パソコン・USB-DAC・パワードスピーカーがPCオーディオの最小三点セット
PCの中の音源を高音質で楽しみたい!
パソコンの中に音楽ファイルがあるなら、
「PCオーディオ」を始める準備はもう半分以上完了している
パソコンやネットワークを活用した新しいオーディオシステム。なんて書くともういきなり「難しそう」と感じてしまう方もいるかもしれない。仰々しいオーディオ機器を揃えてパソコンやネットワークの細かな設定をクリアしないと始められなくて、気軽には楽しめない。そんなイメージだ。
でも実際には、「まずはパソコンを使ったオーディオってどんなものか試してみたい」というときには、嘘みたいに高価なオーディオ機器も、呪文みたいに難解なパソコンの設定も必要ない。パソコンの中に音楽ファイルが保存してあるなら、準備はもう半分以上完了しているのだ。
例えばiPhoneやiPodを使っている人はその条件をすでに満たしている。iPodに音楽を転送するために、iTunesというソフトを使って音楽CDからパソコンに音楽ファイルを読み込む作業をしているはずだ。すると自然に、パソコンの中に音楽ライブラリが作られているのである。
そのiTunesのライブラリから曲を選んで再生開始すれば、パソコンのスピーカーから音楽が流れてくる。それはもうPCオーディオへの第一歩なのだ。
だけれどさすがにそれだけでは、いい音を楽しむための「オーディオ」っぽくないと感じるだろう。どうしてだろうか。
まずはパソコンの内蔵スピーカーやイヤホンで聴くのは、気分的にも音質的にも、オーディオと言うには物足りない。パソコンに外付けのスピーカーを追加するのがオーディオの本当の一歩めと言えるだろう。おすすめは何かと手軽なパワードスピーカーだ。
次には、パソコンからより正確な音声信号を引き出してパワードスピーカーに送り出すUSB-DAC。これも効果の大きい重要アイテムだ。
パソコン・USB-DAC・パワードスピーカー。PCオーディオの最小三点セットとしてここではそれをご提案したい。
■パワードスピーカー:つなぐだけで音が劇的に変わる
さてまずはパワードスピーカーから説明しよう。パソコンやDACから送られてきた音声信号を内蔵アンプ回路で増幅して、スピーカー自身を力強くドライブしてくれる。
アンプとスピーカーが一体化されているので、その間の配線は不要だし、アンプの置き場所も不要。パソコンのディスプレイの左右にスピーカーを置けばよいだけだ。
接続も、本当に最初の最初としては、パソコンのヘッドホン出力端子とパワードスピーカーの入力端子を、音声ケーブルを使ってつなぐだけ。聴いてみれば、ノートパソコンや液晶ディスプレイの狭いスペースに押し込まれているスピーカーとは、音の厚みや空間の広がりは別世界である。オーディオ的感動の端緒を味わえるだろう。
その感動の大きさはパワードスピーカーの性能に左右される。もちろん予算に余裕があればそれなりの価格帯のものから選択した方が良い結果を得やすい。しかしオーディオブランドからも1万円程度の製品が投入されており、十分に楽しめる音を達成している。
また購入の際にはスピーカーの大きさも重要項目。狭いデスクに大きなスピーカーを無理に押し込めると、普通に不便だし、視覚的な圧迫感のせいでむしろ音楽を楽しめないかもしれない。要検討だ。
■USB-DAC:データをより正確に音楽信号にできる
ふたつめのキーアイテムはUSB-DACだ。
USBは様々な周辺機器をパソコンに接続して利用するための汎用接続端子。プリンタやデジカメの接続でおなじみのアレである。
DACはDigital Analog Converterの略で、デジタル記録されている音声をアナログ信号に変換して出力するオーディオ回路・機器のこと。ここではひとまず「音楽再生の上流で重要な処理を行う必須回路で再生音質に大きく影響する」ことを理解してほしい。
そしてUSB-DACというのは、パソコンのUSB端子に接続して使うDACのことだ。接続の流れとしては、パソコン→USB-DAC→パワードスピーカーとなる。
でも、パソコンだけでもスピーカーやヘッドホンから音が出るということは、パソコンの中にも(再生に必須の回路である)DACは内蔵されているわけだ。だったらどうしてわざわざUSB-DACを使うのか?
それはもちろん音が良くなるから。パソコン内蔵のDACは限られたスペースやコストの中で設計されており、音質重視にはなっていない。加えてパソコン内は電気的ノイズが乱れ飛ぶ環境で、DACを精密に動作させるのには適していない。
対してUSB-DACはそれらの制限から解放されるし、パソコンにも内蔵されている回路をわざわざ外付けで別売するのだから、内蔵DACを圧倒する音質や機能でないと商品として成立しない。USB-DACを使うことで再生音質の向上を見込めるのは、そういうわけなのだ。
USB-DACも価格や大きさの選択肢は多すぎるほどある。入門用としては2万円程度のコンパクトな製品がおすすめしやすい。ヘッドホンアンプも内蔵されていることが多く、ヘッドホンリスニングも一緒に高音質化できる。
というわけでだいたい3万円からの最小三点セットで、パソコンのみとは別世界の「オーディオ!」を実感できるシステムがデスクの上に出来上がる。CDから読み込んだ音楽ライブラリをどんどん再生してみて、そこに秘められていたオーディオ的な魅力を味わっていこう。
高橋敦 プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。
「PCオーディオ」を始める準備はもう半分以上完了している
パソコンやネットワークを活用した新しいオーディオシステム。なんて書くともういきなり「難しそう」と感じてしまう方もいるかもしれない。仰々しいオーディオ機器を揃えてパソコンやネットワークの細かな設定をクリアしないと始められなくて、気軽には楽しめない。そんなイメージだ。
でも実際には、「まずはパソコンを使ったオーディオってどんなものか試してみたい」というときには、嘘みたいに高価なオーディオ機器も、呪文みたいに難解なパソコンの設定も必要ない。パソコンの中に音楽ファイルが保存してあるなら、準備はもう半分以上完了しているのだ。
例えばiPhoneやiPodを使っている人はその条件をすでに満たしている。iPodに音楽を転送するために、iTunesというソフトを使って音楽CDからパソコンに音楽ファイルを読み込む作業をしているはずだ。すると自然に、パソコンの中に音楽ライブラリが作られているのである。
そのiTunesのライブラリから曲を選んで再生開始すれば、パソコンのスピーカーから音楽が流れてくる。それはもうPCオーディオへの第一歩なのだ。
だけれどさすがにそれだけでは、いい音を楽しむための「オーディオ」っぽくないと感じるだろう。どうしてだろうか。
まずはパソコンの内蔵スピーカーやイヤホンで聴くのは、気分的にも音質的にも、オーディオと言うには物足りない。パソコンに外付けのスピーカーを追加するのがオーディオの本当の一歩めと言えるだろう。おすすめは何かと手軽なパワードスピーカーだ。
次には、パソコンからより正確な音声信号を引き出してパワードスピーカーに送り出すUSB-DAC。これも効果の大きい重要アイテムだ。
パソコン・USB-DAC・パワードスピーカー。PCオーディオの最小三点セットとしてここではそれをご提案したい。
■パワードスピーカー:つなぐだけで音が劇的に変わる
さてまずはパワードスピーカーから説明しよう。パソコンやDACから送られてきた音声信号を内蔵アンプ回路で増幅して、スピーカー自身を力強くドライブしてくれる。
アンプとスピーカーが一体化されているので、その間の配線は不要だし、アンプの置き場所も不要。パソコンのディスプレイの左右にスピーカーを置けばよいだけだ。
接続も、本当に最初の最初としては、パソコンのヘッドホン出力端子とパワードスピーカーの入力端子を、音声ケーブルを使ってつなぐだけ。聴いてみれば、ノートパソコンや液晶ディスプレイの狭いスペースに押し込まれているスピーカーとは、音の厚みや空間の広がりは別世界である。オーディオ的感動の端緒を味わえるだろう。
その感動の大きさはパワードスピーカーの性能に左右される。もちろん予算に余裕があればそれなりの価格帯のものから選択した方が良い結果を得やすい。しかしオーディオブランドからも1万円程度の製品が投入されており、十分に楽しめる音を達成している。
また購入の際にはスピーカーの大きさも重要項目。狭いデスクに大きなスピーカーを無理に押し込めると、普通に不便だし、視覚的な圧迫感のせいでむしろ音楽を楽しめないかもしれない。要検討だ。
■USB-DAC:データをより正確に音楽信号にできる
ふたつめのキーアイテムはUSB-DACだ。
USBは様々な周辺機器をパソコンに接続して利用するための汎用接続端子。プリンタやデジカメの接続でおなじみのアレである。
DACはDigital Analog Converterの略で、デジタル記録されている音声をアナログ信号に変換して出力するオーディオ回路・機器のこと。ここではひとまず「音楽再生の上流で重要な処理を行う必須回路で再生音質に大きく影響する」ことを理解してほしい。
そしてUSB-DACというのは、パソコンのUSB端子に接続して使うDACのことだ。接続の流れとしては、パソコン→USB-DAC→パワードスピーカーとなる。
でも、パソコンだけでもスピーカーやヘッドホンから音が出るということは、パソコンの中にも(再生に必須の回路である)DACは内蔵されているわけだ。だったらどうしてわざわざUSB-DACを使うのか?
それはもちろん音が良くなるから。パソコン内蔵のDACは限られたスペースやコストの中で設計されており、音質重視にはなっていない。加えてパソコン内は電気的ノイズが乱れ飛ぶ環境で、DACを精密に動作させるのには適していない。
対してUSB-DACはそれらの制限から解放されるし、パソコンにも内蔵されている回路をわざわざ外付けで別売するのだから、内蔵DACを圧倒する音質や機能でないと商品として成立しない。USB-DACを使うことで再生音質の向上を見込めるのは、そういうわけなのだ。
USB-DACも価格や大きさの選択肢は多すぎるほどある。入門用としては2万円程度のコンパクトな製品がおすすめしやすい。ヘッドホンアンプも内蔵されていることが多く、ヘッドホンリスニングも一緒に高音質化できる。
というわけでだいたい3万円からの最小三点セットで、パソコンのみとは別世界の「オーディオ!」を実感できるシステムがデスクの上に出来上がる。CDから読み込んだ音楽ライブラリをどんどん再生してみて、そこに秘められていたオーディオ的な魅力を味わっていこう。
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。