「オーディオアクセサリー銘機賞2019」受賞モデル
簡潔さと軽量、音質を徹底追求。ティグロンの10周年記念ラックの魅力を分析する
ティグロンからオーディオラックの中核モデル「MAGNESIA EX」シリーズが登場した。この新シリーズは同社の創業10周年の記念モデルとして、2年以上の歳月をかけて開発されたもの。上位シリーズと同じ最高級ロシアンバーチ耐水合板製の棚板や細身ながら高い制振効果を発揮するマグネシウム合金製の支柱で構成。音質はもちろんのこと、軽量で使いやすさも追求したシリーズとなっている。全てが国内生産品で手掛けられた逸品となっている。その効果は高く評価され、「オーディオアクセサリー銘機賞2019」でも見事に「金賞」を受賞している。
オーディオラック
TIGLON
M-EX3
¥87,000/3段(税抜)※標準支柱は200+330mm
開発期間は2年以上
■渾身のラックが誕生
ティグロンの創業10周年を記念して発売された「MAGNESIA EX」。同社が2年以上の開発期間をかけて送り出す、音質面での一切の妥協を排して造り上げた渾身のオーディオラックである。位置付け的には、生産完了となった同社のベーシックモデルTRSシリーズの後継となるモデルだ。
サイズをアップしつつ軽量化
■これまでにない音場の広がり
棚板には、上位オーディオラックである「マグネシアTMRシリーズ」と同じ最高級ロシアンバーチ耐水合板を使用し、支柱には、細身ながらも高い制振性能を実現する直径20mmのマグネシウム合金を採用。支柱の中には珪素が充填されている。機器の設置面積は従来モデルの500W×400Dmmから530W×430Dmmへと拡大され、アナログプレーヤーや大型アンプも余裕を持って設置できる大きさを確保。
各パーツの強度を保ちながらも全体の質量の軽量化を図り、これまでに無い音場の広がりと軽快さを追求したラックとなっている。なお、モデル名の末尾にある「EX」の由来は、「EXPANSION(広がり)」を指し、無駄を排しシンプル化を徹底した構造だからこそ再現できる、自然なサウンドが魅力のモデルとなっている。使用部品は、全て国内製造品が用いられているというこだわりようだ。
豊富なバリエーションが揃い
■価格も比較的リーズナブル
ラインアップは1段タイプから5段タイプまでを用意。1段タイプから順に重量は3.4kg(M-EX1)、7.2kg(M-EX2)、10.7kg(M-EX3)、14.4kg(M-EX4)、17.9kg(M-EX5)となっており、その軽量さがよく分かる。耐荷重は1段あたり50kgとなっているほか、支柱の長さは、標準長に加えて、 70、150、200、280、330mmの5種類から自由に選んで組み合わせることが可能だ。さらに、同社のその他ラックシリーズ同様、棚板や支柱はもちろん、脚や重量キャスターセット、そしてトップエンドピンやソフトスパイクセットなどの豊富なオプションも用意。価格は3段タイプの「M-EX3」で8万7000円(税抜)と、比較的リーズナブルな価格設定となっている。
実物を前にすると、先述した通り、至ってシンプルに設計されているということがよく分かる。棚板の15mm厚ロシアンバーチ合板材は塗装によって仕上げが施されており、うっすらと木目が垣間見える。直径20mmの支柱は、15mm厚の棚板と相まって細身でスッキリとしたプロポーションを構成し、実際に部屋に設置しても圧迫感が少ない佇まいだ。本体を持ち上げてみると、10.7kgという重量のため、3段ラックながら容易に移動することができるのも嬉しい。
余分な付帯音や共振は皆無
■実に明瞭な輪郭を引き出す
今回の試聴にあたっては、3段タイプの「M-EX3」を使用し、プリメインアンプ、DAC、CDプレーヤーをそれぞれ各段に設置してサウンドをチェックした。一聴してすぐ分かるほどの明確な音傾向が浮かび上がってくる。描き出される音ひとつひとつの輪郭が実に明瞭なのだ。例えばオーケストラは、演奏空間の奥行き表現が瞭然化し、ステージの見通しが極めて良好になる。空間に伸びていく楽音の余韻の消え際までをクリアに聴き取ることが出来る。トランペットなど金管楽器のアタックもより明瞭なエッジで描き出され、いっそう鮮やかなイメージで空間に響き渡る。
また、ジャズヴォーカルソースでは、歌い手のブレスなど細やかな表情が自然に引き出され、歌声のディティールが生々しい質感で描き出される。加えて、ヴォーカルに適用されたリバーブの余韻描写も、より長く、ていねいに描き出され、歌が醸し出す世界観や雰囲気を、より高い没入感で聴かせてくれる。ピアノの音色も、ピアニストが弾き分ける微細なタッチの強弱を、より高い追従性で再現するようになる。低域表現は、タイトで瞬発力のある質感となり、ウッドベースも無駄な膨らみが抑制され、締まった余韻を聴かせる。これらの明瞭さを決定づけている重要な要素は、余分な付帯音や共振の抑制にありそうだ。制振性に優れるマグネシウム合金支柱と敢えて塗装仕上げのみとした剛性の高い積層バーチ合板材の組み合わせ、というシンプルなルックス通りの、実にスッキリとした音を奏でるのである。
総じて「MAGNESIA EX」は、爽快なパワフルさを適度に秘めた、透明感のあるクリアな輪郭を持った音が楽しめるラックである。手ごろな価格で、シンプルで重々しくない外見、そして音質的に十分な性能を備えたラックを求める方に最適なプロダクトである。
TIGLON「MAGNESIA EX」オーディオラックラインアップ
・「M-EX1」¥33,000/1段(税抜)
・「M-EX2」¥60,000/2段(税抜)●標準支柱:330mm
・「M-EX3」¥87,000/3段(税抜)●標準支柱:200+330mm
・「M-EX4」¥114,000/4段(税抜)●標準支柱:200+280+330mm
・「M-EX5」¥141,000/5段(税抜)●標準支柱:200+200+280+330mm
※支柱は70/150/200/280/330mmの5種類から選択可
<追加オプション>
・Mg支柱:
¥13,000/70mm、¥14,000/150mm、¥14,000/200mm、¥16,000/280mm、¥16,000/330mm(税抜)
・Mg脚 ¥12,000(税抜)
・トップエンドピン ¥3,000(税抜)
・棚板 ¥21,000(税抜)
・重量キャスターセット ¥8,800(税抜)
・ソフトスパイクセット ¥8,000(税抜)
問い合わせ先:ティグロン株式会社 問い合わせはこちらから。
本記事は「季刊オーディオアクセサリー」171号所収記事を転載したものです。雑誌の購入はこちらから。
オーディオラック
TIGLON
M-EX3
¥87,000/3段(税抜)※標準支柱は200+330mm
開発期間は2年以上
■渾身のラックが誕生
ティグロンの創業10周年を記念して発売された「MAGNESIA EX」。同社が2年以上の開発期間をかけて送り出す、音質面での一切の妥協を排して造り上げた渾身のオーディオラックである。位置付け的には、生産完了となった同社のベーシックモデルTRSシリーズの後継となるモデルだ。
サイズをアップしつつ軽量化
■これまでにない音場の広がり
棚板には、上位オーディオラックである「マグネシアTMRシリーズ」と同じ最高級ロシアンバーチ耐水合板を使用し、支柱には、細身ながらも高い制振性能を実現する直径20mmのマグネシウム合金を採用。支柱の中には珪素が充填されている。機器の設置面積は従来モデルの500W×400Dmmから530W×430Dmmへと拡大され、アナログプレーヤーや大型アンプも余裕を持って設置できる大きさを確保。
各パーツの強度を保ちながらも全体の質量の軽量化を図り、これまでに無い音場の広がりと軽快さを追求したラックとなっている。なお、モデル名の末尾にある「EX」の由来は、「EXPANSION(広がり)」を指し、無駄を排しシンプル化を徹底した構造だからこそ再現できる、自然なサウンドが魅力のモデルとなっている。使用部品は、全て国内製造品が用いられているというこだわりようだ。
豊富なバリエーションが揃い
■価格も比較的リーズナブル
ラインアップは1段タイプから5段タイプまでを用意。1段タイプから順に重量は3.4kg(M-EX1)、7.2kg(M-EX2)、10.7kg(M-EX3)、14.4kg(M-EX4)、17.9kg(M-EX5)となっており、その軽量さがよく分かる。耐荷重は1段あたり50kgとなっているほか、支柱の長さは、標準長に加えて、 70、150、200、280、330mmの5種類から自由に選んで組み合わせることが可能だ。さらに、同社のその他ラックシリーズ同様、棚板や支柱はもちろん、脚や重量キャスターセット、そしてトップエンドピンやソフトスパイクセットなどの豊富なオプションも用意。価格は3段タイプの「M-EX3」で8万7000円(税抜)と、比較的リーズナブルな価格設定となっている。
実物を前にすると、先述した通り、至ってシンプルに設計されているということがよく分かる。棚板の15mm厚ロシアンバーチ合板材は塗装によって仕上げが施されており、うっすらと木目が垣間見える。直径20mmの支柱は、15mm厚の棚板と相まって細身でスッキリとしたプロポーションを構成し、実際に部屋に設置しても圧迫感が少ない佇まいだ。本体を持ち上げてみると、10.7kgという重量のため、3段ラックながら容易に移動することができるのも嬉しい。
余分な付帯音や共振は皆無
■実に明瞭な輪郭を引き出す
今回の試聴にあたっては、3段タイプの「M-EX3」を使用し、プリメインアンプ、DAC、CDプレーヤーをそれぞれ各段に設置してサウンドをチェックした。一聴してすぐ分かるほどの明確な音傾向が浮かび上がってくる。描き出される音ひとつひとつの輪郭が実に明瞭なのだ。例えばオーケストラは、演奏空間の奥行き表現が瞭然化し、ステージの見通しが極めて良好になる。空間に伸びていく楽音の余韻の消え際までをクリアに聴き取ることが出来る。トランペットなど金管楽器のアタックもより明瞭なエッジで描き出され、いっそう鮮やかなイメージで空間に響き渡る。
また、ジャズヴォーカルソースでは、歌い手のブレスなど細やかな表情が自然に引き出され、歌声のディティールが生々しい質感で描き出される。加えて、ヴォーカルに適用されたリバーブの余韻描写も、より長く、ていねいに描き出され、歌が醸し出す世界観や雰囲気を、より高い没入感で聴かせてくれる。ピアノの音色も、ピアニストが弾き分ける微細なタッチの強弱を、より高い追従性で再現するようになる。低域表現は、タイトで瞬発力のある質感となり、ウッドベースも無駄な膨らみが抑制され、締まった余韻を聴かせる。これらの明瞭さを決定づけている重要な要素は、余分な付帯音や共振の抑制にありそうだ。制振性に優れるマグネシウム合金支柱と敢えて塗装仕上げのみとした剛性の高い積層バーチ合板材の組み合わせ、というシンプルなルックス通りの、実にスッキリとした音を奏でるのである。
総じて「MAGNESIA EX」は、爽快なパワフルさを適度に秘めた、透明感のあるクリアな輪郭を持った音が楽しめるラックである。手ごろな価格で、シンプルで重々しくない外見、そして音質的に十分な性能を備えたラックを求める方に最適なプロダクトである。
TIGLON「MAGNESIA EX」オーディオラックラインアップ
・「M-EX1」¥33,000/1段(税抜)
・「M-EX2」¥60,000/2段(税抜)●標準支柱:330mm
・「M-EX3」¥87,000/3段(税抜)●標準支柱:200+330mm
・「M-EX4」¥114,000/4段(税抜)●標準支柱:200+280+330mm
・「M-EX5」¥141,000/5段(税抜)●標準支柱:200+200+280+330mm
※支柱は70/150/200/280/330mmの5種類から選択可
<追加オプション>
・Mg支柱:
¥13,000/70mm、¥14,000/150mm、¥14,000/200mm、¥16,000/280mm、¥16,000/330mm(税抜)
・Mg脚 ¥12,000(税抜)
・トップエンドピン ¥3,000(税抜)
・棚板 ¥21,000(税抜)
・重量キャスターセット ¥8,800(税抜)
・ソフトスパイクセット ¥8,000(税抜)
問い合わせ先:ティグロン株式会社 問い合わせはこちらから。
本記事は「季刊オーディオアクセサリー」171号所収記事を転載したものです。雑誌の購入はこちらから。