評論家 山之内正がレポート
マランツ、未踏の領域へ。「次元が異なる」弩級フラグシップコンビ「MODEL 10」「SACD 10」レビュー!
マランツが発表した、200万円クラスのフラグシッププリメインアンプ「MODEL 10」とSACDプレーヤー「SACD 10」がいよいよ発売される。これまでのマランツ製品の価格帯を大きく超える、オーディオファン必聴な弩級モデルの実力を、評論家の山之内 正氏がさっそくチェックした。
近年のマランツはオーディオ市場の変化を見据え、HDMIやネットワークなど新しいニーズに応える製品を積極的に投入してきた。「MODEL 40n」や「MODEL M1」はその一例で、デザインも含めたオーディオの固定観念に一石を投じ、主にミドルクラス以下の製品群で大きな成果を上げるに至った。
そして2024年秋、マランツは未踏の領域となるハイエンドオーディオに照準を合わせ、大きな勝負に出る。基準機としてブランドを牽引する新世代のフラグシップを久々に世に問うのだ。
10シリーズの名のもとにソースコンポーネント2機種とアンプ1機種を揃え、いずれもマランツの集大成というべき濃密な内容を誇る。1年遅れだが、実質的な70周年記念モデルと位置付けていいのではないか。今回、同シリーズの核となるプリメインアンプの「MODEL 10」とCD/SACDプレーヤーの「SACD 10」を発売にさきがけて試聴する機会があったので、第一報をお届けしよう。
MODEL 10は新たな提案を含む革新的なアンプで、セパレート型でなくプリメイン方式を選んだことが目を引く。200万円を超える価格帯ではあまり例がないが、あえてプリメインを選んだことには理由がある。ひとことで言えば、一筐体で設計することの長所を確実に押さえつつ、セパレート方式では実現できないメリットを追求しているのだ。
MODEL 10のパワーアンプ部はマランツが10年に及ぶ実績を重ねてきたクラスDアンプの進化形で構成しているため、大出力アンプとしては回路規模が驚くほどスリムだ。その恩恵でプリアンプに十分なスペースを確保できるため、妥協することなくプリアンプ性能をきわめることができる。
MODEL 10の筐体内部は1.2mm鋼板で上下に仕切った2フロア構成で、上層をプリアンプに割り当てている。回路規模は往年の名プリアンプ「SC7」に匹敵するというが、中身は一新しており、新設計のHDAMと進化型のHDAM-SA3を用いた可変ゲイン型回路を導入。ウェイブド・トップ・メッシュ越しに見えるのはケースに格納したプリ専用のトロイダル型電源トランスで、ヒートシンクが異彩を放っている。
下段のパワーアンプ回路は完全バランス設計を貫き、左右同一のデュアルモノ構成を採用。デンマークのPURIFI社と共同開発したスイッチングアンプはマランツ独自仕様で、チャンネルあたり500W(4Ω)の出力を誇る。しかも、特定の周波数ではなく全帯域にわたってこの出力値を確保していることに注目する必要がある。電源回路とアンプ回路間やスピーカー出力部に肉厚の純銅製バスバーを導入するなど、こだわりの強さは大型パワーアンプに迫るものがある。
B&Wの801 D4のようにバイワイヤリング対応のスピーカーと組みわせる場合、2台のMODEL 10を左右に振り分けてバイアンプ駆動で鳴らすこともできる。プリ部も左右が完全独立となり究極のセパレーションが得られるうえに、ボリューム調整も左右連動できるので使い勝手も犠牲にならない。今回の試聴ではこの接続を実際に試し、顕著な効果を確認した。
マランツが世に問う新世代のフラグシップ「MODEL 10」「SACD 10」
近年のマランツはオーディオ市場の変化を見据え、HDMIやネットワークなど新しいニーズに応える製品を積極的に投入してきた。「MODEL 40n」や「MODEL M1」はその一例で、デザインも含めたオーディオの固定観念に一石を投じ、主にミドルクラス以下の製品群で大きな成果を上げるに至った。
そして2024年秋、マランツは未踏の領域となるハイエンドオーディオに照準を合わせ、大きな勝負に出る。基準機としてブランドを牽引する新世代のフラグシップを久々に世に問うのだ。
10シリーズの名のもとにソースコンポーネント2機種とアンプ1機種を揃え、いずれもマランツの集大成というべき濃密な内容を誇る。1年遅れだが、実質的な70周年記念モデルと位置付けていいのではないか。今回、同シリーズの核となるプリメインアンプの「MODEL 10」とCD/SACDプレーヤーの「SACD 10」を発売にさきがけて試聴する機会があったので、第一報をお届けしよう。
MODEL 10に投入された数々の音質的こだわりとは?
MODEL 10は新たな提案を含む革新的なアンプで、セパレート型でなくプリメイン方式を選んだことが目を引く。200万円を超える価格帯ではあまり例がないが、あえてプリメインを選んだことには理由がある。ひとことで言えば、一筐体で設計することの長所を確実に押さえつつ、セパレート方式では実現できないメリットを追求しているのだ。
MODEL 10のパワーアンプ部はマランツが10年に及ぶ実績を重ねてきたクラスDアンプの進化形で構成しているため、大出力アンプとしては回路規模が驚くほどスリムだ。その恩恵でプリアンプに十分なスペースを確保できるため、妥協することなくプリアンプ性能をきわめることができる。
MODEL 10の筐体内部は1.2mm鋼板で上下に仕切った2フロア構成で、上層をプリアンプに割り当てている。回路規模は往年の名プリアンプ「SC7」に匹敵するというが、中身は一新しており、新設計のHDAMと進化型のHDAM-SA3を用いた可変ゲイン型回路を導入。ウェイブド・トップ・メッシュ越しに見えるのはケースに格納したプリ専用のトロイダル型電源トランスで、ヒートシンクが異彩を放っている。
下段のパワーアンプ回路は完全バランス設計を貫き、左右同一のデュアルモノ構成を採用。デンマークのPURIFI社と共同開発したスイッチングアンプはマランツ独自仕様で、チャンネルあたり500W(4Ω)の出力を誇る。しかも、特定の周波数ではなく全帯域にわたってこの出力値を確保していることに注目する必要がある。電源回路とアンプ回路間やスピーカー出力部に肉厚の純銅製バスバーを導入するなど、こだわりの強さは大型パワーアンプに迫るものがある。
B&Wの801 D4のようにバイワイヤリング対応のスピーカーと組みわせる場合、2台のMODEL 10を左右に振り分けてバイアンプ駆動で鳴らすこともできる。プリ部も左右が完全独立となり究極のセパレーションが得られるうえに、ボリューム調整も左右連動できるので使い勝手も犠牲にならない。今回の試聴ではこの接続を実際に試し、顕著な効果を確認した。
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