【年末特別企画】Phile-web的社会科見学
「ソニー歴史資料館」探訪 - 歴史的名機の数々に出会う!
続いて訪れたのは「発想通史」と銘打たれたコーナー。ソニーの歴史の中でも特にエポックメイキングだった製品を年代順に紹介するコーナーだ。こちらでは、製品とパネル展示のほかにタッチパネルで詳細情報を知ることもできる。
まず最初に登場するのは、日本初のテープレコーダー「G型」の改良機である「GT-3」。1951年に発売された製品で、プレートにはまだ「TOKYO TSUSHIN KOGYO」という社名が刻まれている。
1950年代には、この「GT-3」のほかにも、日本初のトランジスタラジオ「TR-55」や当時世界最小のポケッタブルラジオ「TR-63」など革新的な製品が発売されている。
この「TR-63」は、「Yシャツのポケットに入る」と宣伝文句を謳ったものの、実際にはわずかにポケットよりも大きなサイズだったそうで、営業マンにポケットの大きな特製Yシャツを着せていたのだという。こうした興味深いエピソードを知ることができるのも資料館の大きな魅力だ。
続いて1960年代には、世界初の直視型ポータブルトランジスタテレビ「TV8-301」や、ソニー独自のトリニトロン方式によるカラーテレビ「KV-1310」などが並ぶ。
ちなみに、各製品には発売当時の価格が添えられているのだが、1960年発売の「TV8-301」は69,800円。当時は教員の初任給が9,100円程度だった時代だったことからすると、いかに高額商品だったかがよく分かる。ワンセグテレビが約4万円、有機ELテレビでも20万円で買えるという現代は、当時のAVファンからすればうらやましいことこの上ない時代なのではないだろうか。
1970年代に入り時代は一気に加速。“ベータマックス”の1号機「SL-6300」など、現代のAV機器環境の礎とも言える製品が登場してきたのだ。
そんな1970年代だが、最大の出来事と言ってもいいのが1979年に“ウォークマン”「TPS-L2」が登場したことだろう。音楽を聴くスタイルを一変させたという意味において、まさにエポックメイキングな製品だと言える。
そして、ウォークマンの登場をきっかけにするかのように、ソニーのAV機器はここから急激に進化していく。1982年には世界初のCDプレーヤー「CDP-101」が登場したのに続き、1984年にはポータブルCDプレーヤー「D-50」が発売されている。
また、映像関係でもベーター方式のデッキを内蔵した“ベータームービー”「BMC-100」や、“ハンディカム”の初期型モデル「CCD-TR55」などがこの時代に発売されている。このあたりの展示品を見ると、ぐっと現代に近づいた印象を受ける。
その勢いもそのままに、1990年代からはデジタル化の波が加速。1992年には“MDウォークマン”の1号機「MZ-1」が登場したのに加え、1996年にはついにデジタルカメラ“サイバーショット”「DSC-F1」が登場。さらに、その並びには翌1997年に発売されたノート型“VAIO”の初代機「PCG-505」も展示されている。
展示からは、90年代後半からの急激なデジタル化の流れが見て取れる。1999年にはウォークマン「NW-MS7」がメモリースティック化し、2000年にはHDDレコーダー「SVR-715」がお目見えしているのだ。