ハイビジョンと並ぶ「LPF-D711WW」の最大の特長であるデザインの詳細に関しては別頁の対談に譲る。ここでは多少の紹介に留めたい。
デザインは世界的なデザイナー内田繁氏の手による。これまでプロジェクターというと、機械というコンテクストの中でデザインされてきていた。しかし、実際の使用環境を見てみると、室内と融合した形で用いられる。つまり、インテリアの一部としてデザインされるべきものなのだ。そこで、内田氏は存在感を消し去ることを念頭に置き、デザインをしていった。内部機構にそって最小限のサイズにされ、存在感が消し去られている。このあたりは内田氏が70年代以降に拓いた「消える家具」の手法―例えばメトロポリタン美術館の永久コレクション「セプテンバー」などに見られる―を想い起こされる。また垂直水平の面で構成される室内空間にあわせて、二次元カーブのみが用いられている。プロジェクターのコンテクストで使われていた三次元カーブは、ここでは一切排除されているのだ。
特筆すべきは天吊り金具も同時にデザインされた点である。プロジェクターは天吊りにされるケースが多いが、天吊り金具も一体化してデザインすることにより、存在感を消している。
要するに、デザインが映像のクオリティに並んだ金字塔的なプロジェクターなのである。プロジェクターにおいてもデザインが語られるようになったのだ。
映像が新しい時代に入りつつあるいま、このプロジェクターはそのメルクマールといっても間違いない。新時代の映像表現を堪能したい方にお薦めしたいプロジェクターである。
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プロジェクター本体とともに内田繁氏によりデザインされた専用の天吊り金具
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AVセレクター。映像信号処理部を分離し、専用デジタルインターフェースケーブル(DVI)による先進のセパレートデザインを採用 |
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