得難い音の感動を追求(炭山)
ゾノトーンのラインアップには「Granster」から「Shupreme」まで、レギュラーというべきシリーズ製品があり、価格帯で分けられる以上に各シリーズで音質、品位に共通性を持たせている感がある。またそれらとは別にスポット的な製品もあり、ジャズに特化した「Blue Spirit」はかつて根強い人気を博したが、その後に開発された「RoyalSpirit」は、どのシリーズ製品とも違う、極めて独自性の強い音質傾向を有する。実は、XLRインターコネクトとスピーカーケーブルが、我がレファレンスとして日々音楽を奏で続けてくれている。
ここでは「Royal Spirit AC-1」を取り上げよう。導体はお家芸のハイブリッドで、超高純度7NクラスCuとHiFC、PCUHD、高純度無酸素銅OFCが独自の黄金比で配合されている。1本あたりの太さと撚りの具合を各素材で最適化した導体を、PEコート綿糸の芯材の周囲へ8本配し、さらにそれをホットとコールドの2芯分投入、几帳面な対称構造としたDMHCは同社独自開発の構造だ。絶縁体は高純度のPE、シールドは銅の編組と厚手のアルミラップによる。その外側にPVCの外被覆がかかり、同社を特徴づける青いナイロン編組がかかる。RCAプラグは独自開発の精密加工品、XLRはノイトリック製で、接点は金メッキだ。
「Royal Spirit」は一聴して、妙なる気品と広大無辺の音場感が持ち味だ、ということが分かる。結構オンマイクに感じていた音源も、グッと張り出していたオケが僅かに後ろへ下がり、そこへ鼻腔をくすぐるようなみずみずしさで、クールかつ濃厚なホールエコーが満たされていく。これまで数え切れないほどのケーブルを試してきたが、こんな美音、空間の立体感を聴かせたのは、いまのところこのケーブルのみである。
ジャズは演奏の温度感が少しだけ下がり、その分、やはり録音現場の空間感がよく表現される。溌溂とした演奏ぶりはしっかりと伝えながら、この典雅な持ち味は他で味わえない。ポップスはまさに声が絶品で、人工的に構築された音場も、非常に耳馴染み良く聴かせる。まぎれもなく、他をもって代え難い魅力を有する製品だ。
【Royal Spirit AC-1の仕様】
●導体構成:超高純度7NクラスCu、高機能純銅線HiFC、高純度無酸素銅線PCUHD、高純度無酸素銅OFC●構造:中心にポリエチレンで覆った天然綿糸を振動対策で配置。その周囲に4種類の異種線材・線径の導体に絶縁体を被せた完全独立の8芯導体を配置。これをホット・コールドの2芯としたDMHC方式●導体サイズ:1.25スケア(4芯)×2(計8芯)(片ch)●外部ジャケット:PVCの上に強靱なナイロン編組●絶縁体:高純度ポリエチレン●シールド:銅編組●介在:天然綿糸●外径:15.0mmφ●端子:RCA→ニッケルメッキ・キャップ/24金メッキ・ピン。XLR→ノイトリック社プロ用、金メッキ接点●分岐部から端子までの長さ20cm(※機器のL/Rchの端子間隔が40cm以上は接続不可)
本記事は『ケーブル大全2021→2022』 からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。