LUXMANプリメインアンプ現行モデル レビュー
週刊で注目製品のレビューをお届けするPhile-webの人気コンテンツ「週刊製品批評」に掲載されたラックスマンのプリメインアンプ現行モデルの評価記事を特別掲載で紹介しよう。
 
80周年記念モデルの技術を取り入れたAB級アンプ
文/石田善之
L-505u LUXMAN
プリメインアンプ

L-505u

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グレードが向上しゆとりある音 深みが増して開放感も出てきた
<上>本機の背面。入力端子はライン4、フォノ(MM/MC)1、バランスライン1、REC2系統、メインインを用意。スピーカー出力は2系統で、充実した端子群を装備。<中>本機の内部構造。電源と信号系主要部には各芯スパイラルラップ・シールド構造のオリジナルOFCワイヤーをふんだんに使用し、全ての回路ブロックに剛性の高いガラス・コンポジット基板を採用。また上位機種と同様にラックスマンオリジナルの高音質カスタムパーツを大量に投入。<下>ブラスターホワイトに加え、シャンペンゴールドモデルL-505u(g)も限定で用意される。

回路上ではラックスマンの特徴でもある、ODNFが使われている。増幅回路として広帯域ハイスルーレート低歪み回路を開発し、従来のNFでは避けられなかった位相補正を排除している。またそのNFのあり方そのものにも着目し、出力から歪み成分だけを増幅回路の最終段へとフィードバックする、つまりNF手法を音楽信号から切り離すことでアンプそのものがもつ初期のスルーレートの速さと広帯域を獲得しているという。

加えてNF回路から、低域にカラーレーションを与える要因となったDCサーボを排除し、このことが「全帯域の音色が統一された自然な音楽再生を実現する」とラックスマンでは説明している。このODNFも改良や見直しが重ねられ、現在ではバージョン2.2となり、上級機のL-509uとも共通するが、505uでもパワーブロックに採用されている。

音全体の印象は、重心が下がり安定感が高い。それは前作のL-505fに通じるところがある。しかし全体的にもうひとつグレードが高まり、音抜けなどの印象が異なって比較的ゆったりとしたバランスの中に、開放感や深みなどを感じさせる。また、高域の粒立ちや繊細感などはまさにL-509uの弟機を感じさせる。

比較的近い価格帯のL-550AIIとの違いも気になるところだが、中域を重視して密度を高め、全体にスムーズな中に明るさと緻密さを聴かせる純粋Aラスの魅力に対して、505uは100W+100Wとのゆとりがあり、別な意味で全体ののびやかさ、開放感などにつながるようだ。しかし両機ともラックスマンが仕上げたC-1000f/B-1000fの超弩級セパレートでの経験を随所に感じさせられる。

また、小音量時でもバランスを大きく乱すことがなく、比較的コンパクトなスピーカーやトールボーイとの組み合わせも無理がなさそうだ。ラックスマンのプリメインアンプ4機種の中でもっとも低価格ながらベテランファンが思い起こすラックスマンブランドやサウンドの質感など、まさに期待に違わない製品である。

 
<この製品の情報は「オーディオアクセサリー」126号にも掲載されています>
スペック
【SPEC】●定格出力:100W+100W (8Ω) ●入力、出力:ライン4、フォノ(MM/MC)、バランスライン、REC 2、メインイン、プリアウト、スピーカー出力2 系統 ●消費電力:220W(電気用品安全法) ●外形寸法:467W×179H×440Dmm ●質量:21.0Kg ●問い合わせ:ラックスマン(株) TEL/045-470-6991
リンク
ラックスマンの製品情報
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Phile-webニュース【ラックスマン、ODNF回路ver.2.2を搭載したプリメインアンプ「L-505u」を発売】
 
筆者プロフィール
石田 善之  Yoshiyuki Ishida

東京・江古田生まれの江古田育ち。日本大学芸術学部放送学科卒業後、インド、アフガニスタン、中近東を友人と車で1年かけて回り、自作の録音システムで音楽収集を行う。このときの音源は日本コロムビアから4枚組のLP『オリエントの民族音楽』として発表され、昭和44年度文部省主催芸術祭優秀賞を受賞している。その後、岩波映画社にて数々のドキュメントや音楽の録音を担当。1970年の大阪万国博覧会では東芝館はじめいくつかのパビリオンでマルチスクリーン、マルチサウンドを手がける。また、蒸気機関車の録音への愛情はひとしおで、氏の録音による蒸気機関車のLPレコードやCDは、これまで数多く発売されている。20代からオーディオ誌への執筆をスタート。その的確で筋の通った評論は、長期に渡って多くのオーディオファンに支持されると同時に、オーディオ界に多大な影響を与えている。ジャズやクラシックなど音楽への造詣は深く、国内だけではなく海外までコンサートを聴きに出掛けることもしばしば。またスピーカーシステムなどの自作にも積極的に取り組み、専門家はだしの木工細工を駆使した自作スピーカーシステムを多数発表している。