PR「NR1200」ユーザーの秋山真氏が実力をチェック
マランツ「STEREO 70s」自宅導入レビュー。評論家・秋山氏が「傑作アンプだと泣きながら確信した」その魅力とは?
貸出機のカラーは迷わずブラックを選択した。愛用のテレビボードに置くとメッチャ“映える”からである(MODEL 40nで実証済み)。しかし、STEREO 70sの実機を見るまでは一抹の不安もあった。それがフロントパネルのデザイン。スリム化して筐体の高さが低くなり、手前側のフラットな部分と、後ろ側の湾曲した部分の縦幅が揃ったことで、真正面からの公式写真では、MODEL 30やMODEL 40nよりも平面的なフェイスに見えたからだ。
ところが、これは全くの杞憂に終わった。斜めから見ればご覧の通りのイケメンである。
ただし、サイドのスリットはMODEL 40nのようには光らなくなった。あのラグジュアリーな感じが何気にカッコ良かったので、省略されてしまったのは残念だが、定価がジャスト半額であることを考えれば致し方ナシか。
残念ついでに、それ以外のSTEREO 70sの残念ポイントを挙げておこう。1つめは、スピーカーターミナル。形状がNR1200からほとんど変わっておらず、Yラグのスピーカーケーブルが入らない。AVアンプと違ってスペース的にも余裕があるのだから、ここは大型ターミナルを採用してほしかった。もっと言うと、MODEL 30やMODEL 40nはシングルワイヤリング仕様だったのだから、STEREO 70sも同じでよかったのではないかと思う。普及価格帯の方がバイワイヤリングの需要があるということなのだろうか?
そして2つめが、サブウーファー出力。2系統あるのは有り難いが、信号自体はモノラルであり、それがパラレルで出力されるだけなのだ。これはMODEL 40nも同じ仕様なのだが、ステレオアンプなのだからL/Rの信号を出力してほしかったし、そうするべきだ。
昨今のヒットチャートは超低域を積極的に使う楽曲が多く、小型スピーカーでは、アーティストやエンジニアの狙い通りの音で再生するのが年々難しくなっている。今後は映画再生だけでなく、音楽再生においてもサブウーファーの需要はどんどん高まるだろう。となれば、サブウーファーだってステレオ使いするのが理想的である。ピュアオーディオ機器にHDMI端子がつくことを“当たり前”にしたマランツには、サブウーファー出力のステレオ化でも先陣を切ってほしい。
以上である。約2週間試用して、不満点はこれだけ。
さぁ、ここからはお待ちかね、STEREO 70sの音質レビューだ。秋山史上最高に褒めまくりますので、心の準備をお願いいたします。
■「STEREO 70sの音に心を鷲掴みにされた」
最初に、テレビ(レグザ55X8400)で録画しておいたサザンオールスターズの特番(NHK地デジ)から、新曲「Relay〜杜の詩」のライブシーンをHDMI ARC経由にて視聴したのだが、イントロが流れた瞬間、私は心を鷲掴みにされ、画面の向こう側に引き込まれそうになった。桑田さんのやるせない思いが、これでもかというほど胸に迫る。
こんなマランツサウンドは聴いたことがない。NR1200はもちろん、過去にこのリビングで聴いたMODEL 40nやCINEMA 50とも違う。強いて言うならば、MODEL 30やAV 10+AMP 10とは共通項があるだろうか。