PRブックシェルフ「R200」とトールボーイ「R600」を検証
高評価のPolk Audioスピーカー、最上位「Reserve」はどれだけ凄い? 2chとサラウンドで徹底比較!
“レベルが違う”余裕綽々なサウンド
R200とR600の試聴は、先のSignature Eliteシリーズと同じ環境を意図し、ソースとアンプの両方でマランツの薄型AVアンプ「CINEMA 70s」と組み合わせた。音源にはCINEMA 70sのネットワーク機能「HEOS」を使い、Amazon Musicを中心に再生した。
まずはR200から聴いてみたが、一聴して上にも下にも伸びる優れたレンジ感、音楽のスケールを存分に感じさせる空間の広がりが印象的。全帯域に渡って情報量も豊かで、空間の広さが音の薄さを招くようなことはない。
以前聴いたSignature Eliteシリーズのブックシェルフ「ES15」は130mmウーファー搭載モデルなので、必ずしも直接的な比較はできないのだが、それを加味しても、文字通り「グレードの違い」は明らかだ。中域にボリューム感があり元気なES15と比べてオーディオ的なレベルがかなり向上しており、細部にいたる丹念な描写もあいまって、素直に「これは立派だ」と唸ってしまった。
潤いや浸透力よりも中低域の歯切れの良さ(ポートの効果もあるのだろうか)、トランジェントの良さで聴かせるタイプであり、ユニットの性能の高さが如実に音に出ているという印象を受ける。全体的に非常に充実感のある再生音であり、製品価格に対する満足度という点ではES15も相当素晴らしかったが、R200も負けていない。Polk Audioというメーカーの実力を、改めて目の当たりにした気分である。
ES15を含むSignature Eliteシリーズの大きな美点だった、素直に音楽を楽しませる、いうなれば「陽性の音」はR200でも健在。となれば、これはシリーズを越えたPolk Audio全体の特色と言っていいだろう。
ただ、帯域バランスのチューニングでそれを成し遂げている感のあるES15に対し、R200はユニットの能力の高さによって、音楽の諸要素をしっかり表出させることで「陽性の音」を実現している感があり、やはりレベルが違う。余裕綽々という表現がしっくりくる。
トールボーイの魅力を味わえるR600
続いてR600を聴く。自分自身が制作に携わったという意味でも筆者のリファレンスであるKOKIA「白いノートブック」では、冒頭のアコースティックギターとピアノの時点で、R200とは音の厚みに歴然とした違いが生じる。トールボーイに期待されるものとして当然低音域の拡張があるわけだが、その点R600は量感よりも質、沈み込みを重視しているようで、深くかつ適度な締まりと弾力を両立した低域が得られる。
『白いノートブック』でもPapa Grows Funk「Slinky Snake」でも、曲の中でベースが入ってきてもR200からさほど帯域バランスが変わらず、165mmウーファーを2基搭載するトールボーイとしては低域の量感はむしろ控えめですらある。
とはいえ、前述の通り確実に低域の再生能力は向上しており、低音楽器の存在感が音楽により深い奥行きを与えている。全体的な解像感の向上も見逃せない点だ。