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Blue“XLRマイク”なら宅録/配信もプロレベル! 録りたい音に合わせて選べる入門3機種レビュー

公開日 2021/11/01 06:30 岩井 喬
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各モデルのサウンドを実際にチェック!

それではここからは、3種類のマイクそれぞれがどのような音色を持っているのか、実際に同じシチュエーションで録音を行って聴き比べてみよう。読者の皆さんにもその音色の違いを体感いただけるよう、録音ファイルは動画として公開しているので、まず音を聴きたい!という方はこちらを参照されたい。



録音はバンド経験のあるPHILE WEB編集部員にアコースティックギターを演奏してもらい、各マイクとも同じポジションを狙えるようマイクスタンドから付け替えた状態で実施。USBインターフェースはローランド製のもの、録音ソフトウェアは『GarageBand』にて44.1kHz/24bit録音を行った。

録音時の注意としては、ショックマウントをスタンドに装着する際はマイクを付けた状態で行わないことと、ファンタム電源のON/OFFは音量レベルを絞った状態で行うようにしたい。また、ボーカルなど声の録音時には、吹かれ(ポップノイズ)を抑えるためのポップガード(ウインドスクリーン)をマイクカプセルの前にセットするとよいだろう。

今回のアコースティックギターの録音では、ネックの付け根とサウンドホールとのちょうど中間の位置を狙い、弦から30cmほど離れた場所にマイクをセット。弦のアタックの煌びやかさ、ボディの響きの豊かさをバランス良く収録できるポジションである。

アコースティックギターで実際に録音を実施。のネック付け根とサウンドホールの中間を狙い、弦から30cmほど離れたポイントにマイクを設置した

用意されたスイッチのうち、-20dBパッドはドラムセットのキックドラムやギター/ベースアンプなど、大音量を放つ音源に対してセッティングする際に使うものであり、ボーカルやアコースティックギターに対して使うことはそう多くはないだろう。

ハイパスフィルターは、低周波のランブルノイズや振動の影響によって録音レベルを低く抑えなくてはならなくなる事態を避けられるよう、影響の強い低域成分を抑え込むために用いられる。音質重視で低い周波数レンジまできちんと収音したいときは無効とした方が良いが、低域成分を意図的に抑えたい場合はその限りではない。ただ、そうしたケースにある場合は、マイクセッティングから見直した方が良いこともある。

まずはSpark SLから試してみる。弦のアタックのスッキリとしたヌケ感と、胴鳴りの厚みを程よく融合した音色で、アコースティックギターの豊かな響きをバランス良く捉えているように感じた。

Spark SLはニュートラル志向なサウンドで、ギター以外でも全般的に対応できる

ここでは-20dBパッドを入れた時(GarageBandの録音レベル、マイクと楽器との距離は通常時と同じ)と、ハイパスフィルターを入れた時のサウンドも録音しているので、動画コンテンツから実際にその差を確認いただきたい。特にハイパスフィルターONの場合はボディの響きが抑えられ、弦のアタック、ピッキングの粒立ちの良さがより生かされた音となる。

収音の距離や方法などでも違いは出るが、基本的にニュートラル志向のバランスの取れたサウンドなので、各々の楽器の本質を捉えてくれるように感じた。ギターだけでなく、ボーカルやピアノ、ドラムなど、全般的に対応できるだろう。特にドラムやピアノは2本使ったステレオ録音とすることで、広がりのある空間性豊かなサウンドにすることができる。

Bluebird SLはボディの響きを引き締め、より弦のアタックの煌びやかさ、ピッキングの鮮やかさが一音一音シャープに際立つ。余韻の澄んだ響きは実に爽やかなものだ。しかしボディの密度感や弦そのものの厚みはしっかりと感じられ、バランスの整った解像度指向のサウンドであることがわかる。

Bluebird SLは解像度志向。細かなニュアンスもメリハリ良く捉えてくれそうだ

凛とした音像の輪郭を引き立てる傾向にあるので、ボーカルの息遣い、弦楽器の艶やかな倍音表現、ピアノの澄んだ高域のタッチ、アタックのキレや硬さもスッキリと明瞭に描き出してくれるだろう。

コンデンサーマイクは感度が高いのも特長であり、微かなニュアンスも拾い上げてくれる。特に本モデルは透明感のなかに芯のある音質傾向を持っており、そうした細やかなニュアンスもメリハリ良く捉えてくれるように感じられる。その反面、タッチノイズや小さな物音も拾いやすくなるため、録音の際は気を付けるようにしたい。

Baby Bottle SLは、よりボディの響きにスポットを当てているような、低域の厚みが豊かな音質傾向だ。しかし弦の粒立ちをつかさどる高域のニュアンスは損なわれておらず、角の取れた耳馴染み良いアタック感を聴き取ることができる。艶やかで存在感のある音色だ。

Baby Bottle SLは低域の厚みが豊かで、ウォームなサウンドを録る時には大いに活躍してくれる

全体的に低域方向の存在感が高いので、今回のアコースティックギターの収録にあたっては、本来ならば今少しペグ寄りに動かしても良いだろう。あくまで本レビューは、全てのマイクを同ポジションで比較するという前提条件に基づいていることを踏まえていただければ幸いだ。

逆にこの低域の豊かさがウォームな音色へと繋がっているので、落ち着いたトーンを求めたいときには有効に作用する。ささやくようなウィスパーボイスの収録にも最適だろう。しっとりとした艶やかなボーカル表現、弦楽器の中でもチェロなど低域に特徴を持つパートの収録や、金管・木管楽器、ピアノにおいてもローエンドの豊かさを主張できそうだ。



Blue XLRシリーズは、エントリークラスながらリーズナブルさを感じさせない本格的なサウンドであり、入門機では省略されがちなパッドやハイパスフィルターなどの機能性も備えた、幅広いシーンで通用する製品である。

ライブ配信やテレワークへの活用でも、そのハイクオリティな音質で送り手/受け手ともに満足のできる結果を得ることができるだろうし、プロユースさえも見据えた、初めてのコンデンサーマイクとしてもお勧めできる製品群だ。

どれにするか迷う場合は最もリーズナブルでバランス指向のSpark SL、声のエッジやスッキリとした解像感の高さが欲しい場合はBluebird SL、落ち着き良くしっとりしたサウンドを求めているのならBaby Bottle SLがフィットするだろう。この3モデルを起点に、XLRマイクの奥深さをぜひとも楽しんでいただきたい。

(協力:ロジクール)

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