リアカメラモデルと車内用赤外線カメラモデル
「使い勝手を極めた」2カメラドライブレコーダー。ケンウッド「DRV-MR760/MP760」レビュー
手で操作しても良し、音声で操作しても良し、ケンウッドはこのインターフェースで良い流れを作ったなぁと実感した次第だ。
リアカメラはスリムな横長形状となっており、ここにはフロントと同様のフルハイビジョン対応センサーが備わる。走行中のナンバープレートや標識なども鮮明に記録できるスペックを持ち、ドラレコでは定番機能ともなったLED信号機の点灯周期と干渉しないフレームレート設定ともしている。
そして、本機はカメラを活用した安全運転支援機能を搭載しているのも大きなポイントだ。これまでもケンウッドは自社製のドラレコに「前方衝突警告」「車線逸脱警告」「発進遅れ警告」「リフレッシュ通知機能」「エコドライブ表示機能」を搭載してきたが、新たに3タイプの「あおり運転検知機能」を追加した。これは対象車両を検出すると、画面や警告音で知らせるだけでなく、自動的にイベント記録をスタートさせるというものだ。
対象となる1つめは「前方割込警告」で、走行中に前方10m以内の至近距離で割り込んだ場合に作動。2つめは「前方蛇行運転警告」で、走行中に自車の前方20m以内で蛇行する車両を検出した時に作動する。3つめは「後方急接近警告」で、自車の5m以内に接近し、それが3秒以上連続すると作動するというものだ。後方車両を対象にしたドラレコはこれまでも存在したが、前方車両にまで対応したのは本機が初。これは大きな安心感を与えてくれそうだ。
カメラは前後共に最大約368万画素の高画素タイプを採用。映像回路にはHDR機能を搭載して、逆光やトンネルの出入口など明暗差の激しい環境下でも、白飛びや黒つぶれの発生を最小限にとどめている。フロントカメラで撮影した昼間の映像は極めてクリアで、解像度も十分あって先行車のナンバーも十分読み取れる。画角も水平で126度と十分な広さがあって、側方から近づいて来る対象も十分捉えることができていた。ドラレコとして申し分のないスペックだ。
夜になると全体に解像度は甘めとなるものの、先行車のナンバーは十分読み取れるレベルにある。すれ違う対象がブレ気味となるのも、都会など灯りが十分にある場所なら記録に問題はなく、このクラスとしては標準的なレベルにあると言っていいだろう。
リアカメラの画角はフロントと同じ126度となっているが、後続車の監視を目的とするならば画角は少し狭くした方が良かったかもしれない。とはいえ画質は発色も良好で解像度も十分。スモークガラス越しということで、むしろコントラスト比が高まったことが鮮明さにプラスとなったようだ。一方で輝度が下がると全体にモヤがかかったようになる。昼間の画質が良好だっただけに少々残念ではあった。
一方のMP760に付属する車内用赤外線カメラの映像はどうか。こちらは昼夜を問わず、十分な解像度で撮影できている。もちろん、暗所では赤外線が発光されて映像がモノクロとなってしまうが、それによって鮮明さは増すようにも見える。撮影範囲も前席から後席まで十分な明るさとなって撮影されており、万一のアクシデントには本体底部のRECボタンをワンプッシュすればいい。これで車内の様子はこのカメラで鮮明記録されるのだ。
「DRV-MR760」と「DRV-MP760」とも、セットには32GBのmicroSDカードが付属。ドラレコにとって重要なフォーマット作業を不要とする「SDカードメンテナンスフリー機能」も搭載し、記録エラーを最小限にとどめられるのも嬉しいポイントだ。ドラレコは様々な種類があって、その中から一台を選び出すのに悩む人が少なくない状況だが、こうした記録にまでしっかりと配慮したドラレコは意外にも数は少ない。
ケンウッドが長年の経験に基づいて進化させた独自技術は、日常ドライブでの不安を低減させるのに大きく貢献するはず。そんな機能を搭載した「DRV-MR760」と「DRV-MP760」はユーザーの安心ドライブを生み出すのに最適な一台となってくれるだろう。追加のカメラをリア用とするか車内用とするか、用途に応じて最適な一台を選んで欲しい。