Beats、Nothing、テクニカ、JBLの最新モデルをピックアップ
耳で楽しむ平成レトロ。この夏は「スケルトン完全ワイヤレス」がトレンドかも
■実はスケルトンの老舗? オーディオテクニカ「ATH-CKS30TW+」
オーディオテクニカといえば、スケルトンよりもウッドや金属のハウジングを使った製品が多いイメージかもしれない。しかし、過去にはiMac G3にカラバリを合わせたスケルトンデザインのヘッドホンを発売していたりと、時代に合わせた柔軟なスタイルを持っている。今回のスケルトンモデルの発売もその証左といえよう。
そんな同社の低音ブランド「SOLID BASS」シリーズのTWSは、ややスモークがかったブラックのスケルトンがかっこいい。「クリアブラック」っぽさもあるような、今回紹介する中では一番今風のスケルトンだ。差し色としてはイエローが使われており、ケースのブランドロゴやイヤホンのLR表記など、細かいところでアクセントになっている。
イヤホン本体はSolo Buds同様に曲線的なデザインで、耳にスッと馴染む。側面には指をひっかけやすい凹凸もあって取り回しが良好だ。
音質はやはりSOLID BASSらしく、アタック感が心地よい低音重視のチューニング。あとに引くようなモッタリ感は無く、弾むようにスピーディでキレのある低音だ。低域の量感とエッジの立った中高域のバランスがちょうどよく、こもった感じがかなり抑えられている。星街すいせい「ビビデバ」のような複雑なリズムも気持ちよく、ボーカルも近くて聴き応えがある。
これだけでなく、専用アプリのイコライザーもかなりのこだわりだ。カスタム機能は無く、用意された5種類から選ぶ形だが、これが凄まじい。「Bass Boost - Deep」、「Bass Boost - Beat」、「Dynamic」と、低域重視のイコライザーが5つ中の3つも占めている。それぞれの効きも良く、「ひとくちに低音が強いって言っても色々あるよね〜」という「色々」を全部体感できそうなバリエーション。SOLID BASSシリーズで低音を突き詰めてきたノウハウは伊達じゃないようだ。
ANCもなかなか強力で、それでいてキツさはあまり感じない。ヒアスルー(外音取り込み)はやや再生感があるが、小さな音も拾いやすい。低遅延モードや、自分の声をイヤホンに戻して通話しやすくするサイドトーン機能、リラックス効果のあるサウンドを再生できるサウンドスケープ機能など、専用アプリの機能性の充実も印象的だった。
総じて、低音を得意とするシリーズならではの「手練れ感」を感じる仕上がりだ。数多くの製品ラインナップを揃えるオーディオテクニカだからこそ、こうした振り切ったモデルが出せるのだろう。低音好きにイチオシしたい1台だ。
■基板が見えるド直球スタイル! JBL「Tune Beam Ghost Edition」
こちらも老舗スピーカーメーカーでありながら、タッチパネルを搭載するTWSなど、先鋭的な製品開発を欠かさないJBL。そんなJBLのスケルトンモデルは、「Ghost Edition」の名を冠するだけあって透明度が高く、まさに「スケルトン」って感じの直球のデザイン! ケースはしっかり中の基板が見えるほどで、好みが分かれるかもしれないが、スケルトン欲は間違いなく満たしてくれる一品だ。
また、ケースはやや大柄ながら全体的に丸みを帯びた形状で握りやすい。イヤホン本体もスティックタイプで扱いやすく、こちらもケース同様に透明度が高いものの、装着時に見えるスティックの外側はカラーが付いているので、ややさりげなく主張するスケルトンといった感じだ。
音質は低域を得意とするJBLらしく、ふくよかでややウォームな低域の柔らかな響きが心地よい。前3機種と比べると、グイグイ前に出てくる低音というよりは、下をどっしりと支えてくれているような存在感だ。ALI「Professionalism feat.般若」など、ジャジーでファンクなサウンドも表情感豊かに鳴らしてくれる。
ANCは軽く閉塞感を感じるレベルで結構強く、空調の「ゴー……」という音などは完全に聞こえなくなるレベル。アンビエントアウェア(外音取り込み)も自然で聞きやすい。また、声の取り込みに特化した「トークスルー」が別途用意されているのも便利だ。
専用アプリのUIも直感的でわかりやすく、こちらも通話時に自分の声を戻して話しやすくできるボイスアウェア機能や、再生時の音質と遅延をそれぞれ最適化できるスマートオーディオモードなど、使いやすい機能が揃っている印象だ。
いずれも実力あるブランドだけあって、当然ながら単なる便乗的な安っぽいアイテムでなく、それぞれのアプローチで作り込まれた完成度に舌を巻く。スケルトンブームの当時を知る人は懐かしさを、そうでない人は新鮮さを感じながら、スケルトンの先にある魅力を透かしてみてほしい。