HOME > レビュー > Genelecのアクティブスピーカーで組むオーディオの楽しみ。洗練されたスタジオに近い超高解像度で空間描写性の高い音

PR世界中のスタジオで愛される信頼性高いモニター

Genelecのアクティブスピーカーで組むオーディオの楽しみ。洗練されたスタジオに近い超高解像度で空間描写性の高い音

公開日 2024/06/20 06:35 角田郁雄
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
Genelec(ジェネレック)は、プロの世界のスタンダード・スピーカーであり、近年はコンシューマーの世界でもレファレンス的存在として注目されている。ジェネレックをリスニングシステムとして組んでみたら、どんな世界が広がるだろう? 角田郁雄氏が試聴してみた。

Genelec アクティブスピーカーシステム「8341A」(価格:オープン、市場実売価格は980,000円前後/ペア・税込、GLM Kit含む)

2Lのモッテン・リンドベルクも使っているスタジオモニター



静寂極める大聖堂の中央で、女性ヴォーカルが歌唱する。その周囲を、ピアノ、ギター、トランペット、ドラムス・パーカッション、ベースが囲む。歌い手の表情はまさにリアルで、声質や声使いだけではなく、時折体の向きを変えて歌う様子まで見えてくる。映像があるわけではない。しかし、オーディオファイルは見えない奏者の姿や僅かな表情や小さな物音までも求めようとする。トランペットの眩いほどの響き。ベルから噴出する細かな響きがある。ベースには木の響きがある。そして弦の響きがブレンドされる。

ステージは変わり、ジャズ・ピアノトリオを堪能する。ステレオ再生だというのに、ドラムスの前にピアノの響きが左右に浮かび上がる。その左にベースのピチカートが浮かび上がる。何という立体空間であろうか。演奏の臨場感が、眼前に展開してくる。倍音豊かで、旋律を紡いでゆくアーティキュレーションや言葉では表せないテクスチャーまで感じさせる。

これは、ノルウェーのレコードレーベル、2Lのモッテン・リンドベルクが録音した『クワイエット・ウィンター・ナイト』と『ポラリティ』。ともに奏者はホフアンサンブルだ。フィンランド生まれのGenelecのスピーカーモデル「The Ones」シリーズの「8341A」で聴いた時の印象である。2Lのアルバムは、サラウンド・マイクで録音され、そこで活躍したスタジオ・モニターもジェネレックだ。

20年くらい経つだろうか、創業間もない頃のモッテン・リンドベルクに会った時、ハイレゾのサラウンド再生を積極的に進めたいと語っていた。サラウンド録音した音を2chにまとめ上げるには、正確なモニターが必要だとも語っていた。その彼が後に選択したのがThe Ones。

ジェネレックのスピーカーが設置された2Lのモッテン・リンドベルグ氏のスタジオ

The Onesは、いまや世界の著名なスタジオや音楽ホールはもちろん、エンジニアやアーティストまでも愛用するに至っている。音がリアルで、空間描写性の高いモニター。ハイレゾの再生帯域をカバーする超解像度再生。大型スピーカー並みの広く深い空間を再現し、微細な音から壮大な高い音圧を実現する。ダイナミックレンジが広く、くまなく再生してしまう性能の高さ。世界で高く評価されている。

同軸3ウェイ4スピーカー、そしてマルチアンプ駆動



同社について紹介しておこう。1978年にフィンランドで創業。イルポ・マルティカイネンとトッピ・パルタネンが大学で音響を学んでいる際、フィンランドの放送局、YLEに務める友人からモニタースピーカーの開発を依頼されたことがはじまり。使用するパワーアンプで音が変わってしまってはいけないと考え、パワーアンプを内蔵するアクティブスピーカーの開発を進めた。その後、高い評価を受け、ダブル・ウーファー搭載の3ウェイ・モニタースピーカーなど数々のモデルが登場した。

8341Aと角田郁雄氏。手に持っているのは、ジェネレックの最もコンパクトなスピーカー8010A

近年は、8341Aのようなスタイリッシュでコンパクトでありながら同軸3ウェイとなるアクティブ・スピーカーを登場させ、高い評価を受けている。ラウンドカーブをつけた流麗なキャビネットの前面に、浮き上がるようにフロント・バッフルがある。これは工業デザイナー、ハッリ・コスキネンとの共同開発。エコを考え、97%リサイクル・アルミ製で、一定時間使用しない場合、電源OFFとなる電源管理機能も備えている。

中央のドライバー・ユニットは、高域と中域を再生する同軸型ドライバーで、バッフル面の絶妙なカーブは放射音のウェーブガイドとなっている。本体キャビネットとフロント・バッフルの間にはスリットがあり、キャビネット上下に楕円形ウーファーが設置されている。音響軸が一致したポイントソースの3ウェイ構成で、音像を微妙に乱す回折効果もない。

トゥイーターとミッドレンジは同軸ユニットを構成し、ウーファー2基はそれを挟むように上下に配置。全体で仮想同軸3ウェイというポイント ・ ソース理論に基づいた設計が施されている

搭載されたパワーアンプは、高域と中域用は150Wでそれぞれ独立。ウーファー用は250W。内部にはDSP制御のアクティブ・クロスオーバー・ネットワーク回路があり、専用計測マイクとパソコンで、GLM自動キャリブレーション機能が使え、室内の環境により周波数特性が補正される。アナログ入力はXLR仕様だ。

右が背面、左が底面。ライン入力端子はXLR型のみで下向きに取りつけられている。デジタルの入出力もAES/EBU各1系統。ゴムに似た内部損失の高い特殊素材でできているIso-Podスタンドが付属しており、底面に沿ってスライドさせてスピーカーの角度を調整することができる

洗練されたスタジオ・イメージのシステムを構築



こうした特徴をもつ本機を活かすために、私が提案するのは、まさにスタジオを彷彿とさせるコンポーネントだ。

私は、音楽制作で使用されるアクティブ・スピーカーで再生することは、オーディオファイルにとって、決してミニマムなシステムだとは思っていない。オーディオシステムのひとつの理想型だ。大切なことは、ユーザーがどのようにコンポーネントを組み、楽しむかだ。

例えば、シンプルにエソテリックのプリアンプ機能搭載のネットワークプレーヤー「N-05XD」を使用し、ハイレゾを楽しむこともできる。プリアンプを使い、従来同様、好みのコンポーネントを楽しむこともできる。

角田郁雄・選“ジェネレックのあるシステムプラン“ スタジオを彷彿とさせるプラン。スピーカーシステム:Genelec「8341A」/SACDプレーヤー:Playback Designs「MPS-6」/ネットワークトランスポート:Playback Designs「MPS-X」/オーディオサーバー:DELA「N1」/ネットワークスイッチ:DELA「S100」/10MHzマスタークロックジェネレーター:MUTEC「REF10 NANO」

今回は音量調整可能なSACDプレーヤーとして、プレイバック・デザインズの「MPS-6」を選び、ネットワークストリーマー&デジタルインターフェース「MPS-X」を組み合わせた。今までコレクションしたCDやSACDとハイレゾを楽しむシステムで、ともにスタジオ機器やDSDマスタリング機器などを開発してきたアンドレアス・コッチの製品だ。これにDELAのミュージックライブラリー「N1」もプラス。MUTECの10MHzマスタークロック・ジェネレーター「REF10 NANO」もN1に接続。これで、お部屋には洗練されたスタジオ・イメージのシステムが並ぶ。

GLMによる音場補正の効果は絶大だ。高域から低域までスムーズな繋がりの良さを感じさせる。

試聴の感想は、冒頭のとおり感動的だ。音色としては、やや暖色系で、高密度なアナログ再生を思わせるところがある。MPS-6による50MHz DSD再生の特徴も活かされているだろう。アナログ録音と同質の豊かな倍音が、シンバルやトランペットなど金属製楽器から聴ける。

SACDも良いが、N1とREF10 NANOのコンビネーションは、その先を行っているように思える。192kHz/24bitのスタンダードな音源であっても、手で触れられるかのような、立体空間を描写してくれる。1950年以降のクラシックの名曲も最新マスタリングされ、レコードでは聴けないダイナミックレンジを感じる。

ジェネレックのThe Onesには、シンプルなオーディオという括りがあるわけではない。このように、長く愛用しシステムを拡張する楽しみがある。若い世代に限らず、これからのホームオーディオで、活躍することであろう。

Genelecのお薦めラインアップ。「G One」(オープン、市場実売価格は90,000円前後/ペア)、「8331A」(オープン、市場実売価格は780,000円前後/ペア、GLM Kit含む)、「8351B」(オープン、市場実売価格は1,260,000円前後/ペア、GLM Kit含む)

「Genelec エクスペリエンス・センター Tokyo」にて試聴も受付中!



ジェネレックジャパンでは、予約制で試聴することができるエクスペリエンス・センターを東京・赤坂に用意。ぜひ、そのサウンドを体験してみてはいかがだろう。

場所:東京都港区赤坂2-22-21
※2週間後以降の平日11:00〜18:00の間の一時間で予約可能
Genelec エクスペリエンス・センター Tokyo 予約ページ
URL:https://www.genelec.jp/genelec-experience_pw/

(提供:ジェネレックジャパン)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.193』からの転載です

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE