【特別企画】オーディオ銘機賞2022 銀賞受賞
AB級ならではのパワー感も魅力。アキュフェーズ50年の技術を投入したプリメイン「E-5000」
アキュフェーズ創立50周年記念モデル第4弾のAB級プリメインアンプ「E-5000」は、これまでのプリアンプ、パワーアンプの開発で培ってきた技術を投入したモデル。AB級プリメインのフラグシップとしての完成度の高さが評価され、「オーディオ銘機賞2022」にて銀賞を受賞した。
■アキュフェーズ史上最大の出力を実現したAB級フラグシップ機
落ち着きのあるシャンパンゴールドのフロントパネルとレベルメーターは、すっかりアキュフェーズのインテグレーテッドアンプの顔となり、日本のみならず世界中で高い人気を誇っている。それは、その洗練されたデザインばかりではなく、独創的な技術が内部に搭載され、マスター音源に迫る臨場感に溢れた音楽を眼前に展開してくれるからだ。
同社は、今年創立50周年を迎え、その記念モデルとして新しいAB級フラグシップ・インテグレーテッドアンプ「E-5000」を登場させた。その姿で印象的なことは、高さ211mm。これは、記念モデル第一弾の「E-800」に次ぐ、存在感を引き立てる大きさだ。
特筆すべき技術的特徴としては、同社のインテグレーテッドアンプとして出力電力を史上最大のスペックとし、E-800に可能な限り近づけた仕様にしていることだ。その注目のポイントを紹介しよう。
それは出力電力(定格連続平均出力)で、240W/ch(8Ω)、350W/ch(4Ω)を出力する。ヒートシンクに取りつけられた出力段基板を確認すると、パワー・トランジスターが5パラレル・プッシュプル構成であることが理解できる。この基板上の信号入力部と電力増幅部は、インスツルメンテーション・アンプ構成で完全バランス伝送し、同一回路を並列駆動させることにより、歪み率など諸特性を向上するMCS+回路が搭載されている。
高域の位相特性に優れたカレント・フィードバック増幅回路を構成していることも特徴。実に精密感に溢れた回路だ。
次に注目することは、電源部だ。大型高効率トロイダルトランスを1基、40,000μF/100Vの同社仕様による大容量・高音質フィルターコンデンサーを2式搭載し、強力で安定した電源部を実現している。さらに小信号を扱うプリアンプ部では専用電源回路を搭載し、パワーアンプ部との干渉を防止。その搭載位置もパワーアンプ部から分離されている。その結果として、本機は入力端子から出力までフルバランス構成であるため、E-800と同じくダンピングファクター1,000という優れた特性を達成した。
そのほかの注目点は、同社が長年進化させてきたバランスドAAVAボリュームを搭載することだ。これは、一般的な軸摺動型ボリュームとは違い、経年劣化しないばかりではなく、簡単に表現するなら、電圧信号を電流信号に変換し音量調整する可変利得アンプのような構成となっており、SN比を劣化させず、滑らかで、微妙な調整も可能になる。この基板も実に精密感があり、美しい。
さらに、手触りが良く適度な重みを感じるボリュームツマミには、高精度で重厚なセンサー機構も搭載されている。まさにハイエンドオーディオとしての質感を鮮明にしている。回路全体を見渡すと、伝送距離を短くし、音質劣化になる箇所に工夫をしている。例えば保護回路のMOS FETスイッチだ。
■高解像度な空間描写性で演奏の臨場感を鮮明に描く
注目するのは、もちろんその音質だ。まず楽器数が少なく、穏やかなヴォーカル曲を再生した。そこで感じたことは、高解像度な空間描写性で、奏者の実在感や演奏の臨場感を鮮明にしたことだ。しかも弱音の再現性が高いので、A級アンプに迫る豊潤な倍音も体験できる。
次に愛聴盤のレンジの広いジャズやクラシックを再生すると、搭載技術が活かされ、低音を引き締めパワー感を実感させる制動力の高さも体験できた。格別にダイナミックレンジの広いワイドレンジ特性であり、A級のE-800の持つわずかにクリーミーで暖色系の音色も感じた。
こうした特徴ゆえ、私はE-5000を高く評価している。長く愛用できることからも、まさに受賞モデルに相応しいモデルと言え、大いに推薦したい。オプションスロットに高品位な「DAC-60」や「AD-50」を組み込み、ハイレゾやレコード再生も楽しみたいものだ。
(提供:アキュフェーズ)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.183』からの転載です。
■アキュフェーズ史上最大の出力を実現したAB級フラグシップ機
落ち着きのあるシャンパンゴールドのフロントパネルとレベルメーターは、すっかりアキュフェーズのインテグレーテッドアンプの顔となり、日本のみならず世界中で高い人気を誇っている。それは、その洗練されたデザインばかりではなく、独創的な技術が内部に搭載され、マスター音源に迫る臨場感に溢れた音楽を眼前に展開してくれるからだ。
同社は、今年創立50周年を迎え、その記念モデルとして新しいAB級フラグシップ・インテグレーテッドアンプ「E-5000」を登場させた。その姿で印象的なことは、高さ211mm。これは、記念モデル第一弾の「E-800」に次ぐ、存在感を引き立てる大きさだ。
特筆すべき技術的特徴としては、同社のインテグレーテッドアンプとして出力電力を史上最大のスペックとし、E-800に可能な限り近づけた仕様にしていることだ。その注目のポイントを紹介しよう。
それは出力電力(定格連続平均出力)で、240W/ch(8Ω)、350W/ch(4Ω)を出力する。ヒートシンクに取りつけられた出力段基板を確認すると、パワー・トランジスターが5パラレル・プッシュプル構成であることが理解できる。この基板上の信号入力部と電力増幅部は、インスツルメンテーション・アンプ構成で完全バランス伝送し、同一回路を並列駆動させることにより、歪み率など諸特性を向上するMCS+回路が搭載されている。
高域の位相特性に優れたカレント・フィードバック増幅回路を構成していることも特徴。実に精密感に溢れた回路だ。
次に注目することは、電源部だ。大型高効率トロイダルトランスを1基、40,000μF/100Vの同社仕様による大容量・高音質フィルターコンデンサーを2式搭載し、強力で安定した電源部を実現している。さらに小信号を扱うプリアンプ部では専用電源回路を搭載し、パワーアンプ部との干渉を防止。その搭載位置もパワーアンプ部から分離されている。その結果として、本機は入力端子から出力までフルバランス構成であるため、E-800と同じくダンピングファクター1,000という優れた特性を達成した。
そのほかの注目点は、同社が長年進化させてきたバランスドAAVAボリュームを搭載することだ。これは、一般的な軸摺動型ボリュームとは違い、経年劣化しないばかりではなく、簡単に表現するなら、電圧信号を電流信号に変換し音量調整する可変利得アンプのような構成となっており、SN比を劣化させず、滑らかで、微妙な調整も可能になる。この基板も実に精密感があり、美しい。
さらに、手触りが良く適度な重みを感じるボリュームツマミには、高精度で重厚なセンサー機構も搭載されている。まさにハイエンドオーディオとしての質感を鮮明にしている。回路全体を見渡すと、伝送距離を短くし、音質劣化になる箇所に工夫をしている。例えば保護回路のMOS FETスイッチだ。
■高解像度な空間描写性で演奏の臨場感を鮮明に描く
注目するのは、もちろんその音質だ。まず楽器数が少なく、穏やかなヴォーカル曲を再生した。そこで感じたことは、高解像度な空間描写性で、奏者の実在感や演奏の臨場感を鮮明にしたことだ。しかも弱音の再現性が高いので、A級アンプに迫る豊潤な倍音も体験できる。
次に愛聴盤のレンジの広いジャズやクラシックを再生すると、搭載技術が活かされ、低音を引き締めパワー感を実感させる制動力の高さも体験できた。格別にダイナミックレンジの広いワイドレンジ特性であり、A級のE-800の持つわずかにクリーミーで暖色系の音色も感じた。
こうした特徴ゆえ、私はE-5000を高く評価している。長く愛用できることからも、まさに受賞モデルに相応しいモデルと言え、大いに推薦したい。オプションスロットに高品位な「DAC-60」や「AD-50」を組み込み、ハイレゾやレコード再生も楽しみたいものだ。
(提供:アキュフェーズ)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.183』からの転載です。