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ワイヤレス全盛時代における存在意義とは?

いま、あえて有線イヤホン。約1,000円のお手軽機、JVC「HA-FX6」を聴く

公開日 2021/12/24 06:30 工藤寛顕(だいせんせい)
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デザインといえば、6色の豊富なカラーバリエーションも嬉しい。この辺りの価格帯のイヤホンはビビッドでハッキリとしたカラーが多いイメージだが、本機は高級感のあるメタリック仕上げ。手に持った感じとしては流石にある程度安価な印象はあるものの、年齢や男女を問わず、着けていても安っぽく感じさせないような見た目に仕上がっている。

また、今回試用させていただいたホワイトモデルはApple製品とも相性が良く、他のカラーもガジェット製品やファッションにも合わせやすい落ち着いた色合いの物が多かった。この辺りも普段使いしやすいポイントといえるだろう。

全6色のカラーバリエーションで展開

■重低音モデルにも定評のあるJVCらしいサウンド

それではサウンドもチェックしていこう。Apple MusicでYOASOBI「三原色」を再生すると、低域のパワーが強く、キックがズシンと重く響く音作りは重低音シリーズにも定評があるJVCのそれを思わせる。

また、低域が印象的ながら、意外とボーカル周りもマスキングされすぎず、歌モノも楽しく聴ける。ダンスミュージックやアニメソングなど、ハイテンポなジャンルとも相性は良さそうだ。音色としてはやや硬質で、打ち込みの細かなビートもなかなか粒立って聴こえる。

続いて平井堅の「ノンフィクション」を再生。男性ボーカルの低音成分もグッと持ち上げられていて聴きごたえがある。アコースティックな楽器の質感は流石に価格相応ながら、実売1,000円前後という非常に安価な価格設定を考えると「結構頑張ってるな」と感じさせてくれる仕上がり。

オーケストラなどのスケール感の大きなジャンルになってくると描写力不足は否めないが、コントラバスなどの厚みはパワフルに再生してくれるため、再現性や精細さなどはともかく、臨場感は悪くない。たとえば近年ではゲームのBGMにオーケストラサウンドが採用されることも少なくないが、そういったシーンで迫力あるプレイが楽しめるだろう。

迫力というポイントでいうと、アクション映画などともマッチするサウンドだ。Amazon Prime Videoで視聴した『ヴェノム』では、エンジン音や爆発、車の衝突が大迫力で描かれるカーチェイスシーンを楽しめた。

スマートフォンに接続して使用する場合、音楽再生だけでなく、むしろゲームや映画などのマルチなコンテンツを常に切り替えながら使っているような人も少なくないはず。低域の強いサウンドというのは音楽的には好みが分かれるところだと思うが、あらゆるコンテンツでの使用を想定した場合、ある種の万能型ともいえるバランスなのかもしれない。ざっくり言うと、「なんとなく着けっぱなしでずーっと使う」ような人に向いているということだ。

ポータブルオーディオシーンが移りゆく中においても、HA-FX6のような低価格なイヤホンの立ち位置は大きく変わっておらず、とりあえず1本持っているサブ機、もしくはオーディオに興味のない人が使っているイヤホンという扱いをされることがほとんどだと思う。

しかし、安価で使いやすいイヤホンということは、裏を返せば「ラフな使用に特化できるイヤホン」ともいえる。ワイヤレス全盛の今、有線イヤホン自体がサブになってしまっているユーザーも少なくないと思うが、そんな中でも有線イヤホンが必要になってくるシーンは意外と多い。ワイヤレスイヤホンの充電が切れた時や、ゲーム機などのBluetooth非対応機器への接続などの「パッと使いたい」場面に、あるいはハイエンド機よりも使いやすいこともある安価な有線イヤホンは、入手性の高さや価格設定も相まって、カバンやデスクトップに気軽に1本用意しておくのにピッタリな選択肢となるはずだ。

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