PR上位モデルのDSPチューニングを採用
Bowers & Wilkinsのワイヤレスヘッドホン「Px7 S2e」。製品名に偽りなしの“進化”点を徹底分析!
■DSPの再チューニングでさらに際立つ表現力
デザイン面では若干の変更が加えられているが、バイオセルロース振動板を採用する40mm口径のダイナミック型ドライバーもPX7s2と全く同じとなっている。プロダクトとしては本当にDSPの再チューニングに留まるPx7 S2eだが、そのサウンドを聴いて違いに驚いた。メーカーのアピールに違うことなくあきらかに、上質なサウンドへと進化しているのだ。
雑味が減ってくれているのだろう、バイオセルロース振動板ユニットならではの丁寧な表現がさらに際立ち、フォーカスがきゅっと締まり、かつメリハリ表現が丁寧な印象へと変化。ヴォーカルもハスキーさが弱まってニュートラルな印象へと変化している。また、音数も増え、音場的な広がり感もスムーズとなった。
たとえば宇多田ヒカル「BADモード」は、歌声のフォーカス感が高まると同時にハスキーさが弱まったことで、ふと遙か昔に聴いたライブでの生声を思い出させてくれた。安月名莉子はさらに顕著。先日某イベントにゲスト出演してもらい、アカペラで一節歌ってもらったのだが、その時感じた彼女ならではの声の特徴がしっかりと再現されていた。
当たり前なのだが、宇多田ヒカルも安月名莉子も彼女たち本人と全く同じ声に感じられるのだ。もちろん、両楽曲ともに様々な調整が行われ完成した楽曲であり厳密にはリアルそのものではないはずなのだが、「Px7 S2e」で聴くことで本人そのものが目の前で歌ってくれているかのような気持ちになってしまう、そんな巧みなサウンドに仕上がっている。
もちろん、男性ヴォーカルも悪くない。米津玄師「M八七」は、普段よりもややすました声色にも感じられるが、肉感のある歌声がとても好ましい。
■僅かな変更点ながらエンジニアの手腕が光る音質差
もうひとつ、弦楽器の音色がとても魅力的に感じられた。強弱のある表現、音色の艶やかさ、広がり感などに秀でており、全ての音があまさず伝わってくるため、その世界観についつい引き込まれてしまう。いつまでも聴いていたくなる、心地よいサウンドだ。正直、Jポップのシンセサイザーだと情報量の少なさでそれと分かってしまうほど。逆に、生弦を使っていることの多いアニソンでは、曲の魅力がしっかりハッキリ伝わってくる。
楽曲制作者の努力が、結果の音として想定以上の差になってくるのはとても興味深い。このあたりは、モニタースピーカーとして数多くの採用実績を持つブランドならでは、といえることかもしれない。実際にB&Wヘッドホンは上級スピーカーのサウンドチューニングを行っているエンジニアが手がけているのも大きな理由の一つだろう。
その後もいろいろな楽曲でPx7 S2とPx7 S2eの両者を聴き比べてみたが、プロダクトとしての変更点は僅かではあるものの、雑味につながる余計な音が押さえられピュアさが随分と向上、本来の楽曲の魅力をしっかりと引き出してくれる。プロダクト名通り進化したサウンドを堪能させてくれた。
実際、スマートで品のいいPx7 S2eの外観にはこの音のほうがマッチしていると思う。確かに上位モデルPx8と比較してピアノの高音だけがやや鋭利過ぎるようにも感じるなど、最終的には好みの範疇ではあると思うが “音質” 差はまだまだ存在する。しかし、両者を上下で捉えることなく、単に音の好みでチョイスできる存在に進化してくれたと思う。
冒頭に触れた通り、筆者はPX7s2ではなくPx8を愛用しているのだが、今回のアップデートに伴って「選ばなかった理由」は払拭されたという印象だ。
サウンドキャラクターや外観デザイン、そしてプライスタグと、様々な視点から両者を比べて、自分にとってどちらがベストな製品かを見定めて欲しい。そう言えるほど、Px7 S2eは完成度の高い製品へと進化している。太鼓判でオススメできる製品だ。
(提供:ディーアンドエムホールディングス)