NCV-R振動板を用いた“高速・等音速”スピーカー
【レポート】DIATONEの70周年記念スピーカーはニスや塗料にまでこだわって開発された
三菱電機エンジニアリングは、同社が展開するDIATONEブランドのブックシェルフスピーカー「DS-4NB70」について、本日8月22日にメディア向けのデモを実施した。その内容をレポートしたい。
DS-4NB70は、2016年にDIATONEが70周年を迎えるにあたり開発がアナウンスされた、ハイレゾ対応ブックシェルフスピーカー。2017年9月29日に発売されることが昨日アナウンスされた。価格は600,000円(税抜/1台)となる(関連ニュース)。
名称は「DIATONE・スピーカー・4世代目・NCV-R振動板・ブックシェルフ・70周年」の頭文字などを組み合わせたもの。その名の通り、伝搬速度6,300m/sを達成するNCV-R振動板の搭載が大きな特徴となっており、これをトゥイーターとウーファーの両方に採用することで等音速を実現している。
NCV-Rはカーボンナノチューブと数種類の樹脂を最適に配合した振動板素材。伝播速度だけで考えれば、ベリリウムやB4Cピュアボロンなどが10,000m/sを超える数値を実現するが、ウーファー用素材としては活用できていない。そこでトゥイーターとウーファーの両方で採用でき、かつ高速で固有音の影響も少ないという特性を持つNCV-Rが開発された。
またトゥイーター、ウーファーともにネオジムマグネットを採用。同社のスピーカー事業担当部長である佐藤氏によれば「アルニコとフェライトのどちらが良いかといわれる時代があり、アルニコの音が良いとされた。しかし、素材よりもアルニコを用いた場合の形状と重さ、剛性が重要なのではと仮説を立て、ネオジムマグネットに超重量級の壺型ヨークを試してみたら良い音が得られた」と開発エピソードが明かされた。
フレームと磁気回路の接合を強靭にするため、アルミ亜鉛ダイキャストアングルを用いて磁気回路底面とフレームとを接合させるDMM構造(Direct Magnet Mount構造)を採用。佐藤氏は「アルミ亜鉛ダイキャストアングルは1つ500gほどで、その有り無しで音に大きな違いがある」とその重要性を説いた。
振動板を動かすための駆動力を発生させる磁気回路には、ダブルネオジム磁気回路を採用。また、ウーファーのボイスコイルが配置された手前と奥の磁束密度分布の対称性を追求した独創技術「MLCT低歪磁気回路」により、低音域歪のエネルギー成分を約1/10に低減したという。佐藤氏は「この方式は昔から提唱されていたが、メーカーが実用化したのは世界でも珍しいのではないか」という。
キャビネットはOTOTEN2017で展示されたもの(関連記事)から多少の変更が行われた。佐藤氏は「音楽の艶やかさといった部分に影響を与える40Hz付近の低音域を出すため、キャビネットには20Lの容量が必要だった」とし、バスレフポートはストレートでダクトが大きい設計だが、その分だけ高さを出して容量を確保したと語った。
また昨今はセパレートアンプではなくプリメインアンプが用いられることが多いことから、「能率を犠牲にしてf0を下げて周波数帯域をアピールするより、プリメインアンプで鳴らせる能率は88dBが限界と考えて設定しており、アンプを選ばせない」設計にしたとのこと。
本機の開発では、細部にもこだわった。ウーファーのプラス側に入るコイルは、巨大な空芯コイルなどを様々に吟味した結果、大型のカットコアタイプの鉄心コイルを採用。同社が開発したワニスに120度で10時間漬け込んで、8時間乾かし、さらに3日間の調整を経て仕上げられているという。
本体の仕上げは、浜松の職人によりピアノブラックフィニッシュで行われる。これは「DS-10000B/DS-20000B」の際に、木目とピアノブラックでは音がまったく異なったという経験があり、佐藤氏は「ピアノブラックに用いるカーボン含有ポリエステル樹脂に潜んでいる音質的優位性から、今回もこの仕上げを採用した」と述べた。
内部配線材にはTHE CHORD COMPANY社のものを採用。これは国内外のメーカーを聴き比べた結果、音が良いから選ばれたのだという。ウーファーユニットを固定するチタンビスも、国内外から集めて検証した結果、大阪から取り寄せているという。そのほか、スピーカースタンドはティグロン製のものがDIATONE用にオリジナルで用意される。
ペア販売ではなく1本ずつの販売となることについて、「ステレオ再生がメイン用途になるだろうが、等音速を実現する本スピーカーはマルチ再生にも向いているのでは、ということから、このかたちを取った」と説明された。
DS-4NB70は、2016年にDIATONEが70周年を迎えるにあたり開発がアナウンスされた、ハイレゾ対応ブックシェルフスピーカー。2017年9月29日に発売されることが昨日アナウンスされた。価格は600,000円(税抜/1台)となる(関連ニュース)。
名称は「DIATONE・スピーカー・4世代目・NCV-R振動板・ブックシェルフ・70周年」の頭文字などを組み合わせたもの。その名の通り、伝搬速度6,300m/sを達成するNCV-R振動板の搭載が大きな特徴となっており、これをトゥイーターとウーファーの両方に採用することで等音速を実現している。
NCV-Rはカーボンナノチューブと数種類の樹脂を最適に配合した振動板素材。伝播速度だけで考えれば、ベリリウムやB4Cピュアボロンなどが10,000m/sを超える数値を実現するが、ウーファー用素材としては活用できていない。そこでトゥイーターとウーファーの両方で採用でき、かつ高速で固有音の影響も少ないという特性を持つNCV-Rが開発された。
またトゥイーター、ウーファーともにネオジムマグネットを採用。同社のスピーカー事業担当部長である佐藤氏によれば「アルニコとフェライトのどちらが良いかといわれる時代があり、アルニコの音が良いとされた。しかし、素材よりもアルニコを用いた場合の形状と重さ、剛性が重要なのではと仮説を立て、ネオジムマグネットに超重量級の壺型ヨークを試してみたら良い音が得られた」と開発エピソードが明かされた。
フレームと磁気回路の接合を強靭にするため、アルミ亜鉛ダイキャストアングルを用いて磁気回路底面とフレームとを接合させるDMM構造(Direct Magnet Mount構造)を採用。佐藤氏は「アルミ亜鉛ダイキャストアングルは1つ500gほどで、その有り無しで音に大きな違いがある」とその重要性を説いた。
振動板を動かすための駆動力を発生させる磁気回路には、ダブルネオジム磁気回路を採用。また、ウーファーのボイスコイルが配置された手前と奥の磁束密度分布の対称性を追求した独創技術「MLCT低歪磁気回路」により、低音域歪のエネルギー成分を約1/10に低減したという。佐藤氏は「この方式は昔から提唱されていたが、メーカーが実用化したのは世界でも珍しいのではないか」という。
キャビネットはOTOTEN2017で展示されたもの(関連記事)から多少の変更が行われた。佐藤氏は「音楽の艶やかさといった部分に影響を与える40Hz付近の低音域を出すため、キャビネットには20Lの容量が必要だった」とし、バスレフポートはストレートでダクトが大きい設計だが、その分だけ高さを出して容量を確保したと語った。
また昨今はセパレートアンプではなくプリメインアンプが用いられることが多いことから、「能率を犠牲にしてf0を下げて周波数帯域をアピールするより、プリメインアンプで鳴らせる能率は88dBが限界と考えて設定しており、アンプを選ばせない」設計にしたとのこと。
本機の開発では、細部にもこだわった。ウーファーのプラス側に入るコイルは、巨大な空芯コイルなどを様々に吟味した結果、大型のカットコアタイプの鉄心コイルを採用。同社が開発したワニスに120度で10時間漬け込んで、8時間乾かし、さらに3日間の調整を経て仕上げられているという。
本体の仕上げは、浜松の職人によりピアノブラックフィニッシュで行われる。これは「DS-10000B/DS-20000B」の際に、木目とピアノブラックでは音がまったく異なったという経験があり、佐藤氏は「ピアノブラックに用いるカーボン含有ポリエステル樹脂に潜んでいる音質的優位性から、今回もこの仕上げを採用した」と述べた。
内部配線材にはTHE CHORD COMPANY社のものを採用。これは国内外のメーカーを聴き比べた結果、音が良いから選ばれたのだという。ウーファーユニットを固定するチタンビスも、国内外から集めて検証した結果、大阪から取り寄せているという。そのほか、スピーカースタンドはティグロン製のものがDIATONE用にオリジナルで用意される。
ペア販売ではなく1本ずつの販売となることについて、「ステレオ再生がメイン用途になるだろうが、等音速を実現する本スピーカーはマルチ再生にも向いているのでは、ということから、このかたちを取った」と説明された。
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