7モデルを短期集中試聴
DSD対応USB-DAC一斉レビュー<第1回>ラトック「RAL-DSDHA1」「RAL-DSDHA2」
本日から展開する、DSDネイティブ再生対応USB-DACの一斉試聴企画。今回は全部で7機種もの対応モデルを試聴した。その中からまずは、ラトックシステムから矢継ぎ早に登場して話題を集めている2モデルのレポートをお届けしたい。
■実売6万円でDSDネイティブ再生に対応した「RAL-DSDHA1」
そのひとつ「RAL-DSDHA1」(関連ニュース)は、192kHz/24bitまでのリニアPCMと、DoP(DSD Audio over PCM Flames)方式のDSD音源に対応するUSB-DACだ。
WASAPIモードにも対応しており、Windows 7やVistaではさらなる高音質再生が可能となっている。そのかわり(特にDSDに対応するため)、「RAL-24192HA1」のようにWindowsの標準ドライバーでは動作せず、付属するUSB Audio Class 2.0ドライバーをインストールする必要がある。なお、Macについては標準でUSB Audio Class 2.0ドライバーが搭載されているので、新たなドライバーのインストールは不要だ。
実売6万円前後のミドルクラス製品ながらDSD再生に対応しているというトピックだけでも十分に魅力的な「RAL-DSDHA1」。しかし、最大の注目ポイントといえば、Wolfson製DAC「WM8742」が生み出すサウンドだろう。
高級オーディオ製品などに採用実績のあるこの高性能DACは、PCMだけでなくDSDにも対応しているため、フォーマット変換などの前段階なしにネイティブにD/A変換を行うことができるのだ。これは大きなアドバンテージと言える。また、「WM8742」の高いクオリティを活かしきるため、内部に2個の単体クロックモジュール(22.5792MHz、24.576MHz)を搭載。再生する音楽データのサンプルレートに合わせてクロックモジュールをセレクトし、より正確なタイミングでD/A変換を行うことで、歪の少ないアナログ波形を生成しているという。
ユーザビリティの面でも、ちょっとした工夫が施されている。入力はUSBのみ、出力はフロントパネルのヘッドホン端子とリアパネルのアナログRCAのみと、USB-DACとしてはごくオーソドックスな構成。フロントパネルにはLEDランプのインジケーターが装備されていて、現在再生されている音源の種類やサンプリングレートがひと目で分かるようになっている。
さらに便利なのがボリュームコントロールだ。USB-DACに付属しているボリュームはヘッドホン出力だけをコントロールし、RCA出力はパススルーしているものが多いが、本機はRCA出力のボリュームもコントロールできるようになっている。ボリューム調節の無いパワーアンプや、ボリューム調整がしづらいパワードスピーカーなどを利用する場合は、大いに重宝する。
さて、気になるサウンドを確認すべく、まずはリニアPCM音源を再生してみる。音色傾向としては、芯のしっかりした力強い、フォーカス感の高いサウンド。音楽を躍動的に奏でてくれている。解像感も高く、表現も丁寧だが、何よりもノリの良さ、グルーブ感の高さが格別といえる。丁寧な作りによって「WM8742」ならではの実力をしっかりと引き出している印象だ。
続いてDSD音源を聴いてみると、こちらは力強さやフォーカス感の高さを保ちつつも、さらに密度感の高い、中域にしっかりした厚みを感じられるサウンドとなった。そのため、ボーカルがいつもより数段感情豊かに、印象強く聴こえる。おかげで、音楽への埋没度もかなり高い。夢中になって聴き込みたくなる、上質なサウンドだ。
ちなみに、同じ曲でPCMとDSDを比較試聴してみたが、両者の特徴がしっかりと感じられ、共に素性の良いサウンドであることもわかった。Wolfsonの「WM874x」シリーズはクオリティの高さ、音楽性の優秀さから根強い人気があるものの、実力を十分発揮させるのはなかなか難しいとも聞く。「WM8742」の良さを存分に味わえるという点でも、「RAL-DSDHA1」は大いに魅力的な製品といえるだろう。
■バランス駆動ヘッドホン端子を搭載する上位機「RAL-DSDHA2」
もうひとつの製品、先日デビューしたばかりの「RAL-DSDHA2」(関連ニュース)は、「RAL-DSDHA1」のさらに上級に位置するUSB-DAC。外観のデザインも似ており、型番も「1」と「2」が異なるだけなので両者は大差ないようにも見えるが、機能性も内部のメカニズムも、かなり異なっている。比較的オーソドックスなシステムを採用する「RAL-DSDHA1」に対し、「RAL-DSDHA2」はDSD対応に加えてバランス駆動ヘッドホン出力や外部クロック入力を用意するなど、最新の注目トピックがいろいろ盛り込まれた、豪勢な仕様となっているのだ。
当然ながら、その回路構成もだいぶ異なっている。入力がUSBのみという点は「RAL-DSDHA1」と変わらないが、出力はバランス駆動ヘッドホン、標準ヘッドホン、アナログRCAの3タイプを用意。このうちヘッドホン2系統には、それぞれ独立したパワーアンプを搭載する。さらには出力コンデンサを使用しないOCL回路を採用することで、全帯域で誇張のない、フラットな周波数特性を実現しているという。
アナログRCA出力および2系統のヘッドホン出力は、フロントパネルのいちばん右にある電子ボリュームによって音量調整ができるようになっていて、この点は「RAL-DSDHA1」と変わらない。また、2系統のヘッドホン端子の横にもそれぞれボリュームが搭載されているが、これは各ヘッドホンの出力レベルのプリセット用となる。一般的なパワーアンプの入力レベルプリセット用のボリュームと目的は同じで、出力先(RCA/バランスヘッドホン/アンバランスヘッドホン)を切り替えるたびにメインボリュームを操作する必要がないように、各出力のレベルをあらかじめ調整しておくためのものだ。よって、これらのボリュームは基本的には右回り最大の位置に固定しておき、日常的な音量調節はギャングエラーのない電子式のメインボリュームを用いるのがよい。
外部クロックの入力に対応している点も「RAL-DSDHA2」の注目すべきポイントだ。「RAL-DSDHA2」は内部に10MHzの基準クロックを搭載しており、こちらから直接DACへクロック信号を供給するシステムを採用している。一方で外部クロック接続用のコネクタも用意しており、同社製のルビジウムクロック「RAL-RbOSC1K」などの外部クロック製品を接続することが可能となっているのだ。これによって、さらに精度の高いD/A変換が可能となっている。
このように回路構成が「RAL-DSDHA1」とはだいぶ異なる「RAL-DSDHA2」だが、音質のキモとなるDACもアップグレードされている。同じWolfson製DAC「WM874x」シリーズながら、最上級の「WM8741」を採用することで、さらなるハイクオリティ・サウンドを追求している。
ここまでの仕様を見ただけでも、俄然期待が高まるというもの。というわけで、さっそく試聴を行った。まずは標準ヘッドホン出力から。音色傾向としては、骨子のしっかりした、フォーカス感の高いサウンドで、音楽を躍動的に感じさせてくれるイメージ。特に、女性ボーカルがいい。八代亜紀(『夜のアルバム』1曲目/フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン)を聴くと、彼女ならではの太く熱いボーカルが、たっぷりした厚みとともに美しいハーモニーも感じられ、思わず歌声に酔いしれてしまった。
続いてバランスヘッドホン出力を試聴した。ここで念のため、バランス駆動について簡単に説明しておきたい。通常のヘッドホンは何故かマイナス側がL/Rで共有となっている。そして、ケーブルがステレオなのに3線のみ(スピーカーならステレオで4線必要なのはご承知のとおり)となっているのだが、これをL/Rでセパレートすることで音質の向上を狙ったのがバランス駆動ヘッドホンと呼ばれるシステムなのだ。
取材ではゼンハイザーのHD650に、ラトックシステムがオヤイデ電気とコラボレート展開するHD650用バランス型ヘッドホンケーブルを付け替えて試聴を行った。セパレーションが大幅に向上したことに加え、S/N感もかなり良好となったことから、細部のニュアンス表現がさらに感じられるようになった。空間表現も素晴らしく、演奏に奥行きや広がりを感じられる。これだけのアップグレードを体感させられたら、癖になりそうだ。
DSDとPCMのフォーマットの違いによる音質差についても検証した。両者のキャラクターの違いは確かに感じられたものの、どちらが良いというわけでなく、あくまでも好みのレベル程度の差に感じられた。これは「RAL-DSDHA2」が両者の違いを表現しづらいというのではなく、リニアPCM側のクオリティが非常に優れているためであろうと想像できる。リニアPCM系のハイレゾ音源をメインに楽しみたいという場合であれば、「RAL-DSDHA2」を選び、バランスヘッドホンで聴くのがベストかもしれない。
そうそう、ルビジウムクロック「RAL-RbOSC1K」を使っての外部クロックも試聴してみたが、こちらは反則技といいたくなるくらいの音質向上を見せた。特にフォーカス感の高さやキレの良さについては、全くの別製品に思えるほど。おかげで、ジャズやハードロックなどグルーブ感の良好さが重要なジャンルが、さらに魅力的なサウンドとなった。外部クロック、なかでも「RAL-RbOSC1K」などのルビジウムクロックは、とても高価なアイテムだけに、導入には大いに悩むところだが、その効果は見逃せない。
本機の外部クロック端子にクロックを接続したところ
同社のルビジウムクロック・キット「RAL-RbOSC1K」と組み合わせて試聴を行った。非常に高価なクロックだが、その効果は絶大
■DSDネイティブ対応はもちろん、音質にも注目
このように、「RAL-DSDHA1」と「RAL-DSDHA2」は、単にDSD対応というだけでなく、Wolfson製DACの特徴を活かしきった魅力的なサウンドを聴かせてくれる、良質な製品だと感じた。しかも「RAL-DSDHA2」に至っては、バランス駆動ヘッドホン対応、外部クロック対応という、さらなる圧倒的な魅力も付加されている。いっぽうでDSD対応ながら実売6万円前後の「RAL-DSDHA1」も捨てがたい。どちらを取っても、悩ましくも嬉しい新製品であることは確かだ。
野村ケンジ
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。
■実売6万円でDSDネイティブ再生に対応した「RAL-DSDHA1」
そのひとつ「RAL-DSDHA1」(関連ニュース)は、192kHz/24bitまでのリニアPCMと、DoP(DSD Audio over PCM Flames)方式のDSD音源に対応するUSB-DACだ。
WASAPIモードにも対応しており、Windows 7やVistaではさらなる高音質再生が可能となっている。そのかわり(特にDSDに対応するため)、「RAL-24192HA1」のようにWindowsの標準ドライバーでは動作せず、付属するUSB Audio Class 2.0ドライバーをインストールする必要がある。なお、Macについては標準でUSB Audio Class 2.0ドライバーが搭載されているので、新たなドライバーのインストールは不要だ。
実売6万円前後のミドルクラス製品ながらDSD再生に対応しているというトピックだけでも十分に魅力的な「RAL-DSDHA1」。しかし、最大の注目ポイントといえば、Wolfson製DAC「WM8742」が生み出すサウンドだろう。
高級オーディオ製品などに採用実績のあるこの高性能DACは、PCMだけでなくDSDにも対応しているため、フォーマット変換などの前段階なしにネイティブにD/A変換を行うことができるのだ。これは大きなアドバンテージと言える。また、「WM8742」の高いクオリティを活かしきるため、内部に2個の単体クロックモジュール(22.5792MHz、24.576MHz)を搭載。再生する音楽データのサンプルレートに合わせてクロックモジュールをセレクトし、より正確なタイミングでD/A変換を行うことで、歪の少ないアナログ波形を生成しているという。
ユーザビリティの面でも、ちょっとした工夫が施されている。入力はUSBのみ、出力はフロントパネルのヘッドホン端子とリアパネルのアナログRCAのみと、USB-DACとしてはごくオーソドックスな構成。フロントパネルにはLEDランプのインジケーターが装備されていて、現在再生されている音源の種類やサンプリングレートがひと目で分かるようになっている。
さらに便利なのがボリュームコントロールだ。USB-DACに付属しているボリュームはヘッドホン出力だけをコントロールし、RCA出力はパススルーしているものが多いが、本機はRCA出力のボリュームもコントロールできるようになっている。ボリューム調節の無いパワーアンプや、ボリューム調整がしづらいパワードスピーカーなどを利用する場合は、大いに重宝する。
さて、気になるサウンドを確認すべく、まずはリニアPCM音源を再生してみる。音色傾向としては、芯のしっかりした力強い、フォーカス感の高いサウンド。音楽を躍動的に奏でてくれている。解像感も高く、表現も丁寧だが、何よりもノリの良さ、グルーブ感の高さが格別といえる。丁寧な作りによって「WM8742」ならではの実力をしっかりと引き出している印象だ。
続いてDSD音源を聴いてみると、こちらは力強さやフォーカス感の高さを保ちつつも、さらに密度感の高い、中域にしっかりした厚みを感じられるサウンドとなった。そのため、ボーカルがいつもより数段感情豊かに、印象強く聴こえる。おかげで、音楽への埋没度もかなり高い。夢中になって聴き込みたくなる、上質なサウンドだ。
ちなみに、同じ曲でPCMとDSDを比較試聴してみたが、両者の特徴がしっかりと感じられ、共に素性の良いサウンドであることもわかった。Wolfsonの「WM874x」シリーズはクオリティの高さ、音楽性の優秀さから根強い人気があるものの、実力を十分発揮させるのはなかなか難しいとも聞く。「WM8742」の良さを存分に味わえるという点でも、「RAL-DSDHA1」は大いに魅力的な製品といえるだろう。
■バランス駆動ヘッドホン端子を搭載する上位機「RAL-DSDHA2」
もうひとつの製品、先日デビューしたばかりの「RAL-DSDHA2」(関連ニュース)は、「RAL-DSDHA1」のさらに上級に位置するUSB-DAC。外観のデザインも似ており、型番も「1」と「2」が異なるだけなので両者は大差ないようにも見えるが、機能性も内部のメカニズムも、かなり異なっている。比較的オーソドックスなシステムを採用する「RAL-DSDHA1」に対し、「RAL-DSDHA2」はDSD対応に加えてバランス駆動ヘッドホン出力や外部クロック入力を用意するなど、最新の注目トピックがいろいろ盛り込まれた、豪勢な仕様となっているのだ。
当然ながら、その回路構成もだいぶ異なっている。入力がUSBのみという点は「RAL-DSDHA1」と変わらないが、出力はバランス駆動ヘッドホン、標準ヘッドホン、アナログRCAの3タイプを用意。このうちヘッドホン2系統には、それぞれ独立したパワーアンプを搭載する。さらには出力コンデンサを使用しないOCL回路を採用することで、全帯域で誇張のない、フラットな周波数特性を実現しているという。
アナログRCA出力および2系統のヘッドホン出力は、フロントパネルのいちばん右にある電子ボリュームによって音量調整ができるようになっていて、この点は「RAL-DSDHA1」と変わらない。また、2系統のヘッドホン端子の横にもそれぞれボリュームが搭載されているが、これは各ヘッドホンの出力レベルのプリセット用となる。一般的なパワーアンプの入力レベルプリセット用のボリュームと目的は同じで、出力先(RCA/バランスヘッドホン/アンバランスヘッドホン)を切り替えるたびにメインボリュームを操作する必要がないように、各出力のレベルをあらかじめ調整しておくためのものだ。よって、これらのボリュームは基本的には右回り最大の位置に固定しておき、日常的な音量調節はギャングエラーのない電子式のメインボリュームを用いるのがよい。
外部クロックの入力に対応している点も「RAL-DSDHA2」の注目すべきポイントだ。「RAL-DSDHA2」は内部に10MHzの基準クロックを搭載しており、こちらから直接DACへクロック信号を供給するシステムを採用している。一方で外部クロック接続用のコネクタも用意しており、同社製のルビジウムクロック「RAL-RbOSC1K」などの外部クロック製品を接続することが可能となっているのだ。これによって、さらに精度の高いD/A変換が可能となっている。
このように回路構成が「RAL-DSDHA1」とはだいぶ異なる「RAL-DSDHA2」だが、音質のキモとなるDACもアップグレードされている。同じWolfson製DAC「WM874x」シリーズながら、最上級の「WM8741」を採用することで、さらなるハイクオリティ・サウンドを追求している。
ここまでの仕様を見ただけでも、俄然期待が高まるというもの。というわけで、さっそく試聴を行った。まずは標準ヘッドホン出力から。音色傾向としては、骨子のしっかりした、フォーカス感の高いサウンドで、音楽を躍動的に感じさせてくれるイメージ。特に、女性ボーカルがいい。八代亜紀(『夜のアルバム』1曲目/フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン)を聴くと、彼女ならではの太く熱いボーカルが、たっぷりした厚みとともに美しいハーモニーも感じられ、思わず歌声に酔いしれてしまった。
続いてバランスヘッドホン出力を試聴した。ここで念のため、バランス駆動について簡単に説明しておきたい。通常のヘッドホンは何故かマイナス側がL/Rで共有となっている。そして、ケーブルがステレオなのに3線のみ(スピーカーならステレオで4線必要なのはご承知のとおり)となっているのだが、これをL/Rでセパレートすることで音質の向上を狙ったのがバランス駆動ヘッドホンと呼ばれるシステムなのだ。
取材ではゼンハイザーのHD650に、ラトックシステムがオヤイデ電気とコラボレート展開するHD650用バランス型ヘッドホンケーブルを付け替えて試聴を行った。セパレーションが大幅に向上したことに加え、S/N感もかなり良好となったことから、細部のニュアンス表現がさらに感じられるようになった。空間表現も素晴らしく、演奏に奥行きや広がりを感じられる。これだけのアップグレードを体感させられたら、癖になりそうだ。
DSDとPCMのフォーマットの違いによる音質差についても検証した。両者のキャラクターの違いは確かに感じられたものの、どちらが良いというわけでなく、あくまでも好みのレベル程度の差に感じられた。これは「RAL-DSDHA2」が両者の違いを表現しづらいというのではなく、リニアPCM側のクオリティが非常に優れているためであろうと想像できる。リニアPCM系のハイレゾ音源をメインに楽しみたいという場合であれば、「RAL-DSDHA2」を選び、バランスヘッドホンで聴くのがベストかもしれない。
そうそう、ルビジウムクロック「RAL-RbOSC1K」を使っての外部クロックも試聴してみたが、こちらは反則技といいたくなるくらいの音質向上を見せた。特にフォーカス感の高さやキレの良さについては、全くの別製品に思えるほど。おかげで、ジャズやハードロックなどグルーブ感の良好さが重要なジャンルが、さらに魅力的なサウンドとなった。外部クロック、なかでも「RAL-RbOSC1K」などのルビジウムクロックは、とても高価なアイテムだけに、導入には大いに悩むところだが、その効果は見逃せない。
本機の外部クロック端子にクロックを接続したところ
同社のルビジウムクロック・キット「RAL-RbOSC1K」と組み合わせて試聴を行った。非常に高価なクロックだが、その効果は絶大
■DSDネイティブ対応はもちろん、音質にも注目
このように、「RAL-DSDHA1」と「RAL-DSDHA2」は、単にDSD対応というだけでなく、Wolfson製DACの特徴を活かしきった魅力的なサウンドを聴かせてくれる、良質な製品だと感じた。しかも「RAL-DSDHA2」に至っては、バランス駆動ヘッドホン対応、外部クロック対応という、さらなる圧倒的な魅力も付加されている。いっぽうでDSD対応ながら実売6万円前後の「RAL-DSDHA1」も捨てがたい。どちらを取っても、悩ましくも嬉しい新製品であることは確かだ。
野村ケンジ
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。