「ビデオモード」で録画。市販のDVDソフトとよく似た構造になる
DVD−Rは、一回限り録画可能なディスク。多くのDVDプレーヤーで再生することができる「ビデオモード」というモードで録画される。すでに録画された部分には二度と上書きできない(ディスクに追加記録できるDVDレコーダーもある)。
録画されたDVD−Rは、映画などのDVDソフト(DVDビデオ)とよく似た構造になる。それもそのはずで、DVD−Rの原型は、映画などのDVDソフトを制作するためのマスターディスクや試験用ディスクだったのだ。DVDフォーラム(注1)によって、まずソフト制作用のプロ規格が定められ、似た内容で家電用の規格も定められた。こうした経緯から、DVD−RはDVDビデオとの高い再生互換性を備え、多くのDVDプレーヤーで再生が可能だ。この再生互換性を活かして、友人などへの配布用に使ったり、自分の部屋のDVDレコーダーで録画して、リビングのDVDプレーヤーで見るといった活用ができる。
(注1)DVDフォーラム
DVDフォーラムは、DVD規格の制定及び、DVD規格の普及促進を図る世界的な組織であり、世界中のエレクトロニクスメーカー、ソフトウェアメーカー、メディアメーカー等が会員として登録している。
低価格で、手に入りやすい
値段の手頃さと、入手のしやすさも大きなメリットだ。DVD−Rは低価格化が急速に進み、容量あたりの単価ではCD−Rよりも低価格なメディアになった。いつでもどこでも買える、という点でもポイントが高い。「真夜中に急に録りたい番組を見つけた、でもディスクがない!」そんな時に、一部のコンビニでも売られているDVD−Rなら、すぐに入手できるので、録画を逃す心配がない。ただし直射日光や高温が大敵なので、これらを避けて保存しよう。
最高4倍速、ダビングの時高速記録ができる
高速記録できる点も大きなメリットだ。等速記録用のDVD−Rのほか、最高4倍速で記録できる高速対応メディアも発売されている。高速記録はハイブリッド機(注2)向きの機能で、ハードディスク→DVD−Rへの高速ダビング時に威力を発揮する。パイオニアのハイブリッド機DVRー77H/99Hでは、最大4倍速の高速ダビングが可能だ。ハイブリッド機はダビングに時間を食われるが、これを手早くできるのは、とても助かる。なお、近い将来の規格として8倍速記録も検討されている。また、パイオニアから二層記録による2倍容量化の技術も発表されている。
(注2)ハイブリッド機
DVDレコーダーには、ハードディスクを搭載し、録画先をDVDメディアとハードディスクの2種類から選べる「ハイブリッド」タイプがある。
録画のやりなおしはNG、制限がいろいろある
しかし、DVD−Rには録画する際に制限がある、ということを覚えておこう。まず、録画のやり直しがきかない(特にDVD−Rにダイレクトに録画するDVD単体機では、録画は一発勝負になる)。また、二ヶ国語放送が録音ができない、コピーワンス番組(注3)の録画に使えない、1つの録画タイトルに異なった画質モードやアスペクト比(解像度)の映像を混在できない、といった制約があるのだ。
(注3)コピーワンス番組
BSデジタル放送などの映像信号には、著作権保護を目的として3種類(「録画自由」「1回だけ録画可能」「録画禁止」)のうちいずれかのコピーコントロール情報が含まれている。このうち、「1回だけ録画可能」=コピーワンス、「録画禁止」の番組は、DVD-Rに録画することはできないのだ。
また、DVD−Rは再生互換性が高い反面で"ファイル移動の互換性"が低い点にも注意したい。一度DVD−Rに録画してしまうと、他のDVDなどに高速・無劣化ダビング(ファイルコピー)する事が難しくなるのだ。つまりDVD−Rは一度録画したらそこで終わり、という行き止まり的DVDメディアといえるだろう。
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