【特別企画】音の立ち上がりやトランジェントにも効果あり
D-REN Ringを追加したティグロンの多機能スタビライザーが登場!音像の明瞭度がさらに向上
ティグロンがドイツ発BLACK FOREST AUDIO社のフォルカー・キーン氏と共同開発した多機能設計のアナログスタビライザーがMKIIへと進化した。ティグロンの特許技術であるD-REN Ringを新たに追加し誕生した「BFA-CLAMP MK-II」。従来モデルのユーザーでもある小原由夫氏が、その音質的進化を体験する。
レコード再生のアクセサリーのひとつ、いわゆるスタビライザーには、重し的なヘヴィーな重量によって押さえるタイプと、ネジ込み式の機構によって圧着するタイプ(クランパーと呼称するものが多い)の2種類がある。大まかに効能自体は共通しており、レコードの反りの矯正や、プラッターとレコードの密着度のアップで、結果として微振動の押さえ込み、トレーシング性能の向上等が期待できるわけだ。
物量投入型のターンテーブルでは前者のタイプを使って何ら問題ないが、フローティング構造のターンテーブル等では重量で押さえるタイプはご法度。フローティング動作に支障を来すからだ(軽量級プレーヤーでも総じて同様の傾向である)。
私が日常使っているターンテーブルはいずれも物量投入型なので、重量級スタビライザーを使用して何ら問題ないのだが、ここ数年愛用しているもののひとつが、クランプタイプのティグロン「BFA-CLAMP」である。
本アイテムは、独BLACK FOREST AUDIO社のフォルカー氏とティグロンの共同開発にて誕生したもので、独国にて実用新案を取得済み。金属を極力使用せず、プレーヤーのスピンドルにしっかりとクランプする構造を実現している。カーボン入り特殊合成樹脂素材の採用で充分な剛性を確保しつつ、本体重量100gという軽量化を達成しているのも特徴といえよう。
これには2通りの使い方があり、汎用的なスタビライザーと同様にレコード盤のレーベル部分に載せて微振動を抑制する方法と、スピンドルの長さが充分にある場合に、本アイテムのコレットチャック部をそこにしっかりと嵌合させ、中心から圧力を掛けてレコードの反り等を矯正させてトレース性能を大幅に向上させる方法である。
使用する際には、付属の白いソフトワッシャーをプラッターに填め、その上にレコードを載せ、さらに付属の黒いカーボンファイバーワッシャー(光沢のある面を上にする)を載せてから本アイテムを勘合させる。
盤面中心を上から押さえ付けながら、二重構造のクランプスクリューとプレススクリューを使って時計周りにそれを締め込んでいって圧力を掛けていく作業に若干のコツ、慣れが必要ではあるが、習熟さえしてしまえば操作プロセスは比較的イージーだ。ちなみに私は同社のターンテーブルシートBFA-MATを併用している。
ところで今回のMKII版だが、外観や仕様はほぼ変わらず、クランプスクリュー部分にティグロン社の特許技術「D-REN Ring」を追加したことが新しい。これにより微振動がさらに抑制され、解像度アップと音場再現の自然さがもたらされたという。
半ば高を括って、半信半疑で旧タイプとの比較試聴を始めたのだが、自分の猜疑心を大いに恥じた。明らかに音の立ち上がり、トランジェントが向上しているではないか! 音場の見通しも俄然広く、深く、雄大な3次元で展開する。霞が晴れたというおざなりな表現でなく、視野角が広がったような印象を受けるのだ。
一方では、あたかも無駄な贅肉が削ぎ落とされ、音像の明瞭度が上がったかのようでもある。例えばジャズにおけるシンバルの質感は、コツコツ、ジャラーンという音色に実体感とリアリティが増した。クラシックのヴァイオリンでは、トレモロのニュアンスが一層明瞭に聴こえる。
MKIIに比べると、旧タイプのBFA-CLAMPの音は質感再現がやや粗く感じられ、特に高域の表情にわずかに付帯音が乗っているような印象も受ける。このあたりに「D-REN Ring」の効能が発揮されているのだろう。予想以上の改善効果である。
(提供:ティグロン)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.194』からの転載です
軽量級プレーヤーにも使用できるスタビライザー
レコード再生のアクセサリーのひとつ、いわゆるスタビライザーには、重し的なヘヴィーな重量によって押さえるタイプと、ネジ込み式の機構によって圧着するタイプ(クランパーと呼称するものが多い)の2種類がある。大まかに効能自体は共通しており、レコードの反りの矯正や、プラッターとレコードの密着度のアップで、結果として微振動の押さえ込み、トレーシング性能の向上等が期待できるわけだ。
物量投入型のターンテーブルでは前者のタイプを使って何ら問題ないが、フローティング構造のターンテーブル等では重量で押さえるタイプはご法度。フローティング動作に支障を来すからだ(軽量級プレーヤーでも総じて同様の傾向である)。
私が日常使っているターンテーブルはいずれも物量投入型なので、重量級スタビライザーを使用して何ら問題ないのだが、ここ数年愛用しているもののひとつが、クランプタイプのティグロン「BFA-CLAMP」である。
本アイテムは、独BLACK FOREST AUDIO社のフォルカー氏とティグロンの共同開発にて誕生したもので、独国にて実用新案を取得済み。金属を極力使用せず、プレーヤーのスピンドルにしっかりとクランプする構造を実現している。カーボン入り特殊合成樹脂素材の採用で充分な剛性を確保しつつ、本体重量100gという軽量化を達成しているのも特徴といえよう。
クランプスクリュー部分にD-REN Ringを追加
これには2通りの使い方があり、汎用的なスタビライザーと同様にレコード盤のレーベル部分に載せて微振動を抑制する方法と、スピンドルの長さが充分にある場合に、本アイテムのコレットチャック部をそこにしっかりと嵌合させ、中心から圧力を掛けてレコードの反り等を矯正させてトレース性能を大幅に向上させる方法である。
使用する際には、付属の白いソフトワッシャーをプラッターに填め、その上にレコードを載せ、さらに付属の黒いカーボンファイバーワッシャー(光沢のある面を上にする)を載せてから本アイテムを勘合させる。
盤面中心を上から押さえ付けながら、二重構造のクランプスクリューとプレススクリューを使って時計周りにそれを締め込んでいって圧力を掛けていく作業に若干のコツ、慣れが必要ではあるが、習熟さえしてしまえば操作プロセスは比較的イージーだ。ちなみに私は同社のターンテーブルシートBFA-MATを併用している。
ところで今回のMKII版だが、外観や仕様はほぼ変わらず、クランプスクリュー部分にティグロン社の特許技術「D-REN Ring」を追加したことが新しい。これにより微振動がさらに抑制され、解像度アップと音場再現の自然さがもたらされたという。
トランジェントが向上し音色の実体感とリアリティが増大
半ば高を括って、半信半疑で旧タイプとの比較試聴を始めたのだが、自分の猜疑心を大いに恥じた。明らかに音の立ち上がり、トランジェントが向上しているではないか! 音場の見通しも俄然広く、深く、雄大な3次元で展開する。霞が晴れたというおざなりな表現でなく、視野角が広がったような印象を受けるのだ。
一方では、あたかも無駄な贅肉が削ぎ落とされ、音像の明瞭度が上がったかのようでもある。例えばジャズにおけるシンバルの質感は、コツコツ、ジャラーンという音色に実体感とリアリティが増した。クラシックのヴァイオリンでは、トレモロのニュアンスが一層明瞭に聴こえる。
MKIIに比べると、旧タイプのBFA-CLAMPの音は質感再現がやや粗く感じられ、特に高域の表情にわずかに付帯音が乗っているような印象も受ける。このあたりに「D-REN Ring」の効能が発揮されているのだろう。予想以上の改善効果である。
(提供:ティグロン)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.194』からの転載です