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貝山 一台のディスプレイでソースの全てを、映像そのものが持つ自然さを壊さないようにバランス良く映し出せることが理想ですね。 − 東芝は、「超解像技術」を用いてその課題に取り組みました。 貝山 未だハイビジョンパッケージ化されていないDVD『つぐない』を、REGZAで今度じっくりと観てみたいと思います。この作品は、光を積極的に取り入れた白方向の表現が非常に多い作品です。素材のクオリティ高いのでDVDでも満足できますが、これをハイビジョンクオリティで楽しむことができれば非常に嬉しいですね。 松山 超解像技術の効用に関しては、効果が大きいソフトとそれほどではないソフトの両方があるようです。作品のタイプを見極めて使い分けるのが良いと思います。 − 地デジクオリティ映像をフルHDに作り替えた場合の効果はいかがですか? 松山 その場合は、概ね全てのソースで無理なく自然に作り込めていると感じました。地デジで録画したソースに関しては、私はREGZAの超解像技術を積極的に活用したいと思います。垂直解像度は1080のまま、水平解像度を1440から1920まで作りかえるという東芝の技術は、非常に的を得ていると思います。 貝山 そうですね。 松山 垂直方向を作り込む場合でも、ハイビジョンマスターを使用したSDソースであれば、超解像処理の効果はてきめんに現れます。 − 特に効果が大きいコンテンツはどのようなものでしょうか? 松山 例えば、ハリウッドで制作されている直近の映画のほとんどは多大な効果が見込まれます。秀でた解像感で映像の魅力を表現しようとしている作品と、今回のREGZAのマッチングは非常に良好です。そのようなソースであれば、アップコンバートする際のノイズ増幅も心配ありません。 − 階調を重視した、コントラストのメリハリが薄い作品についてはいかがですか? 松山 マスターにもよりますが、ヨーロッパの作家の場合はノイズも必要な情報として考える人が多いですから、ハリウッド映画ほどには効果が現れづらいかもしれません。 貝山 逆に、そういったソースの再生をREGZAがどのように今後克服するかが楽しみですね。 松山 ええ。期待したいですね。ノイズのあるソースや、解像感の落ちが見受けられる作品を、東芝の技術によってどのように救えるかを確かめたいと思います。フィルムラチチュードを幅広く使った南米の映像をどのように映し出せるかが楽しみですね。
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松山 そう思います。それから、超解像に対する取り組みに関してはNHKも大変積極的だと聞いています。それにはやはり膨大なSDアーカイブスを上手に使いたいという狙いがあると思います。従来のコンテンツをそのまま今のフルHDテレビに映すと、画質の落ちが歴然と分かってしまいます。東芝の取り組みはコンテンツ側の事情を汲んだハードメーカーとしての挑戦だと捉えても良いかもしれません。これらは、視聴者にとっても大事ですが、映像制作者にとっても非常に大事な技術だと思います。
貝山 4Kディスプレイ、8Kディスプレイが実際にコンシューマー機器として出現したときには、今あるハイビジョンディスクをいかに美しく見せるかという課題も新たに出てくることになるでしょうね。 − 未来につながる道筋を作っている東芝の功績に対して、メタブレイン等の高画質回路を始めとする技術面への評価と将来へのエールをお二人から頂きたいですね。 松山 メタブレインの技術で一番大事なことは、現状の1枚の映像をどのように最適に画像認識するかということに尽きます。この回路は、映像を的確に認識して最適な画を出すという大変高度な技術ですが、それだけではなく、回路をコントロールする人間のノウハウ数に依拠する技術だと思います。 貝山 その通りですね。 松山 結局は、数多く映像を視聴してサンプル数を集める以外に画質向上の方策はないわけですから。 − 要するに、回路が全てを自動的に判断するわけではない、ということですね。 松山 最終的には回路を作る人間の眼です。画像認識の回路に、技術者が溜め込んだノウハウを注ぎ込むことが大事なのです。また、「これで大丈夫。もう終わり」ということも決してありません。解像度の進化もそうですが、それだけでなく色々な種類の意図的な映像のデータを取り込んでいく必要があります。REGZAの映像回路は、常に発展途上であり続けるべきと言っても良いはずです。 − 発展途上ではあるかもしれませんが、今回の新製品、ZH7000シリーズの完成度に関してはどのようにご評価されますか? 松山 明るさや色温度をセンシングして、いわゆるおまかせ映像を映し出すという手法が、実際の映像に大変良い効果を挙げていると思います。ZH7000シリーズは、現状東芝が手に入れることが出来る液晶パネルに対して、非常にバランスの良いコントラストを作り上げた製品だと思います。高い輝度を維持したままコントラストを出そうとしている点を、私は評価しています。
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