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PRこれぞ“ドブルベの現代版”だ

ラディウス「ドブルベ」が金属筐体・新型ユニットで新登場。“フェーズ2”と呼べる大進化の詳細を探る

公開日 2022/12/13 07:00 野村ケンジ
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筐体の“鳴り”に着目! シリーズ初の金属筐体

また、金属筐体の採用もドブルベシリーズとしては初の試みとなる。「ラインナップを新しくするにあたり『ドブルベサウンド+α』をテーマに掲げました。これまでのドブルベサウンドの魅力を損ねず、フラグシップ機に恥じない個性を持たせることが課題でした。そこで金属筐体によって生み出される独特の “鳴り” に着目。筐体内部の振動の伝わり方を解析結果なども踏まえて、最適なドライバー開発、選定を行っていきました」(中村氏)

Wシリーズは「金属筐体」が設計テーマのひとつだったため、デザインも「金属素材から生まれた塊を知覚する造形」をコンセプトに描いたという。そのため表面は加工を一切施さず、旋盤で削り出した無垢のまま。ミニマルデザインにワンポイント入った「Wマーク」も印象的で、とてもオシャレに仕上がっている

凝りに凝ったデザインの先代ドブルベに比べると路線を変更して装飾が少ない外観だが、じっくり眺めると、ノズル部分がかなり複雑な造形であったり、筐体後方がわずかにすぼまっていたりと、コンマミリ単位でこだわった造形を作り上げている様子が窺える

新ドブルベシリーズの3製品の筐体は、最上位モデルのHP-W300にチタン合金を、ミドルクラスのHP-W200はステンレスを、スタンダードモデルのHP-W100にはアルミ素材を採用している。これは伝搬速度や内部損失、加工性などを考慮して選択したという。この点の説明は写真を見ながらのほうがわかりやすいので解説をご覧いただきたい。

またヘッド部はいずれも円筒形状を採用するが、これは金属の塊を感じさせる造形をコンセプトにデザインされたもので、すべて削り出し、表面に塗装を行わない無垢のフィニッシュとなっている。ただ、金属を切削加工したそのままの造形をボディデザインとするのはかなり難しく、精度や質感を上げるのにかなりの苦労が伴ったという。

確かにチタン合金やステンレスは切削加工が大変な金属。しかも、イヤホン本体はとても小ぶりなサイズなので、狂いなく仕上げるのは大変な苦労が伴ったことだと思う。結果、小柄ですらっとした、上品な印象となっている。

写真左がHP-W300とHP-W200、写真右がHP-W100の同梱物。ラディウスの中でも高級シリーズになるため、布製のキャリングポーチのほか、高級感のあるオリジナルレザーケースまで同梱する。日本ブランドらしく、細部までこだわる姿勢がこうした点にも現れる

「既存のドブルベは、管楽器からインスパイアされた造形やラグジュアリーな配色など、アイコニックなキャラクターを持ち続けてきましたが、ファーストモデルから約15年経とうとするいま、これまで愛用してくださったユーザーを大切にしつつも、新たなユーザーにも手に取ってもらえるような、ドブルベらしさと現代的なデザイントレンドとの融合を目指しました。また、金属筐体ならではのクールな素材感も意識しています」(中村氏)




金属素材によって音の響きは異なる
音とは主に空気伝搬する振動波であり、何かにぶつかればその物を振動させるエネルギーを持っている。イヤホンの場合はドライバーから発する音は筐体内部で反射を繰り返すため、筐体によっては素材の“鳴り”が発生する。この鳴りを決める基準になるのが「内部損失」というもので、簡単にいえば音の振動エネルギーを内部でどのくらい損失(熱などに変換)させるかの基準である。

チタンやアルミは内部損失が小さい金属のため、振動の影響を受ける、つまり筐体の鳴りが大きくなる。ステンレスは逆に内部損失が大きい金属なので、筐体自体は振動しにくい。ラディウスでは、そうした金属の物性を活かしつつ、それぞれのドライバーをチューニングすることで、唯一無二のドブルベサウンドを実現したのだ。


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