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BDソフトの再生に使用したのは同社初のBDプレーヤー「BD8002」。テスト時は試作段階だったが、高次元な映像・音声の再生能力を感じさせた |
映像ソースはBDを3タイトル試聴した。最初は《ダイ・ハード4》のDTS-HD
Master Audioを聴く。この映画の醍醐味は映像と同様にサウンドデザインに驚くほど手間をかけていることで、派手なアクションシーン以外にもいろいろな場面に聴きどころがある。今回はマクレーンとマットがヘリに追跡されるシーンを見たが、複雑な動きのカメラに同期して効果音や環境音がレスポンスよく変化し、緊張感を高めていく手法が見事だ。細かい部分まで一つひとつの効果音の音色、質感、スピード感などを精度高く再現するうえ、たくさんの音が重なったときのセパレーションが高い。これだけふんだんに音が詰まった作品も珍しいと思うが、それでも混濁感がなく、音楽のリズムと台詞の緊迫感もしっかり浮かび上がってくるから不思議である。この作品のサラウンド音声はリアスピーカーも含めてすべてのチャンネルの音圧が高いことが特徴で、同時に大音響で鳴り渡るシーンが次々に連続して連なっている。全チャンネル動作時の出力に余裕のあるMM8003の実力が如実に現れる作品といっていいだろう。
BD化されたミュージカル映画のなかの最高傑作というべき《ヘアスプレー》はマランツのセパレートアンプでどんなサウンドを聴かせてくれるだろうか。
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DLNA経由での映像ソース視聴も行った |
この作品の一番の聴きどころはなんといっても声の力強さとハーモニーの美しさにある。トレーシー役のニッキー・ブロンスキーの張りのある明るい声と、クィーン・ラティファの深みのあるヴォイスの対比が見事で、どちらもロスレス音声ならではの伸びやかさに耳を傾けるべきだ。リズム楽器の動きの鮮やかさと弾力感も聴きどころなのだが、こちらはあくまで脇役。だが、その脇役であるベースやパーカッションのサウンドの力が薄まってしまうと、途端にこの作品のノン・ストップで突っ走る魅力が萎えてしまう。秀逸な振り付けの力も、パワー感のあるリズムに支えられてこそのものということを、あらためて思い知らされる。AV8003とMM8003はその点においても期待以上のパフォーマンスを見せてくれた。ベースやパーカッションだけでなく、ソロをサポートするコーラスまで含めて、音のアタックがよく揃って、音が消えるときの切れ味も鋭い。クオリティの高いサウンドで楽しむほどに面白さが増す。
最後に聴いたのはエアチェックしたメトロポリタン歌劇場のベッリーニ《清教徒》。DVDも発売されたばかりだが、画質を優先してエアチェック版を試聴した。冒頭で合唱の存在感の大きさに感心したが、最高音域まで密度の高いネトレプコの声を聴くと、興奮は一気に頂点に向かう。このライブ感を家庭内ネットワークで満喫できることを歓迎したい。 |