PR完成したハードウェアに新たなサウンドチューニング
3代目 “音の良いサウンドバー” 「DHT-S218」レビュー。デノン・サウンドマスターが到達した「新しい景色」
■ハードウェアはほぼ同じ……なのに音質は大幅レベルアップ!
新社屋となった音元出版の試聴室でクオリティチェックを行った。まずはDHT-S218とDHT-S217を並べてデザインの違いを確認した。先述した通り、筐体サイズ/構造に変更はない。グリルの色や素材としての質感に違いがあり、さらに側面にあるバスレフポートが落ち着いたネイビー色となったことで、見た目の質感が上がった。最近人気のある木目のテレビ台とは色彩的に相性が良くなっている。
まずは映像ソースで、テレビの内蔵スピーカー、DHT-S218、DHT-S217をそれぞれ比較する。動画配信サービスのNetflixから、話題の邦アクション映画『シティーハンター』を再生した。最初はTVの音を確認したのち、従来モデルのDHT-S217の音をサウンドモード「MOVIE」で聞いた。
あまり派手に書きたくないが、テレビと比べて音質のレベルは別の領域に上がる。具体的にはまず、全ての音の明瞭度が大きく向上し、TVではモゴモゴと聞き取りづらかったセリフがしっかりと聞こえるので、ある意味音量を上げなくても良いくらいに明瞭になる。
2点目は音の迫力が大きく上がる。超一流のスナイパー冴羽獠のガンアクションのシーンの音をはじめとする大小の爆発音、さらにテレビではあまり聞こえなかった小レベルの環境音なども聞こえるようになり、作品にのめり込める。
さて、レビューとしてはここからが本番だ。続いてDHT-S218に切り替えた。正直に書くと、スピーカーユニットやエンクロージャーに変更がないと聞いていたので、サウンドはあまり変わらないのではないかと思ったのだが、全くそんなことはなく衝撃を受けた。
DHT-S218は、一聴して音の抜けが大きく上がっている。高音域から低音域にかけて全領域で音のディテールがさらに上がったことで、セリフの明瞭度から爆発音、もう少しマニアックに書くと銃撃戦のシーンで鉄板に跳ね返される弾丸のスピード感さえわかるようになる。
また、サウンドステージがさらに広くなっていることも特筆点。その音が更に活きたのが、4K UHD BDから再生した、レース映画の『グランツーリスモ』だった。筆者は車趣味があり、以前はサーキットに通っていたので、その視点でこのタイトルの音を厳しくチェックしているのだが、DHT-S218での視聴感は抜群だった。
例えばチャプター8のレースシーンでは、レッドブルリンクサーキットに反響する観客の声援がDHT-S218だとより広大に聞こえ、サーキットの場内にいるような高い臨場感がある。レースシーンでは、車内にこだまするシーケンシャルギアの“キーン”といった音の表現もかなりリアルだ。
音楽ソースについては、最初にYouTubeの@Ayase_YOASOBIオフィシャルチャンネルからYOASOBI『アイドル(Idol)from「Clockenflap」2023.12.01@Central Harbourfront in Hong Kong』を「PURE」モードで再生したが、この場合でもDHT-S218に強いアドバンテージがあった。
どちらかというと中音域を中心に音の帯域バランスを整えたDHT-S217に対し、DHT-S218は透明感が増してボーカルとバックミュージックのバランスが良くなり、広くなったサウンドステージも手伝い、より立体的かつ楽しい音に聞こえる。
最後は、手持ちのiPhoneとDHT-S218をBluetoothで接続して、テイラー・スイフトの楽曲を聴いた。もちろんサウンドモードは「PURE」だ。音質の印象としては、クセのない帯域バランスを保つDHT-S217を基軸に、ディテールや透明感を向上させている。低音域のボリュームは豊かだが、しっかりとしたダンピングでシェイプされており、音楽的にも楽しい音。不自然な質感がなく、長時間音楽に浸れる正統派のサウンドだった。
余談となるが、サウンドバーで音楽や映画を楽しむ時にキーとなるのが、2つ。サウンドモードの選択と低域の量感(ベースコントロール)の調整だ。MOVIEはセリフの明瞭度が高く、低音域をブーストして迫力を出した音。MUSICは音のディテールがしっかりして躍動感な音、サウンドステージも立体的だ。
そして、PUREは音のクセがなく高価なハイファイオーディオで聴いているような自然な音で音楽性が高い。これらのサウンドモードをベースに壁の距離や好みに合わせてベースコントロールを調整すれば良い。
同社の関係者によると、山内氏にとって前モデルからパーツを変更していないDHT-S218のサウンドチューニングを行うことは大きなプレッシャーだったという。しかし、その間に発売されたフラグシップAVアンプ「AVC-A1H」をはじめとする様々なAVアンプの開発過程で、山内氏にはビジュアルやオーディオの求める“新しい景色”が見えたそうで、そのセンスを入れ込んだのがDHT-S218なのだ。
本モデルは、数あるサウンドバーの中でも特に価格以上の満足感をもたらす1台だと断言したい。
(協力:ディーアンドエムホールディングス)