PR圧倒的S/Nと表現力
10周年で達した新領域。Astell&Kern新旗艦DAP「A&ultima SP3000」が鳴らす“衝撃”サウンド
加えてHEXAオーディオ回路構造では、アンバランス回路とバランス回路、それぞれにAK4191を1基ずつ配置。そしてAK4499EXはそれぞれの回路で2基ずつ用意している。バランス回路ではAK4499EXが2基あることで、L/R各々のHOT&COLD信号を取り出す4ch分を構築できるが、アンバランス回路では、AK4499EXは1基でもこと足りる。Astell&Kernでは効率よりもバランス/アンバランス、それぞれのDAC回路を同じ規模のものに揃えることに重きを置いているそうで、アンバランス回路では、L/Rそれぞれ1基ずつ割り当てたAK4499EXに+信号とGND信号のみを通す豪勢な仕様とした。
さらにアンバランス回路使用時には、バランス回路を電源からシャットアウト。逆の場合もまた同様に、使用していない一方の回路の電源を落とし、電源の効率化と回路間干渉を抑え込んでいる。これがデュアルオーディオ回路の目的の一端ともいえるだろう。
通常バランス/アンバランス回路を有する場合、セレクターチップも複数必要であり、各チップの定格に合わせ、通過させる信号の電圧・電流を最適化せねばならない。そのため、この最適化の過程で信号処理が加わることとなり、音質的なボトルネックにもなっていたのだ。
つまり、HEXAオーディオ回路構造、そしてデュアルオーディオ回路によって、現在最高水準のD/A変換技術を盛り込んだ真のバランス/アンバランス回路の分離・独立が実現したのである。
スムーズな操作性にバッテリー性能向上で使い勝手も◎。新UIではより音楽に出会いやすく
SoCにオクタコアCPUを内包するクアルコム製「Snapdragon 6125」、さらに8GB RAMを積むことで高速なレスポンスとスムーズな操作性を獲得。また主要なオーディオ回路を一体化したAstell&Kern独自のサウンドソリューション「TERATON ALPHA」も搭載し、効率的な電源管理や低歪な増幅プロセス、さらには電源ノイズの抑制を行い、原音に忠実なサウンド再生を実現している。
電源に関しては5,050mAhのリチウムポリマーバッテリーを内蔵(SP2000は3,700mAh)。省電力設計も功を奏し、贅沢な回路構成ながらも、約10時間(FLACファイル 44.1kHz/16bit)という十分な連続再生時間を確保した(SP2000では同条件で約8時間)。
筐体面では、一般のステンレスよりも硬く、剛性と耐浸食性に優れる「904Lステンレス」をポータブルDAPとして初めて採用。摩耗や腐食に強いイオン・プレーティング・ハードニングや、薄膜によって汚れから守るアンチ・ファウリング・コーティングも施している。背面側はセラミックパネルを纏い、これまでのAstell&Kernの歩みを総括するような “光に包まれるデザイン” が洗練さをさらに引き立てている。
ユーザーインターフェースについてもブラッシュアップされ、黒と赤をモチーフカラーとしたスタイリッシュなグラフィックとなった。内蔵ストレージに保存している音楽データのみならず、配信サービスを含め楽曲を探しやすくするよう進化している。
また、CDケース内にジャケットアートがランダムに表示されるようなコレクションレビューのように心憎い演出も用意されている。この特別なジャケット表示については、今後のアップデートで再生されることが多いアーティストやアルバムが表示されるような、ユーザーに寄り添った提案がなされるかもしれない。まだ現時点では未知数の可能性を秘めた機能性といえる。
圧倒的なS/N!静寂感と余韻の階調性も段違いに美しく、別次元の高みに到達
試聴には、Campfire AudioとAstell&Kernのコラボレーションによって生まれた「PATHFINDER」を使用。高域にカスタムBAドライバー、中域にKnowles製デュアルダイアフラム・BAドライバー、そして低域には2基の正面対向配置10mmダイナミック型ドライバーを用いた3ウェイ6ユニットによるハイブリッドドライバー構成のインナーイヤーモニターだ。また、従来モデルSP2000とも聴き比べてみた。
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