■バックアップメディアとしての使い勝手の良さが魅力
iVDRは「Information Versatile Device for Removable usage」を略したもので、iVDRコンソーシアムによって策定された規格だ。Woooなどで使われるiVDRというと2.5インチのカートリッジタイプが一般的だが、実はこれ以外に、小型なmini、大型なEXという規格もある。さらに一般的なカートリッジタイプに加え、機器に内蔵するなどの用途のためのビルトインタイプもある。普通の人の目に触れているiVは実はiVのごく一部に過ぎないことになる。
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iVDR-S規格には「mini」なども存在する |
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業務向けに耐衝撃性を高めた「iVDR EX」も |
iVDR-Sカセットにおいては最近500GBタイプが登場し、いわゆる一般的なハードディスクレコーダー並の容量を持つことになった。iVカセットにダイレクトに録画するiVレコーダーにとってはこれは大きなメリットと言える。大容量化に伴い記録密度が上がったため、転送速度も向上している。これはWoooなどで録画をダビングする場合に威力を発揮してくれる。ちなみにiVカセットは耐ショック構造になっており、あまり神経質に取り扱わなくていいのがありがたい。
さて、最近ではブルーレイドライブ搭載のハードディスク内蔵録画テレビが登場してきているが、これらと比較した場合のWoooにおけるiVのメリットは、その高速性、大容量性、そして、ダビングの自由度などだ。iVは圧倒的な短時間で、より多くの録画タイトルを一気にダビングすることができる。ブルーレイと比較してバックアップメディアとして飛躍的に使い勝手がいいのだ。
■ブルーレイや一般的なHDDより大きいダビングの自由度
そして、ダビングの自由度の問題も大きい。ブルーレイディスクでは、一度ディスクに書き込んだ録画は他のメディアにダビングすることができないが、iVではムーブで他のメディアにダビングすることができる。
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SAFIA対応機同士ならセキュアで高速なコンテンツ移動が可能 |
たとえば、Woooであれば、iVカセットにダビングした録画を本体HDDに戻すこともできる。そして、必要があれば、さらにそれを他のiVカセットにダビングすることができる。このような自由度はブルーレイディスクにはないものだ。これがそれ自体にコンテンツ保護機能を持つハードディスクのメリットだ。
なお、一部のレコーダーやテレビでは普通のUSB外付けハードディスクに録画をダビングすることができるが、それは他のレコーダーなどでは再生できない。これはハードディスク自体がコンテンツ保護機能を持っていないためだ。このような場合、録画機本体が壊れれば、その外付けハードディスクの録画を再生する方法はない。
これに対して、iVDR-Sは対応機器であれば、どんなものにセットしても再生できる。同じハードディスクにダビングするのでも、コンテンツ保護機能を持つiVと普通のハードディスクは大違いなのだ。
■iVDRの進化は今後も続く
デジタル放送が一般化すれば、このようなiVDR-Sの利点はより広く実感され、知られるようになっていくことだろう。そして、iVDRの進化は今後も続いていく。メディアとしては単なる大容量化だけでなく、カセットに電子ペーパーを搭載し、録画の内容を表示するタイプのものも実用に近づいているし、SSDタイプも構想にあるという。
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電子ペーパー搭載モデルの試作機 |
ハードウェアとしてはiVDRの新規格「iVDR-i/O」規格対応カートリッジを挿すことで、多彩な機能を持つ「iVDRステーション」の姿も具体性を増してきた。従来は健康診断用途向けの「ホームヘルスネットワークサービスカートリッジ」や、テレビチューナー用途の「チューナーカートリッジ」などが提案されていたが、最近ではさらにインターネット上の動画コンテンツの視聴のための「ネットコンテンツカートリッジ」や、テレビ電話のための「インターネット電話カートリッジ」、電子決算のための「e-commerceカートリッジ」など、より多彩な機能を提案しようとしている。
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2008年のCEATECに参考出展されていた「iVDRステーションSTBモデル」 |
今後も進化を続けるiVDRに注目したい。 |