PR空気伝導+骨伝導の「デュアル・コンダクション」が中高音にも効く
轟く低音が洋楽ロックと相性バツグン!Empire Ears「TRITON Launch Edition」レビュー
付属の標準ケーブルも音のこだわりがあり、パラジウムメッキ銀、金メッキ銀、OCC銀、純銀、銀メッキOCC銅を複合させた線材を採用、シースはPVC 二重構造で黒のナイロン撚り編みというプレミアムケーブル「Monarch」が付属する。IEM側の端子は0.78mm 2pin、再生機器側端子はPentaconn 4.4mm 5極バランスプラグだ。
試聴用の実機を手に取ってみると大変に美しいシェルで、複雑な波を描くような深いエメラルドグリーンのフェイスプレートにトライデントのロゴが浮き上がり、まさに海神ポセイドンの子である “トリトン” を思わせる。シェルは少し大きめだが、装着感はカスタムIEMメーカーらしく優れていて耳にぴたりと装着できる。
■腹の底から響く豊かな低音。中高域の透明感も聴き逃がせない
試聴はAstell&Kern「SP3000T Silver」を用いて聴いた。
TRITONのサウンドは、たっぷりと低音の乗ったサウンドで、滑らかで音楽的な再現性の高さが気持ち良い。低域には骨伝導ドライバーらしい個性的で他にないような独特の豊かさがある。これにより、まさに地に轟き、腹に響くようなサウンドが楽しめる。一方でウッドベースの弦の音の解像感もリアルで、低音域は質感もかなり高い。
またTRITONは低音域だけではなく、中高音域の美しさも大変に印象的だ。高域のベルやハイハットの音が澄んでいて美しく、ヴォーカルはクリアで鮮明かつリアルな声質が楽しめる。これも骨伝導ドライバーの恩恵だろう。TRITONはたしかに低音が印象的なイヤホンだが、低音だけのイヤホンではない。
ジャンルとしては洋楽ロックで録音の新しいものやリマスターアルバムがとても相性が良い。
例えば50周年記念リマスター版のピンク・フロイドのアルバム『DARK SIDE OF MOON』から「Speak to me」では冒頭の心臓の鼓動を思わせるビート音が深く重く伝わってくる。よく試聴に使われる「Time」では冒頭の鳴り響くベルの音が鮮明で美しくリアル、続いて響く低音が沈み込むように深く、それらの明確な対比がフロイドの音楽性の高さをよく表現している。
キング・クリムゾンのライブアルバム『ラディカル・アクション〜ライブ・イン・ジャパン』から「Red」は、荒れ狂うようなギターとトリプルドラムスの破壊的なサウンドがまさにロバート・フリップの描いたような暴力的な音世界を美しく堪能させてくれる。
もちろん全域に音性能が高いので低音の豊かさはオーケストラサウンドでも迫力を生み、中高音域の鮮明さは良録音の室内楽でも光る。SHANTIのような良録音の女性ヴォーカル曲でも十分に楽しめる。
Empire Earsのフラグシップ機である、ダイナミックドライバー、BAドライバー、骨伝導ドライバー、静電トゥイーター(EST)のクアッドブリッド構成/12ドライバーモデル「RAVEN」とも比較してみる。どちらもデュアル・コンダクション方式を採用しているが、全体的にはRAVENの方がよりモニターライクで、TRITONはよりリスニング寄りのサウンドだ。
低音はRAVENも十分な量感があるが、比較するとRAVENはよりパンチがあり、TRITONは地に響くように感じられる。また中高音域においてRAVENではESTドライバーのシャープな音がアクセントになっているが、TRITONはよりピュアで自然な音再現のように感じられた。
まとめるとTRITONは骨伝導ドライバーを活かした個性的でかつ自然な音楽性の高さが魅力的なハイエンドモデルと言える。洋楽ファンにはもちろん、さまざまなジャンルを楽しむ音楽好きに薦めたいイヤホンだ。
(協力:アユート)