口コミで売れに売れているスピーカーの謎に迫る
【緊急レポート】今一番売れているスピーカーは2.1chだった!?
■口コミでやたらと評価の高いロジクールのスピーカー
高機能マウスなどで有名なロジクールは1981年に設立したスイスのPC周辺機器メーカー。オーディオビジュアルに詳しいユーザーからみれば、ロジクールの製品がBOSE、ソニー、オンキヨーよりも一般受けしているという事実がいまいちピンとこないし、しかも売れているのが2.1chという省スペースという思想の逆をいく製品というのもよくわからない。
「Z-4」がロングセラーとなっている大きな要因には、口コミの評判がいいということが挙げられるが、評価の高い書き込みの内容をチェックしてみると「サブウーファーの重低音が素晴らしい」「この価格にして大満足」という感想にほぼ集約されている。どうやら人気の理由は「2.1ch」と「コストパフォーマンスの高さ」の2点にあるようだ。
■2.1chスピーカーが売れる理由
ビックカメラ有楽町店本館のPCスピーカーコーナーは、売場のおよそ4分の1のスペースをロジクール製品が占めている。谷口氏によると、「ロジクールといえば2.1ch」というほどサテライトスピーカーとサブウーファーをセットにした2.1chモデルでのシェアは圧倒的だという。2.1chPCスピーカーでは、「Z-4」をはじめとして「LS21」(2008年4月発売)、「Z523」(2009年8月発売)といったロジクール製品が売れ筋ランキングの上位を占める。2.1chを購入するユーザーは、やはりお店で音を聴いてその音域の広さに驚いて購入していくケースが多いという。2.1chならばPCだけでなくテレビなどに接続してゲームや映画を楽しむといった拡張性を備えているのも、ホームシアターへの関心が高まる今の時流にあっているようだ。
ちなみに、記者が売場で「Z-4」の人気ぶりを確かめようとしていたところ、ビックカメラのPCスピーカー売れ筋ベスト3が書かれた販促物を発見。そこには第1位 ロジクール「Z320」と書かれていた。「ちょっと前まではZ-4が売れていたが、最近は持ち歩きもできるコンパクトな2chタイプのZ320もよく売れるようになっている」と谷口氏。2.1chというアドバンテージがなくてもロジクールブランドを選択するユーザーが増えてきたということか。
■単なるサプライメーカーではない!ロジクールは隠れたオーディオブランドだった
さきほどロジクールをPC周辺機器メーカーと紹介したが、同社は社内にオーディオの技術開発を行う「オーディオラボ」という施設を持っており、ロジクールブランドのオーディオ機器はそこで開発されている。
ロジクールのオーディオラボの母体は1982年に設立されたLabtec(ラブテック)というサブウーファーやボイスアクセスなどの独自技術を保有する音響系の会社。2001年にロジクールの本社であるLogitechに買収され、ロジクールの保有するPCに関する技術とLabtecの保有するオーディオ技術を融合させたビジネスとして、日本国内では2004年よりPCスピーカー市場に本格参入。今では定番になっている同社のiPodオーディオ市場への参入もその時期だ。
ロジクール製品の多くはスイスやアイルランドで開発されるが、オーディオ製品の開発に特化した施設であるオーディオラボは、米ワシントン州のバンクーバー(注・・・カナダではなくアメリカにある同名の地名)という地域にある。この施設には音響特性を測定する半無反響室やプロトタイプを短時間で製作する設備はもちろん、近年ではこの施設で測定レーザーをドライバーにあてることで音の歪みの原因となる振動箇所を特定するというレーザー・メジャーメント技術を導入し、より正確な音作りを行えるようになったという。
PCスピーカーといえどロジクール製品の根底には確かな技術力があり、同社のモノ作りに対する信頼性は高い。
■PCユーザーを熟知したメーカーならではの潔い音作り
2009年8月以降に発売された同社の新製品、Z-4の後継にあたる2.1chモデル「Z523」、小型2.1chモデル「Z323」、2chモデル「Z520」「Z320」で搭載された“360度サウンド”技術もロジクールオーディオラボの新技術。スピーカーの前方と後方に中高音域のドライバーユニットを配置することで、広い範囲で周波数や角度で音を均一に放射することが可能。部屋のどこにいても均一のクオリティで音楽を再生することができる。
一般的なオーディオ製品では音に指向性を持ち、スイートスポットでは良質な音楽体験ができるが、スポットを離れると音のバランスが悪くというのが普通。多くのオーディオメーカーがそうであるようにロジクールも以前までは指向性のあるスピーカーを発売してきたが、「パソコンやテレビで音楽を聴くリスナーはデスクの前に座っているだけではない。部屋のどこにいても、どこに置いても同じ品質の音が聴こえるスピーカーが求められている」(同社担当者)という考えから開発された製品だという。
純然たるオーディオ製品としてクオリティだけを追求するのではなく、PCやiPodなどのデジタル機器との親和性、コンシューマーのライフスタイルを考慮した上で、それに見合った最適なオーディオ技術を搭載していくという独自の方向性を突き進むロジクール。取材を行っていて、このニーズを的確にとらえるマーケティング力と、自社に開発部門を持つゆえに可能な対応の早さこそがユーザーに支持される最大の理由であるように感じた。
高機能マウスなどで有名なロジクールは1981年に設立したスイスのPC周辺機器メーカー。オーディオビジュアルに詳しいユーザーからみれば、ロジクールの製品がBOSE、ソニー、オンキヨーよりも一般受けしているという事実がいまいちピンとこないし、しかも売れているのが2.1chという省スペースという思想の逆をいく製品というのもよくわからない。
「Z-4」がロングセラーとなっている大きな要因には、口コミの評判がいいということが挙げられるが、評価の高い書き込みの内容をチェックしてみると「サブウーファーの重低音が素晴らしい」「この価格にして大満足」という感想にほぼ集約されている。どうやら人気の理由は「2.1ch」と「コストパフォーマンスの高さ」の2点にあるようだ。
■2.1chスピーカーが売れる理由
ビックカメラ有楽町店本館のPCスピーカーコーナーは、売場のおよそ4分の1のスペースをロジクール製品が占めている。谷口氏によると、「ロジクールといえば2.1ch」というほどサテライトスピーカーとサブウーファーをセットにした2.1chモデルでのシェアは圧倒的だという。2.1chPCスピーカーでは、「Z-4」をはじめとして「LS21」(2008年4月発売)、「Z523」(2009年8月発売)といったロジクール製品が売れ筋ランキングの上位を占める。2.1chを購入するユーザーは、やはりお店で音を聴いてその音域の広さに驚いて購入していくケースが多いという。2.1chならばPCだけでなくテレビなどに接続してゲームや映画を楽しむといった拡張性を備えているのも、ホームシアターへの関心が高まる今の時流にあっているようだ。
ちなみに、記者が売場で「Z-4」の人気ぶりを確かめようとしていたところ、ビックカメラのPCスピーカー売れ筋ベスト3が書かれた販促物を発見。そこには第1位 ロジクール「Z320」と書かれていた。「ちょっと前まではZ-4が売れていたが、最近は持ち歩きもできるコンパクトな2chタイプのZ320もよく売れるようになっている」と谷口氏。2.1chというアドバンテージがなくてもロジクールブランドを選択するユーザーが増えてきたということか。
■単なるサプライメーカーではない!ロジクールは隠れたオーディオブランドだった
さきほどロジクールをPC周辺機器メーカーと紹介したが、同社は社内にオーディオの技術開発を行う「オーディオラボ」という施設を持っており、ロジクールブランドのオーディオ機器はそこで開発されている。
ロジクールのオーディオラボの母体は1982年に設立されたLabtec(ラブテック)というサブウーファーやボイスアクセスなどの独自技術を保有する音響系の会社。2001年にロジクールの本社であるLogitechに買収され、ロジクールの保有するPCに関する技術とLabtecの保有するオーディオ技術を融合させたビジネスとして、日本国内では2004年よりPCスピーカー市場に本格参入。今では定番になっている同社のiPodオーディオ市場への参入もその時期だ。
ロジクール製品の多くはスイスやアイルランドで開発されるが、オーディオ製品の開発に特化した施設であるオーディオラボは、米ワシントン州のバンクーバー(注・・・カナダではなくアメリカにある同名の地名)という地域にある。この施設には音響特性を測定する半無反響室やプロトタイプを短時間で製作する設備はもちろん、近年ではこの施設で測定レーザーをドライバーにあてることで音の歪みの原因となる振動箇所を特定するというレーザー・メジャーメント技術を導入し、より正確な音作りを行えるようになったという。
PCスピーカーといえどロジクール製品の根底には確かな技術力があり、同社のモノ作りに対する信頼性は高い。
■PCユーザーを熟知したメーカーならではの潔い音作り
2009年8月以降に発売された同社の新製品、Z-4の後継にあたる2.1chモデル「Z523」、小型2.1chモデル「Z323」、2chモデル「Z520」「Z320」で搭載された“360度サウンド”技術もロジクールオーディオラボの新技術。スピーカーの前方と後方に中高音域のドライバーユニットを配置することで、広い範囲で周波数や角度で音を均一に放射することが可能。部屋のどこにいても均一のクオリティで音楽を再生することができる。
一般的なオーディオ製品では音に指向性を持ち、スイートスポットでは良質な音楽体験ができるが、スポットを離れると音のバランスが悪くというのが普通。多くのオーディオメーカーがそうであるようにロジクールも以前までは指向性のあるスピーカーを発売してきたが、「パソコンやテレビで音楽を聴くリスナーはデスクの前に座っているだけではない。部屋のどこにいても、どこに置いても同じ品質の音が聴こえるスピーカーが求められている」(同社担当者)という考えから開発された製品だという。
純然たるオーディオ製品としてクオリティだけを追求するのではなく、PCやiPodなどのデジタル機器との親和性、コンシューマーのライフスタイルを考慮した上で、それに見合った最適なオーディオ技術を搭載していくという独自の方向性を突き進むロジクール。取材を行っていて、このニーズを的確にとらえるマーケティング力と、自社に開発部門を持つゆえに可能な対応の早さこそがユーザーに支持される最大の理由であるように感じた。