PR英国エンジニアへのインタビューでわかったドライバーユニットの秘密
実は独自の “平面” 形状!? 新型振動板によるトゥルーサウンド、B&W「Pi8」「Pi6」の魅力に迫る
■独自振動板の開発に加えて設計の工夫で消音効果も向上
新しいPiシリーズの音づくりに関わる詳細について、メールインタビューで得た情報により深く踏み込もう。
Pi7 S2では9.2mm口径のダイナミック型とBA型によるハイブリッド構成のドライバーを採用していた。Pi8ではダイナミック型ユニットの1発勝負に挑んでいる。一般にはハイブリッド構成のドライバーの方が音づくりの幅を広げやすいなど、優位な点が多々あるとされている。なぜシングルダイナミック・ドライバーを選択したのだろうか。
B&Wの担当者は「より高性能なカーボンコーン振動板が入手できたこと」が大きな決め手になったと説いている。「Px8のものと同素材の振動板をイヤホンに採用しました。とても軽く、入力された信号に対するピストンモーションの再現性能も上々です。結果として一段とダイナミックで、高音域のリアリティにも富んだ音が鳴らせます」(担当者)。
加えてPi8だけでなくPi6も詳細こそ非公開だが、振動板の形状はドーム形状ではなく平面だという。これを踏まえてハウジングの設計やメカニカルパーツの配置などを最適化したことが、Pi7 S2からの「大きな変化」に結びついているのだろう。
■世界で初公開かも?! Piシリーズの振動板は “平面” だった
1BA+1DDから「平面1DD」に変更
Pi8には、B&Wのオーバーヘッド型ヘッドホン「Px8」の際に開発した「カーボンコーン・ドライブユニット」を、Pi6には「バイオセルロース・ドライブユニット」を搭載している。前作Pi7 S2ではバランスド・アーマチュア(BA)型を1基、ダイナミック型を1基搭載するハイブリッド構成だったため、一見すると物量が減ってしまったと感じるかもしれない。だが、それは杞憂だ。というのも、Pi8とPi6に搭載される振動板はドーム形状でも円錐形状でもなく、平面形状を採用しているという。
残念ながら詳細は非公開となってしまったが、駆動方式はあくまでダイナミック型なので、平面磁界駆動型とは異なる独自のドライバーであるのは間違いない。そのため、Pi7 S2(写真中の黒いイヤホン)と比較してもかなり小型になっている。
1BA+1DDから「平面1DD」に変更
Pi8には、B&Wのオーバーヘッド型ヘッドホン「Px8」の際に開発した「カーボンコーン・ドライブユニット」を、Pi6には「バイオセルロース・ドライブユニット」を搭載している。前作Pi7 S2ではバランスド・アーマチュア(BA)型を1基、ダイナミック型を1基搭載するハイブリッド構成だったため、一見すると物量が減ってしまったと感じるかもしれない。だが、それは杞憂だ。というのも、Pi8とPi6に搭載される振動板はドーム形状でも円錐形状でもなく、平面形状を採用しているという。
残念ながら詳細は非公開となってしまったが、駆動方式はあくまでダイナミック型なので、平面磁界駆動型とは異なる独自のドライバーであるのは間違いない。そのため、Pi7 S2(写真中の黒いイヤホン)と比較してもかなり小型になっている。
筆者が先述したPi8、Pi6の自然なANCのバランスについて、B&Wの担当者はPi8ではPx8のために開発した独自アルゴリズムのANCプラットフォームを応用したことで、Pi6はQualcommのSoCの機能をベースに独自チューニングできたことで実現できたと語っている。イヤホン本体のデザイン変更に伴って内蔵するマイクの位置を調整したことで、外音取り込みについてもさらにクリアな音を集めて機能の効果を高めることに成功した。
内蔵マイクのレイアウトを最適化したことで、B&Wの開発チームがハンズフリー通話のクオリティアップも成し遂げた。Pi8はノイズ除去のアルゴリズムをブラッシュアップした。Pi6については最新世代のClearVoiceCapture(cVc)機能を統合するチップセットが選ばれたことも奏功している。
■音響設計を第一に考えるがデザインは優美で装着性も◎
Pi8とPi6はプレミアムクラスのワイヤレスイヤホンとして「心地よいデザイン」を追い求めたとB&Wの担当者は語っている。その足もとには、単純に装着性をよくするだけでなく高評価を獲得したワイヤレスヘッドホンのPx8やPx7 S2e、そしてB&Wのスピーカーシステムのデザインにも共通する「あるコンセプト」が通底している。
「私たちは可能な限り最高の性能を追求しますが、同時にデザインについても常に美しいフォルムと素材を選ぶことにこだわり抜いています。私たちにとって、プロダクトのデザインを極めることはとても重要な使命です。根底には最高の音響性能を実現するために培ってきた経験と音響原理があります。たとえば『801 D4』のような重量級のフロアスピーカーとPi8のようなワイヤレスイヤホンでは、理想のデザインにたどり着くためのアプローチは異なっています。しかしどんなカテゴリーの製品であっても、そしてこれから私たちが世に送り出す製品もすべてB&Wが手がけたものであることが明確にわかるデザインにすることは、とても大事にしている要素です」
今の市場を見渡せば、B&WのPiシリーズはライバルに比べて高価なワイヤレスイヤホンに位置付けられる。日本で最新モデルが成功していることはすでにB&Wの本社にも届いて、開発チームを奮い立たせているようだ。
「今回はPi8とPi6をぞれぞれ前世代のモデルからサウンドパフォーマンスは向上させつつも、価格を大きく変えずに発売しました。新しいPiをぜひお楽しみください」。
【SPEC】
■Bowers & Wilkins「Pi8」
●通信方式:Bluetooth Ver.5.4 ●対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive(96kHz/24bit)、aptX Lossless ●ドライバー口径:12mmダイナミック型 ●連続再生時間:最大6.5時間(ANCオン時、ケース込み20時間) ●質量:7g(イヤホン片耳)、46g(ケース) ●付属品:イヤーチップ(シリコンXS/S/M/L)、充電ケーブル、USB Type-C to 3.5mmケーブル
■Bowers & Wilkins「Pi6」
●通信方式:Bluetooth Ver.5.4 ●対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive(96kHz/24bit) ●ドライバー口径:12mmダイナミック型 ●連続再生時間:最大8時間(ANCオン時、ケース込み24時間) ●質量:7g(イヤホン片耳)、46g(ケース) ●付属品:イヤーチップ(シリコンXS/S/M/L)、充電ケーブル
(協力:ディーアンドエムホールディングス)
本記事は「プレミアムヘッドホンガイドマガジンVOL.22 2024 WINTER」からの転載です。