画質、逆光や夜間での対応力などをチェック
デジタルルームミラーとドラレコが合体、ケンウッド『ミラレコ』を試す。その大きなメリットとは?
さらにミラレコはデジタルルームミラーとしての使い勝手でも数々のメリットをもたらした。たとえば後席に人が乗車していても、ラゲッジルームに荷物を満載していても後方の視界が妨げられないメリットを生み出す。しかもフロント/バックカメラともに高感度センサーを採用することで、夜間やトンネル内を走行しても従来の鏡面式ミラーを上回る明るさで映し出せる。つまりミラレコは、ドラレコとして映像を記録しながら常に良好な後方視界が得られるという、安全走行に大きなメリットをもたらしているわけだ。
搭載したカメラは前後ともに、特に暗所での撮影に優れた能力を発揮する1/2.8型のフルカラーCMOSセンサー「STARVIS」を採用した。フロント用カメラは最大記録画角の広さも大きな魅力で、水平約143°、垂直約76°、対角約170°と、数あるドラレコでも最大級のカバー範囲を備えている。これならフロントウインドウが傾斜してガラスエリアが広いクルマでも十分に対応できると思う。
一方のバックカメラは最大記録画角を水平約107度、垂直:約5度、対角:約132度とフロントよりも抑え気味だ。これは後続車両の姿をより鮮明に捉える効果を狙ったもので、これによって、たとえば後続車のナンバーやドライバーの表情までも鮮明に映し出せる。今もなお多発する “あおり運転” 対策としても極めて有効なスペックと言えるだろう。
また、バックカメラはリアウインドウの内側に取り付ける。となるとスモークガラスの影響が気になりそうだが、ミラレコではそんな心配はまったく無用だ。ケンウッドはスモークガラス越しの撮影でも画質調整を得意としており、ミラレコでも最適に調整されている。そのため光量が低くなる夜間でも影響はほとんどなし。むしろ昼間はスモークガラスがNDフィルターのような効果を果たし、コントラストがほど良く効いた映像として再現されるのだ。
記録されたドラレコ映像の画質は十分に納得が行くものだった。フロントの映像は強調感のない滑らかさが持ち味で、発色も自然で素直に美しさを実感できる。輝度の変化を自動的に調整する「WDR」も搭載し、たとえば明るいところからトンネルに入ったときや、逆にトンネルから明るい場所に出たときのように輝度が変化したときでもしっかりと追従。全体に明るさを抑え気味の傾向があり、白飛びが発生するようなシーンもほとんどなかった。これは、夜の撮影でライトの照らされたナンバーを白飛びしにくくするメリットも生み出している。
ミラレコは、ケンウッドが日本で使うユーザーの立場で本気になって造り込んだ製品。ルームミラーに取り付けたときもまったく違和感がないし、超ワイドディスプレイによる圧迫感も感じさせない。デジタルルームミラーという先進性もありながら高機能。ミラレコは安全安心の意識が高い人はもちろん、最近の新車を見てその格好良さに惹かれる人にとっても打ってつけの一台となることだろう。