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マランツ「AV10/AMP10」は「まさにハイエンドの音」。注目AVセパレートアンプを評論家が自宅試聴!

公開日 2023/02/24 06:30 山之内 正
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従来と同様、全チャンネルRCAとXLRどちらでも接続できるが、AV10はRCA出力端子も横一列の配置に変更され、従来よりグレードの高い端子を採用しているので、今回はRCAラインケーブルで接続。ドルビーアトモスなど3Dオーディオのコンテンツは5.1.4chのスピーカー配置で再生している。

AV10の背面端子部

ちなみに初期設定は対話形式のアシスト機能に沿って接続や調整を進める流れがわかりやすく、設定画面の解像度が上がっていることもあって非常に快適だった。チャンネルの割当に手こずるかと思ったが、その心配は不要だ。

AMP10の背面端子部

AVアンプの試聴では最初にCDなどステレオの音源をアナログ入力で再生し、アンプの基本性能を確認、その後でHDMI接続のステレオやサラウンド音源を聴くことで、デジタル入力のクオリティを検証することが多い。

今回、アナログでつないだCDプレーヤーの音を聴いた瞬間、思わず「これ本当にAVアンプ?」と反応してしまうほど、抜けが良く、細部をきめ細かく描き出す音に驚いた。ステージの奥まった位置だけでなく音場の隅々まで見通しが利き、余韻が広がる様子を目で追えるほど空間と時間の精度が高い。

ハイエンド級オーディオシステムの音に肉薄する風通しの良い音



ジェーン・モンハイトのヴォーカルは発音が明瞭で声の音像がにじんだり緩みすぎることがないので、ベースやピアノと重なってもイメージが鮮やかに浮かぶ。反応の鈍いアンプだとこのセパレーションの良さを引き出せないことが多く、特にAVアンプはその傾向が強い。AV10とAMP10のペアが聴かせる風通しの良い音はそれとは対極にあり、ハイエンド級オーディオシステムの音に肉薄している。

試聴時の様子

OPPOのUDP-205をHDMIケーブルでAV10につなぎ、SACDのマルチチャンネル音源をいくつか試してみた。この再生方法が使えるプレーヤーの選択肢が少なくなってしまったのが残念だが、特にクラシックではCHANDOSやBISなど、誇張のない自然なサラウンド収録の音源を継続してリリースしているレーベルがあり、ステレオ再生とは文字通り次元の異なる立体音響に身を包まれる臨場感は格別だ。

ジョン・ウィルソン指揮シンフォニア・オブ・ロンドン《ハリウッド・サウンドステージ》は、まさに最上の音響空間に身を浸すことができる優秀録音(CHANDOS)。AV10とAMP10の組み合わせで聴くと、ホールや劇場でなければ体験できないような立体的なステージが目の前に広がった。

遠近感に深みがあり、打楽器が繰り出す低音の波が正面から左右にフワッと動いて余韻に溶け込む様子が身体で味わえる感覚を味わうことができる。SACDのサラウンド音声は最大でも5chまたは5.1chなので、ハイトスピーカーは使っていないのだが、オーケストラの余韻がステージの上に広がる光景まで伝わってくることに感心させられた。

映画の音場も巧みに再現。「音の軌跡を3次元で描き出す能力の高さは確実にステージが上がっている」



次にプロジェクターの電源を入れ、UHD-BDで『トップガン マーヴェリック』を再生した。クライマックスの奇襲作戦の場面、戦闘機の急上昇や飛来するミサイルの動きなど、音の軌跡を3次元で描き出す能力の高さは既存のAVアンプに比べて確実にステージが上がっている印象を受ける。

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