音楽ストリーミングサービスを選ぶポイントをチェック
「Apple Music」VS「Amazon Music HD」、音がいいのはどっち? ハイレゾストリーミング比較試聴してみた
■ハイレゾストリーミング3種を聴き比べ。どれだけ違う?
さて、次は現在日本で展開中のハイレゾ/ロスレスストリーミングのAmazon Music HD、mora qualitasと比べてみよう。ちなみに試聴曲は、全サービスで同一フォーマットのものが配信されていた宇多田ヒカル「Beautiful World」(96kHz/24bit)だ。
まずはAmazon Music HD(排他モードオン)とApple Musicで比較したが、これまた毛色がかなり違う。Amazon Music HDは単純な情報量が多く、音場が圧倒的に広い。しかしその反面、情報量の多さゆえにところどころで音が飽和したり、ボーカルなどの輪郭がややぼやけるような印象も受けた。
Apple Musicはそれぞれの音の解像感や定位感が高く、全体的にシャープな印象。ただ、裏を返せば小綺麗にまとめ上げているため、広がりに物足りなさを感じる場面もあった。
簡単にまとめるなら、Amazon Music HDは音場重視、Apple Musicはモニターライクな解像感重視のサウンドといったイメージ。どちらの方が“良い音”に感じるかは個々人の好みによるところが多いだろう。実際、編集部内でもAmazon派とApple派がハッキリと分かれていた。
次はmora qualitas(排他モードオン)とApple Musicで聴き比べてみたが、率直に申し上げて、音質はmora qualitasの圧勝だった。つい少し前までAppleの方が音がいい、いやAmazonの方が上だと言い合っていた編集部員たちが全員黙りこくり、「これが本当の良い音だよな」と悟りを開いたような顔つきになっていた。
ハイレゾらしいたっぷりした情報量がありながら、決して膨らんだり飽和することもなく、解像感、定位感もしっかり確保。moraと比べるとAmazonは情報過多だし、Appleは小さくまとまりすぎている。
ただ惜しむらくは、Amazon Music HDやApple Musicと比べて楽曲数が少ないことや、ソフトの動作がもっさりしていること、そして現時点で月額2,178円(税込)と割高なことだ。ユーザビリティの面では遅れをとるものの、それを補って余りある高音質なので、「音質最重視」という方であればmora qualitas一択だろう。
Apple MusicとAmazon Musicが追加料金なしでハイレゾ/ロスレスに対応し、また日本でのサービスがどうなるかは不明だが、Spotifyもロスレスストリーミング「Spotify HiFi」を今年後半から開始するとアナウンスしている。2021年、音楽ストリーミングは新たな領域に足を踏み入れた感がある。
先述の通り、Apple MusicとAmazon Musicのどちらを選ぶかは個人の好みによるところが大きい。また、中にはSpotify HiFiがローンチするまで様子見だという方もいるだろう。どれを選択するかは非常に悩ましいところだが、幸か不幸か、今は自宅で音楽を聴く時間がたっぷりある。
現在、Apple Musicは無料トライアルが可能で、Amazon Musicは6月22日までの期間限定で4ヶ月無料のプライムデーキャンペーンを開催している。どちらも長期間の無料体験が可能なので、じっくりと使い込みつつ、どの音楽ストリーミングを選ぶか検討してみてはいかがだろうか。