パネルの後方にLEDバックライトを多数配置する、いわゆる「直下型」を採用したことにも重要な意味がある。直下型は画面の隅にLEDを配置するエッジライト型に比べ、エッジライト型で必須となる導光板による光のロスが無い。その結果、より効率よく光を取り出すことが可能になり、同じ消費電力の場合、より明るい映像を実現できる。これがコントラスト性能の向上に寄与するのだ。
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直下型とエッジライト型の構造イメージ図。エッジライトではLEDをパネルに対して垂直に配置し、光を導光板で拡散させる。これに対して直下型ではパネルの後ろから直接前方に向けてライトを当てるため輝度ムラが起こりにくい |
また、直下型では多数のLEDを画面の隅々から中央部までバランス良く配置しているので、エッジライト方式に比べ、画面全体を均一に照らす事ができ、輝度ムラが少なくなる。だから、画質で最も重要な指標とされるユニフォーミティー性能も極めて高い。このユニフォーミティー性能の高さを確認したいなら、フィギュアスケートなど動きの速いスポーツが適している。選手を追うようにカメラがパンするシーンで画面の半分を占める氷の表現に注目して欲しい。ユニフォーミティーが悪いと輝度ムラが目に付き、映像が止まったかのように感じる瞬間があるが、Sシリーズにはそれが無いことがわかるだろう。
また52V/46V/40V型のSE1ラインは、LXシリーズと同様、LEDをいくつかの列に分割し、画面走査のタイミングに合わせ、順次、時間差をつけて点灯および消灯させ、残像を低減する「スキャン倍速」機能を搭載している。これも直下型ならではの技術で、高速点滅に強いLEDバックライトを活かした好機能だ。UV2A液晶パネルは応答速度が速く、素の状態でも残像感が少ないが、「スキャン倍速」で、さらに持ち味を引き出している格好だ。
このスキャン倍速も、同じくスポーツ観戦でそのメリットを実感しやすい。横に動く背景の観客や文字に注目してみよう。一般的な液晶テレビでは残像感が気になりやすいポイントだが、Sシリーズにはそれがほとんど感じられないのだ。
もちろんエッジライト方式を否定するわけではなく、エッジライト方式には超薄型を実現できるというメリットがある。ただし画質を重視した場合、現時点では直下型が適切な選択肢と言えよう。
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