PRVGP審査員が一斉レビュー
ホームシネマの新たな“頂”、エプソンプロジェクター「EH-LS12000」の総合進化した画質をチェック!
エプソンの新フラグシップホームプロジェクター「EH-LS12000」が、VGP2022 SUMMERで総合金賞を受賞した。その具体的に評価について、VGP映像音響部会の審査員5名によるレビューをお届けしたい。
プロジェクターは多様化の真っ只中にある。超短焦点、モバイル…新興勢力からの新提案が続々と名乗りを上げている。それを後押ししたのがネット動画とVODサービスの隆盛だ。裾野が広がれば「頂」も高くなる。ホームシネマ新時代を象徴する新たな頂にして王道を行く存在、エプソンの「EH-LS12000」が現れた。
本機は従来の「EH-TW8400」に置き換わる製品だが、五桁の品番からわかるようにフラグシップの復活である。「EH-LS10000」「EH-LS10500」で採用したLCOS(反射型液晶)でなく同社安定の3LCD方式を採用する一方、EH-TW8400のUHPランプに替えて、最大出力2700ルーメンの強力なレーザー光源を採用した。
その結果、ネイティブコントラスト5000:1、ダイナミックコントラスト2,5000,000:1という強靭な光のパワーを得た。一貫してリビングシアターを推進し、ホームにあっても画質の一番重要な要素は明るさと考える同社の製品作りはハイエンドでもブレがない。
本機は、ボイスコイルモーターが従来の4Kエンハンスメントの2倍のスピードで1ピクセルを上下左右4方向へずらし4K映像を出力する。2軸シフトとも呼ばれ透過型では初。粒状感のない4K映像を実現する。この方式は画が重なって描かれる欠点があるのだが、透過型液晶はブラックマトリックス(格子の部分)の面積が大きいため重複部分が少なく、これが有利な方向に働いてネイティブ4Kに近い映像表現ができる。
新開発の画像処理チップで画像プロセス能力が飛躍的に向上した。「シーン適応ガンマ補正」は、輝度が高い部分のガンマを重点的に伸ばす。「自動コントラスト強調」はガンマは変えず被写体のコントラストを高める。EH-TW8400は4K信号のフレーム補間に未対応だったが、EH-LS12000では4K60Pまで対応した。HDR10+への対応も拍手を送りたい。
強靭無比な映像だ。2700ルーメンの数値以上に明るく感じる。そう感じさせる理由が画質の総合進化。従来の3LCD方式になかった透明感が生まれている。塗り絵のようなコテコテの画を想像したら、それは過去の話だ。
新画像処理デバイスの効験あらたかである。色域が広くなったことも新生3LCDの印象に貢献。発色は濃密だがクリアでぬけがいい。『ウエスト・サイド・ストーリー』(4Kブルーレイ)の体育館でのダンスシーンは光を浴びている部分と影の存在の対比を強調した撮影監督カミンスキーのライティングの狙いがわかる。コントラストの余裕に加えガンマと階調の設定が適切であることの証左である。
EH-LS12000の他社高級機にない強味が、リビングシアターへの好適性。視聴室の背後の天井照明を点灯しても、「トゥナイト」のシーンでトニーとマリアの背後のレンガ壁の肌が潰れず、スピルバーグが企図したリアルでシリアスな映画のルックが生まれる。
『ハウス・オブ・グッチ』(2Kブルーレイ)は、つねにコントラストが力強く色彩が華やかで映像に切れがある。カラーモード「ブライトシネマ」が万能で、室内環境をためしに明るくしていっても色彩が薄まらず映像が眠くならず、撮影とグレーディングの狙い〜虚栄と奢侈のはかない王国、を忠実に描き出す。
『8K空撮夜景SKY WALK』(4Kブルーレイ)の実写映像で、2軸シフト4Kエンハンスの威力をいかんなくみせつけた。エンハンスで生じるノイズ等妨害要素がなく、眼下に過ぎていく夕景の高層建築の複雑な輪郭線がほっそりと引き締まり、思わず息を飲む実景感覚。さすがにLCOSほどは黒が沈み切らないが、暗部階調が豊かで、地平まで広がる灯火の群れが微妙な高低差を持って立体的に浮きあがる。
面倒な遮光いらず、室内照明と共存を実現する明るさの余裕、ランプ交換の手間とコストからの解放、新映像デバイスで大きく変貌した画質に加え、EH-LS12000には設置の自由度という武器がある。投写シフト範囲の制限が大きいDLP方式にない3LCD方式の強味だ。そしてライバル高級機にくらべリーズナブルな価格とプロジェクターとして初めて三年保証を実現した。VGP2022 SUMMER総合金賞受賞はけだし当然、といえよう。
ホームシネマの新たな「頂」、強靭無比な映像を映し出す
プロジェクターは多様化の真っ只中にある。超短焦点、モバイル…新興勢力からの新提案が続々と名乗りを上げている。それを後押ししたのがネット動画とVODサービスの隆盛だ。裾野が広がれば「頂」も高くなる。ホームシネマ新時代を象徴する新たな頂にして王道を行く存在、エプソンの「EH-LS12000」が現れた。
本機は従来の「EH-TW8400」に置き換わる製品だが、五桁の品番からわかるようにフラグシップの復活である。「EH-LS10000」「EH-LS10500」で採用したLCOS(反射型液晶)でなく同社安定の3LCD方式を採用する一方、EH-TW8400のUHPランプに替えて、最大出力2700ルーメンの強力なレーザー光源を採用した。
その結果、ネイティブコントラスト5000:1、ダイナミックコントラスト2,5000,000:1という強靭な光のパワーを得た。一貫してリビングシアターを推進し、ホームにあっても画質の一番重要な要素は明るさと考える同社の製品作りはハイエンドでもブレがない。
本機は、ボイスコイルモーターが従来の4Kエンハンスメントの2倍のスピードで1ピクセルを上下左右4方向へずらし4K映像を出力する。2軸シフトとも呼ばれ透過型では初。粒状感のない4K映像を実現する。この方式は画が重なって描かれる欠点があるのだが、透過型液晶はブラックマトリックス(格子の部分)の面積が大きいため重複部分が少なく、これが有利な方向に働いてネイティブ4Kに近い映像表現ができる。
新開発の画像処理チップで画像プロセス能力が飛躍的に向上した。「シーン適応ガンマ補正」は、輝度が高い部分のガンマを重点的に伸ばす。「自動コントラスト強調」はガンマは変えず被写体のコントラストを高める。EH-TW8400は4K信号のフレーム補間に未対応だったが、EH-LS12000では4K60Pまで対応した。HDR10+への対応も拍手を送りたい。
強靭無比な映像だ。2700ルーメンの数値以上に明るく感じる。そう感じさせる理由が画質の総合進化。従来の3LCD方式になかった透明感が生まれている。塗り絵のようなコテコテの画を想像したら、それは過去の話だ。
新画像処理デバイスの効験あらたかである。色域が広くなったことも新生3LCDの印象に貢献。発色は濃密だがクリアでぬけがいい。『ウエスト・サイド・ストーリー』(4Kブルーレイ)の体育館でのダンスシーンは光を浴びている部分と影の存在の対比を強調した撮影監督カミンスキーのライティングの狙いがわかる。コントラストの余裕に加えガンマと階調の設定が適切であることの証左である。
EH-LS12000の他社高級機にない強味が、リビングシアターへの好適性。視聴室の背後の天井照明を点灯しても、「トゥナイト」のシーンでトニーとマリアの背後のレンガ壁の肌が潰れず、スピルバーグが企図したリアルでシリアスな映画のルックが生まれる。
『ハウス・オブ・グッチ』(2Kブルーレイ)は、つねにコントラストが力強く色彩が華やかで映像に切れがある。カラーモード「ブライトシネマ」が万能で、室内環境をためしに明るくしていっても色彩が薄まらず映像が眠くならず、撮影とグレーディングの狙い〜虚栄と奢侈のはかない王国、を忠実に描き出す。
『8K空撮夜景SKY WALK』(4Kブルーレイ)の実写映像で、2軸シフト4Kエンハンスの威力をいかんなくみせつけた。エンハンスで生じるノイズ等妨害要素がなく、眼下に過ぎていく夕景の高層建築の複雑な輪郭線がほっそりと引き締まり、思わず息を飲む実景感覚。さすがにLCOSほどは黒が沈み切らないが、暗部階調が豊かで、地平まで広がる灯火の群れが微妙な高低差を持って立体的に浮きあがる。
面倒な遮光いらず、室内照明と共存を実現する明るさの余裕、ランプ交換の手間とコストからの解放、新映像デバイスで大きく変貌した画質に加え、EH-LS12000には設置の自由度という武器がある。投写シフト範囲の制限が大きいDLP方式にない3LCD方式の強味だ。そしてライバル高級機にくらべリーズナブルな価格とプロジェクターとして初めて三年保証を実現した。VGP2022 SUMMER総合金賞受賞はけだし当然、といえよう。