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今“あえて”フルサイズコンポを選ぶ魅力とは? デノン現行エントリーモデルが持つ“望外な実力”

公開日 2021/09/29 06:30 野村ケンジ
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続いて、CDプレーヤー「DCD-600NE」についてもチェックしていこう。

機能的にはシンプルなCDプレーヤーだが、その分音質面へのこだわりが随所に反映されている

機能的にはCDに加えてデータディスク(CD-RやCD-RW)のMP3、WMA音源の再生に対応、出力はアナログと光デジタル出力を装備と、比較的シンプルな内容となっているが、そのぶん、音質面では強いこだわりが随所に反映されている。

デノン独自のアナログ波形再現技術「AL32 Processing」を搭載し、32bitの拡張処理を行うことで、より自然な音を再現。加えて、基板上の信号経路を可能なかぎり短くするなど回路の最適化を行うことで、回路内での干渉や外来ノイズによる音質劣化を防止しているという。また、独自の3300μFブロックコンデンサーや、アナログオーディオ回路に「DCD-2500NE」など上位モデルで使用されている高品位パーツも数多く投入されている。もちろん本機のパーツ選定やチューニングも、山内氏の手によるものだ。

フルサイズであることの優位性は、改めて言うまでもないだろう。確かに設置するためのスペースは必要となるものの、PMA-600NEなどとセットで置いた時のオーディオ然とした佇まいは、やはり格別。良い意味での存在感が所有欲を満たしてくれる。

エントリークラスとは思えない鮮度感と情報量、良質なサウンド

D&Mの試聴室にて試聴を行なった

技術情報を見るかぎり、そのサウンドは大いに期待できるが、実際はいかがなものだろうか。ということで、まずはスマートフォン(Xiaomi「Mi 11 Lite 5G」)をAACコーデックでPMA-600NEに接続し、そのサウンドを確認してみた。

ほかの商品に失礼な言い方かもしれないが、はっきりいって、一体型のBluetoothスピーカーとは格別の音。チェックに使ったのがハイレゾ音源だということもあってか、Bluetoothゆえの情報不足やダイナミックレンジの狭さは感じるものの(それでもAACコーデックは比較的良好なほうだと思う)、歪み感のない素直な音色のため、どんなジャンルの音楽を聴いても楽しい。

Jポップは迫力ある印象的なサウンドを聴かせてくれるし、女性ヴォーカルは普段よりも幾分活き活きとした表現の力ある歌声に感じられる。ハードロックも、ノリのいい疾走感溢れる演奏が楽しめる。唯一、Bluetoothならではの弱点である抑揚幅不足からオーケストラはこぢんまりした音になってしまうが、気になったのはそのくらいで、総じて表現力豊かな、かつ鮮度感の高いサウンドだと感じた。

続いて、本命であるDCD-600NEとPMA-600NEの組み合わせを聴いてみよう。DCD-600NEはディスプレイやデジタル出力を停止させた「ピュアダイレクトモード」、PMA-600NEはデジタル入力回路を停止させた「アナログモード」に設定し、RCAケーブルで接続してCD試聴を行った。

Bluetooth接続でも高レベルな音質だが、組み合わせてのCD再生は“望外なサウンド”だ

とてもピュアな、かつダイレクト感の高いサウンド。弦楽器はボーイングの細かなニュアンスまでしっかりと伝わるので、とてもリアルな音に感じるし、ピアノは凜とした響きを持ち併せているうえ空間に広がる様子まで見えるかのよう。エントリークラスとしては望外の高い鮮度感と豊富な情報量を持つ、とても良質なサウンドだ。

特に、クラシックなどアコースティック楽器との相性がよく、チェロもヴァイオリンも魅力的なサウンドを奏でてくれる。さらに、女性ヴォーカルは普段感じないほどの明瞭さを持つ、ヌケのよい溌剌とした歌声を聴かせてくれる。なんともフレッシュで、なんとも心地よいサウンドだ。上位機種との直接比較をしないかぎり、これで充分と思える質のよさだ。

これも、山内氏という確かな指標を持つゆえの、迷いのないサウンドの表れだろう「DCD-600NE」と「PMA-600NE」の組み合わせは、価格以上の価値を持つ、魅力的なサウンドだと断言しよう。価格も含めて、多くの人にオススメしたい製品だ。

(協力:D&Mホールディングス)

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