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【PR】注目モデルレビュー第2弾

発売直前! 完全ワイヤレス初の“ウッド振動板”搭載機、ビクター「HA-FW1000T」徹底レビュー!

公開日 2021/11/04 06:30 岩井 喬
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K2テクノロジーを入れると倍音の豊かさが感じられ、管弦楽器やボーカルの質感に潤いが生まれる。低域の豊かさも増すが、倍音が加わることでアタック成分もより明確となるようだ。比べるとK2テクノロジーなしの方はドライな質感だがニュートラル傾向、K2テクノロジーありではニュートラル軸を基本としつつ、艶良く潤いのあるタッチで描き出す。ボーカルなどのセンター定位をより明確に引き立て前方へ出てくるイメージだ。

独自処理でワイヤレス伝送を高音質化する「K2テクノロジー」を搭載

特にオーケストラの余韻や楽器のふくよかなボディ表現については、WOODシリーズならではの豊潤な響きを感じさせ、非常に心地良いものとしてくれる。K2テクノロジーは接続したコーデックに応じて最適なアルゴリズムで音質調整されているそうなので、K2テクノロジーを入れたままでその豊かなサウンドを普段から楽しむのが最良といえそうだ。

ロック音源のディストーションギターはボディの響きの厚みも伴った軽やかなリフを聴かせ、リズム隊は密度良くどっしりとした安定感ある響きとなる。ボーカルはハリ感良く爽やかで、スッキリと前方へ浮き立つ。輪郭感とアタックの明瞭さもあり、低域を豊かに出しつつもキレ感の伴った耳馴染み良いサウンドである。

L/R表記はモニターヘッドホンライクな青/赤になっている

ジャズ音源においてはピアノやホーンセクションの音伸び、清廉さが自然に感じられ、ヌケの良い丁寧なサウンドが展開。女性ボーカルは肉付き良くナチュラルで、艶やかな口元の動きも潤い良く滑らか。ウッドベースのむっちりとした弦の倍音表現と胴鳴りの豊かさも充実している。

ケースをポケットから取り出すところ

■トップエンドの完全ワイヤレスに相応しい堂々たる存在感

シャープ製スマホ「AQUOS R3」との間でaptX Adaptive(48kHz/24bit伝送)接続した際の音質についてはどのコーデック接続時よりも流麗でバランス良く、濃密なサウンドとなる。実にWOODモデルらしい響きの豊かさ、伸びやかさを兼ね備えており、上位の有線モデルを思わせるリッチな表現を楽しめた。

キャノンボール・アダレイ『Somethin’Else』の「枯葉」はコシ良く太さのあるサックスと、マイルスの落ち着いたミュートトランペットが音離れ良く浮かび上がる。空間表現に優れており、演者の細やかなニュアンスも丁寧かつ朗らかに引き出す。ベースのエナジーを凝縮した跳ね感やスネアブラシの透明感、奥行きよく浸透性の高い余韻の階調表現も見事だ。宇多田ヒカル「One Last Kiss」では抑揚良くしなやかに描かれるボーカルが艶の乗った滑らかな質感を纏い、耳元へ届けられる。音色のやさしさと芯の強さを持っており、太く粘るベースラインの逞しさにも負けてはいない。

HA-FW1000Tはビクターの集大成的完全ワイヤレスモデルとして、機能性・音質共に磨き上げられた逸品として仕上げられた。音楽制作現場で必要とされる原音追求の姿勢に最先端のノイズキャンセル機能。そして長年培ってきた木の振動板から放たれる艶良く豊かな響きとの理想的な融合を絶妙なバランスで実現させている。完全ワイヤレス機のなかでもトップエンドクラスに属する製品として、その地位に相応しい、他にはない個性に溢れた堂々たる存在感を放つ製品といえるだろう。

<試聴音源>
〇レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『ホルスト:惑星』〜木星
〇オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー
〇デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ
〇『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋、夢であるように

(協力:JVCケンウッド)

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