ハイコスパに驚け!大ヒット光アイソレーター、トップウイング「OPT ISO BOX」の実力
ハイレゾ・ストリーミングの波が本格化している現在、LANのノイズ除去、中でも光ファイバー伝送による光アイソレートに注目が集まっている。昨年末に、トップウイングの自社ブランドから登場した「OPT ISO BOX」は4万円弱という価格で、瞬く間に話題のヒット製品となった。“速度切り替え”による効果、そして使いこなし技を探ってみた。
LAN信号を光信号へと一旦変換し、電気的な絶縁を実現

本製品は、LANケーブルを介してネットワーク経路に挿入することで、LAN信号を光信号へと一旦変換して電気的な絶縁を実現し、ノイズを抑えるものだ。これまで、オーディオ用途での同様の製品は登場しているものの、比較的高価なものが多かった。それを「低価格で、なおかつ簡単に」実現することを目指して開発されたのが本製品なのである。サイズも実にコンパクトで手軽である。
しかしながら、低価格と言えど設計は吟味されている。要となる光変換モジュールに高耐久品を用い、内部の光ファイバー接続には堅牢性の高いST-Link方式を採用。また、二次的なノイズ対策となるLANトランスに「チップ型LANトランス」と呼ばれる最新パーツを採用して高音質化を図るなど、同様の製品を輸入してきた同社ならではの知見を活かしたであろう内容となっている。

内部には、電気信号を光信号に、光信号を電気信号に変換する光メディアコンバーターが1台ずつ格納され、それらを光ファイバーで接続。その接続には堅牢性の高いST-Link方式が採用されている
さらに、通信速度による音の違いを味わうために「通信速度切り替え機能」が搭載されていることも面白い。3種の速度がディップスイッチで切り替えできる。ネットワーク環境によって変わってくるであろう通信速度の違いによるノイズ感の変化も、ユーザー自身で切り替えて楽しめる。


音楽再生のリアリティが高まる
早速、テストしてみたのでその感触をレポートしたい。試聴にあたっては、試聴ソースは、ネットワークプレーヤーからのQobuzストリーミング音源に固定。その上で、挿入箇所、使用個数、速度切り替えを変えて試してみた。
まず挿入箇所だが、無線LANルーターとスイッチングハブの間(1)と、スイッチングハブとネットワークプレーヤーの間(2)、の2パターンを試した。

強いて言えば、歪み感やノイズ感の低下とともに、ダイレクト感が少し穏やかになる印象も受けたが、それは、挿入場所を変えることで異なる印象となった。挿入箇所を変えて、(2)ハブとネットワークプレーヤーの間、それもプレーヤーの直近に挿入すると、より力強いサウンドとなったのだ。
音圧感が増し、音の輪郭描写が力強まる。アタックのレスポンスの鋭さや、低音楽器の存在の太さがより十全と描かれるようになる。音像の定位も緻密な描き分けで分離が良い。使用環境にもよるだろうが、より強力な効果を求めるなら、プレーヤーの直近に挿入する方が良さそうだ。

2台使いでよりストイックな効用を
続いてこの状態で、本機をもう1台使用し、ルーターとハブ間にも同時に挿入した。すると、より音像定位がシャープかつクリアに変化した。全ての音が瞭然化して聴き手に迫るようなインパクトの強さがあり、よりストイックな効用を得たい場合は2台使いが効果的だ。
最後に通信速度切り替えも試してみたが、試聴環境では、僅差ではあったが10Mbpsがもっともノイズ感が抑えられるようであった。無論、転送速度が下がるためソースによっては再生が途切れるかもしれないが、環境によって最適な速度を選べることができる嬉しい機能である。
これらの試聴を通して先述の効果とともに強く実感したのは、本機は「光LANアイソレーター」や光変換に生じがちな「キャラクター」の付与や変化が少ない、ということ。例えば、同様の機器は、厚み豊かな質感になったり、ソフトな質感になったりする場合もあるが、本機はシンプルな構成もあってか、そのような質感の変化が最低限に抑えられている印象だ。筆者としては、この「最小限の変化」は大変好印象であった。
「OPT ISO BOX」は、ナチュラルでシンプルな光絶縁効果を、手軽な価格と簡単な操作で得ることが出来る秀逸なアクセサリーである。効果が気になった方は、ぜひとも同社のデモ機貸出サービスを利用してみていただきたい。
(提供:トップウイング)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.196』からの転載です