LUXMANプリメインアンプ現行モデル レビュー
週刊で注目製品のレビューをお届けするPhile-webの人気コンテンツ「週刊製品批評」に掲載されたラックスマンのプリメインアンプ現行モデルの評価記事を特別掲載で紹介しよう。
 
音質は590AIIに近く 開放的でストレート鳴りっぷり
文/藤岡 誠
L-550AII LUXMAN
プリメインアンプ

L-550AII

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様々な改善策が施されて クオリティアップを実現した
<上>本機のリア部<下>本機の内部

ラックスマンが2005年に創立80周年モデルとして発売したプリメインアンプL-550Aは同社にとって11年ぶりの純A級動作方式でもあった。このモデルがマイナーチェンジされ、型番末尾に「II」を付加して2007年春から発売されている。

実は改良型を開発中との情報を得た時に「何故か?」と思った。同社の純A級動作プリメインアンプの歴史は長く、記念モデルとしての両機も多機能と高音質を両立させ、専門家、専門店筋での評価も高く、市場においても他社のいくつもの強力な対抗製品があるにも関わらず、幅広くサポートされており、「予想を上回る出荷台数で推移している」と同社も自信のほどを覗かせていた。実際に完成度が高く、改良する余地はない、と私自身も思っていたからである。

その理由は、予想以上に速いペースでの出荷が裏目に出た、ということだった。つまり、生産開始時に確保していた相当数の基幹部品が枯渇し、急遽代替部品で生産を続行しなくてはならなかったからに他ならない。

代替部品についてはフラグシップのプリアンプC-1000fのセレクター・スイッチICを入力切換回路へ採用することができ、さらに内部配線材にオリジナルOFC洗剤を使用した。電源部の整流回路には、より高速で低雑音のショットキーバリア・ダイオードを採用。

具体的には入力切換回路のスイッチICはセパレーション、クロストーク性能が大きく改善している。これに伴って切換ノブ周囲にポジションごとにLEDによるインジケーターが配置され選択位置が判別しやすいデザインに変更された。フォノEQ(MM/MC対応)を搭載。もちろん大型出力メーターも搭載されていて、実際の出力を直視することができる。付属のリモコンは肉厚ではないが、アルミボディである。アンプ専用だから、使い勝手はシンプルでいい。

L-550AIIは電気的機能は共通だ。出力は8Ω20W/ch、4Ω40W/chとさらに小粒で、EIコア型電源トランス容量は540VA。出力段は2パラレルプッシュプル。規模的にはL-590AIIをひと回り小さくしているがコンセプトは共通しており、音も近似している。

開放的であり、曖昧さを感じさせないストレートな鳴りっぷり。これでも見かけ上の出力量から想像してはいけない。L-590AIIの低域ほどではないが、十二分なガッツと雄大さを表現する。

一般的にはL-550AIIで十分だと思う。L-590AIIは、格別なこだわり派向きであろう。

 
<この製品の情報は「オーディオアクセサリー」125号にも掲載されています>
スペック
【SPEC】●連続実効出力:20W+20W/8Ω、40W+40W/4Ω ●全高調波歪率:0.006%以下(8Ω、1KHz)、0.03%以下(8Ω、20〜20KHz) ●周波数特性:PHONO(MM) 20Hz〜20,000Hz(±0.5dB)、LINE 20Hz〜100,000Hz(-3dB) ●消費電力:190W(電気用品安全法による規定)、1.2W(スタンバイ時) ●外形寸法:467W×179H×437Dmm ●質量:22.0kg ●問い合わせ:ラックスマン(株)TEL/045-470-6991
リンク
ラックスマンの製品情報
「オーディオアクセサリー」125号のご購入はこちら
Phile-webニュース【ラックスマン、性能向上を図った「L-590A/550A」のマークIIモデルを発売】
 
筆者プロフィール
藤岡 誠  Makoto Fujioka

大学在学中からオーディオ専門誌への執筆をはじめ、40年を越える執筆歴を持つ大ベテラン。低周波から高周波まで、管球アンプからデジタルまで、まさに博覧強記。海外のオーディオショーに毎年足を運び、最新情報をいち早く集めるオーディオ界の「百科事典」的存在である。歯に衣を着せず、見識あふれる評論に多くの支持者を得ている。各種の蘭の他、山野草の栽培も長年に亘る。