PRDolby Atmos対応の一本バータイプとサブウーファー別体タイプ
デノンの注目サウンドバー「DHT-S217 & S517」、どっちを選ぶ? 音質や機能性を徹底比較!
DHT-S517は、サウンドバーとワイヤレスサブウーファーがセットのシリーズ上位モデル。上位といっても、想定市場価格は税込59,800円前後でミドルクラスに相当する。発売はDHT-S217よりも早い2022年1月だ。
3.1.2ch構成となり、サウンドバーの前面は両端に25mm径トゥイーター、その内側に120×40mmの楕円形ミッドレンジを左右1基ずつ、中央にセンター用25mm径フルレンジを1基備える。S217と違うのは、上面に66mm径のイネーブルドスピーカーを左右1基ずつ備えること。真上ではなくやや前方向きに角度が付いており、部屋の天井に放出した音が、反射して正面のユーザーに届く仕組みだ。サイズは幅1,050×奥行95×高さ60mmとS217より横長だ。
ワイヤレスサブウーファーは、150mm径の大口径ドライバーを搭載。デノンの求めるストレート&ハイスピードなサウンドを実現するため、フロント向きで配置する。背面には新設計のバスレフポートを装備。風切り音を低減するため、繋ぎ目のない一体成型となっている。サイズは幅172×奥行290×高さ370mm。
SoCはDHT-S217を先行する形で、高性能チップを採用。ロスレスのDolby TrueHDと、Dolby Atmosに加えてDolby Digital Plus、Dolby Digital、リニアPCM 7.1ch、MPEG-2 AAC、MPEG-4 AACに対応する。
入力端子はHDMI(4K対応)、光デジタル(TOS)、AUX(3.5mmステレオミニ)を各1系統搭載する。出力はHDMI(ARC/eARC、4K対応)のみ。本機もBluetoothに対応する。
ここまで両モデルを紹介したが、改めて違いを簡単にまとめよう。機器構成はDHT-S217がサウンドバー単体で、DHT-S517がサウンドバー+ワイヤレスサブウーハーの組み合わせ。イネーブルドスピーカーはDHT-S517のみ搭載し、DHT-S217は搭載しない代わりにイマーシブサウンドを疑似的に再現する。
両モデル共通なのが、SoCに高性能チップを採用し、ロスレスであるDolby TrueHDベースのDolby Atmosを新たにサポートしたこと。また、これまで触れていないが、デノンのサウンドマスターである山内 慎一氏がチューニングを担当していることも共通点だ。
■“素の音質”が良いからこそ、音楽再生もオーディオシステム級
山内氏が掲げるデノンのサウンドフィロソフィーが「Vivid & Spacious」だ。これを実現するサウンドモードとして、両モデルには「PURE」モードが搭載されている。デノンのHi-FiオーディオやAVアンプにも搭載されるもので、サウンドモードやバーチャルサラウンド処理をバイパスして直に増幅回路に入力することで、音の純度が高められ、コンテンツの実力を忠実に再現できる。
映像を視聴する前に、素の音質を試したくPUREモードでCD音源を聴いてみた。藤井風のアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』から「きらり」を再生する。
DHT-S217は、情報量が多く音像のはっきりした音だ。浸透力のある音が上下左右に広がるためか、多少斜めの角度から離れて聴いても歪みが少ない。けだるげなボーカルは瑞々しく、高域はナチュラルかつ気持ちよく伸びていく。低域は音の粒子がぎゅっと詰まったように芯がある。シャキッとしつつも力強く小気味よい。コンパクトなオーディオシステムで音楽を聴いているよう。
DHT-S517では音の繊細さはそのままに、立体感がぐっと増す。音場空間に奥行きが出て、声が一歩前に定位する。上下左右の音の広がりもひと回り以上大きい印象だ。やはり、サブウーファーがサウンド全体の質を底上げしているのだろう。小音量でも聴きやすいのに、つい音量を上げたくなる。DHT-S217よりも数クラス上のピュアオーディオシステムと遜色ない。改めて、両モデルとも素のサウンドは上質。高い実力を備えていた。
では、4K UHD BDを再生してロスレスのDolby Atmos音声を体感してみよう。
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