PR「AVR-X1800H」「AVR-X2800H」「CINEMA 70s」「STEREO 70s」を比較試聴
「10万円台」「ハイコスパ」AVアンプ/HDMIプリメインをガチ比較!デノン/マランツの厳選モデルを一斉レビュー
■CINEMA 70s、最大出力100W/独立専用基板のアナログオーディオ回路を導入
音の波動をモチーフにマランツの新世代デザインをまとった薄型ボディが特徴的で、シルバーゴールドとブラックの2色か選べるモデルであり、質実剛健の多いAVアンプの中で異彩を放っている。薄型で美しいデザインがリビングに導入しやすく、同価格帯では他を圧倒するベストセラーだ。7chフルディスクリート・パワーアンプ搭載で、最大出力100W。パワーアンプ回路に容量6,800μFのブロックコンデンサーを2基搭載し、25Aの大電流容量に対応する整流ダイオードを採用している。
アナログオーディオ回路は独立した専用基板にレイアウトしており、入力セレクター/ボリューム/出力セレクターの各々に特化した高性能カスタムデバイスを用いている。デジタル回路への電源供給には専用トランスを採用し、アナログ回路との干渉を排除。背面端子には7.2chプリアンプが投入されていることも特徴である。
■音色のニュアンスが豊かで、華やかさと軽快さも備える
デノンのAVR-X1800H、AVR-X2800Hと聴いてきたが、音質的なキャラクターは好対照であり、本機は明るく鮮鋭感主体の音作りだ。落ち着いて端正なデノンに対して、良い意味で華やかで外向的であり、軽快さがある。映画『ツイスターズ』は、解像感が高くサラウンドが高潮しても飽和せず音場がほぐれ、オブジェクトの移動表現がなまらず明快だ。
映画『PERFECT DAYS』の酒場のシーンのセリフが、明るく鮮明で声質差の表出に優れる。感心したのは、DTS Neural:Xのアップミックス再生で音質傾向の変化が少ない部分だ。イマーシブサウンドで現代東京のノイズを繊細かつ自然に出す。BOB JAMES TRIO『Feel Like Making Live!』は、ベースラインが克明なだけでなく、音色のニュアンスが豊かで胴鳴りにアコースティックな膨らみが備わっている。ピアノに倍音がのり、突き刺さるようなアタックも歪まず透明感を失わない。ドラムスの量感と音場一杯にスケール感も豊か。
CD『SF交響ファンタジー』は、楽器の音色が出揃って現代管弦楽曲らしく色彩感がある。帯域が広く聴き手を圧する大オーケストラの音圧だ。キャロル・キッド『All My Tomorrows』は、一聴してダイナミックレンジが豊か、弱音が美しい。ハイレゾらしい音場の奥行きがあり、ヴォーカルにしなやかな抑揚。オケの包み込むような広がりが官能的で、堅実一辺倒でなく良い意味で色気と華がある。
■STEREO 70s、高速アンプモジュール「HDAM-SA2」を搭載
CINEMA 70sと類似した薄型ボディに定格出力75W/chのアナログフルディスクリートアンプを搭載しており、HDMI入力6基を装備するユニークなプリメインアンプ。注目すべきは、プリアンプ部に独自の高速アンプモジュール「HDAM-SA2」を使った電流帰還型回路としている点だ。独立した回路基板にレイアウトし、入力セレクター/ボリューム/出力セレクターに特化した高性能カスタムデバイスを用いている。“リビングでは2chで十分”といった、ホームシアター愛好者に音の良さで絶大な支持を得ている、最新の薄型で美しいデザインをまとったアンプだ。
パワーアンプ回路初段には、デュアルトランジスタを投入し、同社の上位機でも用いている高品質パーツを細部に投入している点も特徴的だ。パワーアンプ回路には、6,800μF容量のカスタムコンデンサーを2個搭載。また、デジタル部からアナログ部への干渉を防ぐため、独立トランスの採用やデジタル電源回路の動作周波数の高速化でスウィッチングノイズの影響を排している。
■解像力と鮮度が高く、迫力とインパクトも生々しい
映画『ツイスターズ』は2.1chで再生。クロスオーバー周波数のデフォルトは80Hzだが、低音の鮮度感や軽快さを高めるために40Hzで試聴した。密室で大音量の再生なので反響効果が大きくステレオでも移動感、包囲感が豊か。音場をかけめぐるとまではいかないが、竜巻の時計回りの動きもわかる。ステレオ構成の本機は、内蔵パワーアンプにかけられる物量とコストの有利性を感じられる。
映画『PERFECT DAYS』での挿入音楽が素晴しく、先程の有利性がてきめんに現れる。音に厚みと勢い、豊かな表情がある。主人公がニコを軽自動車に乗せて仕事場に向かうシーンに流れるヴァン・モリソンは感動的。ファントムセンターになるが、セリフの定位や音質、音圧もDSPの処理能力とパワーアンプのクオリティの高さでサラウンドに遜色ない。東京のノイズは豊かで克明だが、高さ方向を求めるなら、やはりAVアンプが優位である。
CD『SF交響ファンタジー』は今回のベストであり、本機の鮮度の高さ、解像力、色付きのなさが発揮され、ティンパニの打撃の生々しいインパクト、金管楽器の迫力等々、楽曲の雄大さが現れる。加えてキャロル・キッド『All My Tomorrows』も良く、音場が澄み渡り、歌声に漂うような美がある。
■端正でナチュラルなデノン、明るく鮮鋭感が豊かなマランツ
やはりできるだけ手軽にAVアンプを手に入れたいというのであれば、機能面も対応する立体音響フォーマットも上位機種と遜色ない万能モデルのAVT-X1800Hが適切であろうが、デノンらしい鮮度が高く、自然で力強い再生音を手に入れたければ、AVR-X2800Hがお薦めだ。下位機との音質の違いは、1万円強の範囲を優に超えていると断言できる。
音のキャラクターといった部分でいうと、端正でナチュラルなデノンに対し、明るく鮮鋭感が豊かであり、華があるキャラクターなのがマランツならではの魅力であり、CINEMA 70sの身上と言ってもいいだろう。
プリメインアンプのSTEREO 70sは、ステレオ映画再生の手本であり、良いアンプとスピーカーがあれば、映画作品によってはサラウンドに負けない、いやそれ以上の音をステレオで響かせるのだということを改めて知らしめる存在である。劇伴の美しさは目から鱗であり、部屋に置けるスピーカー台数に制限があるなら、本機もまたホームシアター作りの大きな味方になってくれる。
(提供:ディーアンドエムホールディングス)