第3回:録画時の設定・画質をチェック
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入力画質の調整メニュー。12個の調整項目があり、ほとんどの項目で微調整ができる。このほか再生画質も14項目の調整が可能だ。かなり凝っていて、このあたりはAVファン御用達の仕様といえるだろう(写真はクリックで拡大) |
パイオニアのDVDレコーダーの伝統で画質設定はかなり凝っている。再生画質では、色相や色濃度、白黒レベル、色NR、輝度NR、QNR(モスキートノイズ軽減)など14項目の調整が可能。また入力画質も3DYCSの適用度や白AGCのON/OFFなど12項目の調整ができる。特に色DNRと輝度DNRは8段階の入力調整ができて、S/Nの異なる昔のビデオテープをDVD化する際などにとても重宝しそうだ。イコライジングしたユーザー設定を、再生、入力別に各3個登録できる。調整には、それなりの知識が必要になるが、お手軽派用にプリセット設定も用意されている。通常のTV録画なら入力画質を「テレビ番組」にセットしておけばいい。このほか「ビデオ」や「レーザーディスク」といったプリセットもある。前者は昔録ったビデオを入力する際に最適な画質設定、後者は言うまでもなく同社ならではの設定だ。
録画の画質モードは、FINE(10.08Mbps)、SP(5.2Mbps)、LP(2.6Mbps)、EP(1.73Mbps)の4モード。これらに加え、32段階のMN(マニュアル)設定も可能だ。32段階の任意のレベルをユーザー登録し、これをMNモードとして選択できる。画質モードとNMとの関係はFINE=MN32、SP=MN21、LP=MN9、EP=MN1になる。ユーザー登録は1個のみだが、リモコンのボタンでモード切り替えできるのはVTR的で理解しやすい。
通常の音声記録はドルビーデジタル256kbpsで、最高画質レート(FINEとMN32)のみ自動的にリニアPCM記録になる。最高レートのみという制限はあるが、非圧縮のリニアPCMが使えるのは音楽番組ファンに嬉しい仕様だ。HDD録画の画質をチェックしてみよう。総じてS/N指向だが、FINEはソースに近いクオリティといっていい。音声もリニアPCMなので申し分ないレンジの広さだ。大事な録画や大画面で見たい時はこのモードで録りたい。またFINEでHDDに録画しておけば、DVDに等速(再エンコードして画質レートを落として)ダビングしても、画質・音質を大きく損ねることがない。SPにするとフォーカスが若干甘くなるが、ブロック&モスキートノイズは意外に目立たない。NRの処理が巧みで、MPEG臭さが鼻につかない録画再生を楽しめた。アナログBSや電波状態の良い地上波ならノイズにビットレートを食われないのでSPでも十分に使えそうだ。ではLPやEPはどうか?さすがに、ここまで下げると苦しくなる。FINEとSPは解像度がフルD1(720×480ピクセル)だが、LPではハーフD1(352×480ピクセル)、EPだとSIF(352×240ピクセル)まで落ちてしまうし、動きもぎごちなくなる。その反面で、LPやEPは長時間録画できて、DVDに超高速ダビングが可能なので、メモ録りやPC用途などに活用できるだろう。
マニュアル設定では、MN19(4.46Mbps)までフルD1解像度になるので、このレベルに設定すれば、解像度を落とさずに録画時間が稼げる。ただし、動きの激しい映像などビットレートを食うソースでは、MN18にして解像度を下げたほうが、S/Nが良くなる場合もあるので、ケースバイケースといえるだろう。
同社DVDレコーダーの長年の課題であったDVD-RとDVD-RW(ビデオモード)録画のVBR(可変ビットレート)化やビデオモード録画停止時のタイムラグの解消も実現されている。(以前は固定ビットレートで、停止時に30秒程度のタイムラグがあった)やっと実現した!というのが率直な感想だが、DVD-Rなどをさらに実用的にする改良として歓迎したい。VBRは特にSPなど中ビットレート以下の録画に有効だ。以前と比べると、爆発など激しいシーンも踏ん張ってノイズが目立たない。映像処理回路の進歩と相まって、ビデオモードでもデジタル臭さの少ない映像を楽しめた。
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