PRqdcとアユートのコンセプトモデル第3弾
qdcのすべてを表現する“皇帝” 、ハイエンド・ハイブリッド型イヤホン「EMPEROR」に聴き入る
フェイスプレートは、世界遺産である中国・九寨溝の湖水の輝きをアバロン、すなわちアワビ貝による装飾細工で表現したデザイン。周囲のフレームと中央のロゴのゴールドは、四方を司る霊獣の長としてその中心を守り、また皇帝の象徴でもある「黄龍」を表しているとのこと。その荘厳さはぜひ実機で体感してほしい。
なお本機は、耳型をもとに作るオーダーメイドのカスタムIEMモデル「EMPEROR-C」も展開する。耳型を採って送る手間や制作期間がかかるものの、シェルそのものが耳の中にピタッと密着するので装着性/遮音性はさらに高まる。
さらに、このカスタムIEMならではの密着感を前提にチューニングを微調整した、「EMPRESS-C」という“カスタムIEM専用”バリエーションモデルも用意されている。カスタム派の方はこれら2モデルの情報も確認してほしい。
■音の響きと超低域はトップクラス。好きな音楽の“最高”を引き出す
ではいよいよ、“荘厳なる皇帝をイメージしたエネルギッシュさがコンセプト”“過渡特性を重視した正確でキレのある音と、ダイナミックドライバーによるサブベースのほどよい余韻が特徴”という、EMPERORのサウンドについてお伝えしていこう。再生DAPはAstell&Kern「KANN ULTRA」、バランス駆動メインで試聴した。
まずは、“荘厳”“エネルギッシュ”のイメージが重なる楽曲、アニメ『葬送のフリーレン』サントラから「Zoltraak」でチェック。フェルンVS魔族リュグナーを盛り上げてくれたあの曲だ。
これはいきなり相性が良すぎる。打楽器の細かなフレーズの立体的な明瞭度、特に低音打楽器の描写は楽曲を通して印象的だ。アタックの素直さや響きの豊かさ、それらによる存在感の確かさは、イヤホンではなかなか得られないレベルに到達。低域再生ポテンシャルの余裕を感じさせる、余計な力みのない低音表現だ。
思い返してみればqdcは、Anole V14-Sなど低音側をBAのみでまかなう機種においても、必要十分な超低域再生能力を実現してきた。そこに超低域専用ダイナミック型が加わるとなれば、それより上の帯域に専念できるようになった低域用BAの余裕も増す。総合的な低域再生ポテンシャルの大幅向上も当然か。
響きの再現力が発揮されるのは低域に限らない。現代オーケストラの各楽器、そして『葬送のフリーレン』の世界観に沿った古楽器。様々な音色のそれぞれを明瞭に描き出しながら、豊かな響きによってそれらが一体化されたスケール感もこの楽曲の魅力だ。
その「響きによる一体感」を、EMPERORは完璧に再現してくれる。オーケストラのホール録音に真に対応できる数少ないイヤホンのひとつと言えるだろう。
次は一転して現代的なポップス。“正確でキレのある音”“サブベースのほどよい余韻”が発揮されそうな楽曲、星街すいせいさん「ビビデバ」でチェック。
特に注目したいのはリズムのパワフルさの表現。「Zoltraak」の低音打楽器の描写にも通じるが、EMPERORはそのパワフルさの押し出し方に無理がない。硬く大きく膨らんだ筋肉によるゴリゴリの逞しさではなく、しなやかな筋と頑強な骨によるナチュラルな力強さといった感触だ。
サブベースをしっかり出しつつ、その上のローミッドの抑えが効いているのもポイント。超低域への足し算だけではなく、すこし上の帯域に対しての引き算も駆使する調整で、パワフルさとタイトさが両立されている。マルチウェイ構成を研究し尽くしたqdcによる、マルチウェイ構成ならではのチューニングだ。おかげでこの楽曲で主役級の活躍を見せるベースラインの重心がググッと沈み込み、スタッカートもキレキレ。
最後に、現代最高峰ギタリストの一人であるジュリアン・ラージさんのアコースティック楽曲、「Double Southpaw」を聴いてみたところ……最高の一言。
単純な音量の大小だけではなく指先による音色の変化なども含めた、音楽的なダイナミクス表現への追従が最高。演奏者の呼吸や衣擦れといった、細かな物音の生々しい実在感が最高。ウッドベースも、ボワンモワンとした緩い響きなどではなく、速さと芯のあるウッディさで迫ってきて最高。
圧巻のサウンドとそれを具現化する技術。EMPERORにはqdcのすべてが内包されている。最高の音か。欲しけりゃくれてやる……と言わんばかりの傑作だ。その覇気をぜひ体感してみてほしい。
(協力:アユート)