PRこの価格帯では類を見ないスペック
A級アンプと望外のサウンド、HiBy「R5 Gen2」はとてつもなく魅力的なDAPだ
驚くべき仕様を実現した待望の新モデルをレビュー
HiByからミドル級DAPの新製品が登場する。それが「R5 Gen2」だ。手にすっぽり収まる細めのボディサイズやコスパの高さもあって人気を集めた「R5」の最新モデルで、既存の「R5」「R5 Saber」から多くを刷新。外観は「R8」からはじまる第2世代モデルと共通の思想でデザインされており、ワングレード上の上質感を持つ製品に仕上がっている。
とはいえ、「R5 Gen2」の注目ポイントは外よりも内、音質に纏わる様々なテクノロジーの採用だろう。驚くべきことに、「R5 Gen2」にはディスクリート構成のA級動作ヘッドホンアンプ回路が採用されているのだ。ポータブルオーディオながらA級動作、しかもバランス出力のヘッドホン回路を持つ製品はほとんど存在しない。実売6万円前後という価格帯としては皆無、初めての試みとなるだろう。
それもそのはず、近年の汎用DACチップはヘッドホンアンプ機能を搭載するモデルも多く、1チップでD/A変換だけでなく音の増幅まで行えてしまう。つまり、ヘッドホンアンプ回路はコストカットできてしまう部分なのだ。その恩恵を受けた最たる例が「ポータブルDAC」であり、一昔前の3万円前後のDAPの多くもこうした複合DACを活用して音質設計を行っていた。
しかし本来、増幅回路は音を決める重要な役割を担っており、独自設計することはメーカーの個性を競う部分でもあるわけで、アンプ回路のこだわりこそが、DAPとしての矜持を保つポイントともいえる。同じことをHiByも考えていたようで、ミドルの価格帯ながらも音質面で有利なA級動作アンプを搭載したという。
しかしながら、A級動作アンプを使うポータブル製品がほとんど存在しないのには理由がある。シンプルに発熱と消費電力が大き過ぎるためで、バッテリー駆動のポータブルオーディオ製品には不向きだからだ。「R5 Gen2」ではその難点に立ち向かい、純粋に音質を優先すべく(DAC内蔵アンプやオペアンプではなく)ディスクリート構成のバランス出力アンプ回路を新設計/搭載し、高級ヘッドホンも充分に駆動できる高出力、かつ良質なサウンドを実現しているという。
もちろん、この価格帯としては望外といえる良質なヘッドホンサウンドを得るいっぽうで、駆動時間の短さというデメリットをもつ。A級動作アンプで使用した際は、連続再生時間が約10時間(シングルエンド時。バランス出力の場合は7時間)になってしまうという。
個人的にはその時間聴き続けられるならば必要最低限の長さは確保できていると思えるが、HiByではこれを解決すべくエコノミーモードを設定。こちら、DAC内蔵のヘッドホンアンプ回路を利用することで、最大35時間(シングルエンド時。バランス出力の場合は28時間)の連続再生が可能となっている。普段はエコノミーモードでBGM的に聴き、じっくり聴きたいときはA級動作モードに切り替える、というのが賢い使いこなしなのかもしれない。
ちなみに、DACはESS社製「ES9219C」をデュアルで搭載。DSD256、PCM768kHz/32bitまでの音楽ファイルに対応する。さらに、MQAは16Xフルデコードに対応。ワイヤレスはWi-FiとBluetoothの両方を搭載し、Wi-FiはDLNAに、BluetoothコーデックはLDACやUAT、aptX、aptX HDなどにも対応しているため、ワイヤレスでも良質なサウンドで楽しむことができる。
また、OSにはAndroid 8.1を採用しているため、ストリーミング用アプリなどをダウンロードして活用することもできる(しかもAndroid標準SRCを開始してくれるためハイレゾ再生が可能)。また、標準搭載されるプレーヤーソフト「HiBy player」は様々な音質カスタマイズがおこなえるし、動作もスムーズだ。このあたりの、ソフトのつくり込みの細やかさは、さすがHiByといったところだろう。
■Column-コラム- 「A級動作」とは?
信号を増幅するパワーアンプには様々な回路パターンがあり、その内容によってA級やB級、C級などと呼ばれるタイプがある。そのなかでも、比較的音がよいとされ、最もオーディオ製品に適しているといわれているのがA級だ。こちら、増幅による歪みが少ない=音質がよいという大きなメリットを持っている。しかしながら、常にアイドリング電流が流れているために効率が悪く、消費電力が大きい(エコでない)うえに発熱も大きい。据置型のオーディオ製品でも放熱性を追求したハイエンドのパワーアンプなどで採用されている。