PRアーカムとの組み合わせレビューも掲載
新世代「JBL」を告げる驚異的コストパフォーマンス。「Stage 2シリーズ」3モデルをレビュー
クラウドファンディングで成功を収めたアーカムのRadiaシリーズ
昨年から再び輸入が開始されたアーカム=A&R Cambridge。ここでは新しいRadiaシリーズに触れてみたい。実は前項のJBL Stage2シリーズもこのアンプとCDプレーヤーで鳴らしていたのである。ところで輸入元であるハーマンインターナショナルでは、本モデルのクラウドファンディングを行っていた。これが見事成功を収めて、一般販売につながったという。
A5は75W×2(4Ω)の出力を持つAB級プリメイン・アンプ。RCA入力3系統のほか、MM対応のフォノ入力も装備する。さらにBluetooth 5.2にも対応し、有線またはワイヤレスのヘッドホンに接続することが可能。ノブやフロントパネル、カバーなどはアルミ製である。アーカムはデジタルオーディオへの取り組みが速く、1980年代には英国で初めて完全自社開発のCDプレーヤーを発売している。
CD5はその原点に立ち返って最新の技術を投入したCDプレーヤーという位置付けである。DACにESS社製ES9018を搭載。USB-A端子からハイレゾ再生も可能だ。堅牢なアルミパネルとトップカバーは、A5と同様の装備である。両機の組み合わせでStage 2を鳴らしたわけだが、そこからもレスポンスが平坦で高低両端まで幅広くエネルギーに満ち、滑らかな再現力を得ているのが分かる。
駆動力の確かさも大きなポイントで、それもあってStage 2の実力が遺憾なく発揮されたのも間違いのないところだ。音色にくせがほとんどなく、一音一音の把握力がしっかりとしていて軟弱に流れない。立ち上がりがぱりっとしているのはそのためで、瞬時のエネルギー供給がよほどスムーズなのに違いない。
もうひとつ気がついたのは、CDの音の滑らかさである。音色や流れの良さといった特質はこのCDプレーヤーから来ているもので、アンプの駆動力とちょうどいいコンビネーションが働いていたということができそうだ。
とかくアナログに話題が集まりがちな現状だが、やはりソースのスタンダードはCDだと思わざるを得ない。いずれにしても両機のコスト・パフォーマンスは異例と言うべきだ。
クラスGとして駆動のA25は表現力が一回り以上に深くなる
ところでそのRadiaシリーズに、新しいアンプが加わることになった。A25という上級機で、クラスGとして駆動力をいっそう高めた構成である。このモデルも一緒に聴いたので、報告しておきたい。
基本的な音調に変わりはない。しかし表現力が一回りかそれ以上に深くなっているのが聴きどころで、少し聴いているとそれがよく分かる。出てくる音数が豊富で緻密なのだ。
そして大変きめ細かな切れを見せるのは、スピーカーに対する制動力が極めて高いことを窺わせる。しっかりと手綱を引き締めて無駄な動きをさせない。その代わり出すべき信号は確実に出させるという強力な駆動と制動を行っているため、これだけ深い表現力が得られるのだと推測される。
バロックはヴァイオリンの細かな粒子が詰まったような緻密な質感と余韻の輝かしさがそうだし、楽器それぞれが浮き上がってくるような実在感がある。背景のノイズが非常に減少しているのだ。これも大きく利いている。
ピアノもそうで、一音一音が有機的で影が濃い。音色は極めて自然だが、タッチのひとつひとつが細かく変化して表情の多彩さがまるで違うように感じる。
オーケストラは濁りのないシャープネスがどの楽器も綺麗に磨き上げられた感触を残すが、空間的な位置感が非常に鮮明になっている。楽器どうしの距離感にもそれが現れて、全体としての実在感が極めて高いのである。楽器ひとつひとつが生きて動くような生命力がある。
エッジに汚れがないことも、そうした感覚を強くさせる。S/Nとスピード、そして制動力。それらが徹底して磨きこまれた印象である。エントリー・クラスの牽引者として強く期待したい。
(提供:ハーマンインターナショナル株式会社)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.195』からの転載です