HOME > レビュー > 軽量かつ高精度を徹底追及。パワーアンプの真価を限界まで引き出す「グランドマグネシア」

【特別企画】AAEX2022 グランプリ受賞

軽量かつ高精度を徹底追及。パワーアンプの真価を限界まで引き出す「グランドマグネシア」

公開日 2022/02/28 06:30 福田雅光
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ティグロンの新世代オーディオラック「GRAND MAGNESIA(グランドマグネシア)」。その音質効果はもちろんのこと、スタック式を採用したことによる使いやすさも相まって、絶大な人気を獲得している。今回、福田雅光氏が1段式ラックをパワーアンプ用として自宅に導入。「オーディオアクセサリー銘機賞2022」でも最高賞の“グランプリ”を獲得したこのラックの魅力を、旧モデルとの比較も交えてお伝えする。

TIGLON「GRAND MAGNESIA」※写真は1段の「GMR-1」(価格:72,600円/税込)

■物量投入型ではなく、精密で軽い素材へ

コンポーネント・オーディオにとって、システム構成を合理的に使いやすく配置するために、オーディオラックは大切な役割がある。また、ラック内に整然と収まった機材を視覚的に楽しむこともマニアの生きがいとして趣味のオーディオを支えていた。

オーディオ全盛時代、オーディオラックは重くしっかりした板材で作られていることが有利であるという認識が専門誌で伝えられた。手で叩き、響きの軽い製品は敬遠され、物量投入型のラックが主流になった。1980年頃の理想は現在も継承されている要素ではあるが、現在の最先端オーディオラックの設計は飛躍的に研究が進んだ。まるで精密機器のようなデリケートで精度の高い、そして素材の物性も最適な研究が進んでいるのが動向である。

オーディオラックはどのようにして性能を高めるのか。構造は、機器を設置する板材と床に向かい垂直に支持する支柱材によるシンプルなものである。それだけに、機器を直接支えるボード材は重要である。しかし、この材料も単に鳴きがなく分厚い材料が理想というわけではなくなった。広い帯域特性のなかで中間帯域のレスポンスと中高域の性能を高SN比で引き出すためには、MDF材は無難なようで損失が多く最適ではないと判断することができる。

現在、高性能ラックで採用されている板材は驚くほど薄く、それでも優れた効果を発揮するのはSN比が高く振動歪が少ない広帯域な性能ゆえである。

さらに重要なのが、板材を支える支柱の素材と構造であった。ティグロンは、マグネシウム円筒構造をさらに改良し、内部の制振材を見直し、インジウム製Oリング、ステンレスのスパイクなどで構成したのが、今回のグランドマグネシア・シリーズである。

■スパイク構造の威力は絶大。洗練された高SN比に激変

オーディオラックが単なる棚ではなく、オーディオ機器の一部と考えるのが先端メーカーの考えであり、この影響力からすれば同感である。グランドマグネシアは、支柱を改良した新規構造を採用しているのが注目するポイントである。

今回、1段式の「GMR-1」と同社の従来製品である「TMR-1」との音質を比較してみた。搭載したのはアキュフェーズのパワーアンプ「P-4500」で、床の状態はカーペットである。「GMR-1」にすると、洗練された高SN比に激変する。こんなに違いが発生することに正直驚いた。音は純度が高く歪みや混濁が少ない。

福田雅光氏の試聴室にて1段式の「GMR-1」にアキュフェーズのパワーアンプP-4500を載せてテスト。同社の従来モデル「TMR-1」との比較試聴も行った

TMR-1はマグネシウム円柱がそのまま設置される構造であるため、これは新開発のスパイク構造の威力と考えて間違いない。空間は広く澄みきり、音は静かに、中高域のトランジェントに優れる。低音は強力なエネルギーを引き締めダンピング性能が高い。TMR-1はぬるくて甘く、低音は太くゆるく感じてしまう。「GMR-1」の方が価格は高くなるが、その価値は高い。パワーアンプの真価を限界まで引き出してくるような性能をみせる。

グランドマグネシアはスタック式のため、必要に応じで増設が可能。写真は3段仕様の「GMR-3」(217,800円/税込)

パワーアンプの設置はどのようにしているだろうか? フローリングでは床に直接設置することが多いかもしれない。ただ、床はスピーカーの振動がそうとう流れ伝わってくるため、対策した方がいい。とかくパワーアンプはあまりデリケートではないと考えやすいが、設置環境の条件を受けていることが理解できるテストであった。

なお、ボード材はロシアンバーチの9mmと12mmを合わせた複合構造で、さらに剛性を工夫した設計になっている。この優れた組成をリフォームで部屋の壁材に採用したり、ボードを自作して検討したこともあり、板材の中では使いやすく信用している材料である。

今回はオーディオラックの主に支柱材の違いの効果を体験することができ、私の新しい知識に加えられた。

(提供:ティグロン)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.183』からの転載です。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー196号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.196
オーディオアクセサリー大全2025~2026
特別増刊
オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX

本ページからアフィリエイトプログラムによる収益を得ることがあります

NEWS
AV&ホームシアター
オーディオ
モバイル/PC
デジカメ
ホビー&カルチャー
過去のニュース
RANKING
イヤホン・ヘッドホン
AV機器売れ筋
さらに見る
AWARD
VGP
DGPイメージングアワード
DGPモバイルアワード
オーディオ銘機賞
オーディオアクセサリー銘機賞
アナロググランプリ
REVIEW
レビュー
コラム
注目製品クローズアップ
優秀録音ハイレゾ音源レビュー
さらに見る
連載
折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト
高橋 敦のオーディオ絶対領域
山本 敦のAV進化論
角田郁雄のオーディオSUPREME
今週の発売新製品
アニソンオーディオポータル
さらに見る
INTERVIEW
インタビュー記事一覧
さらに見る
BRAND
注目ブランド情報
MAGAZINE
オーディオアクセサリー
analog
ホームシアターファイル
プレミアムヘッドホンガイド
プレミアムヘッドホンガイドマガジン
雑誌定期購読
雑誌読み放題サービス
メルマガ登録
SHOPPING
PHILE WEB.SHOP
通販モール