DSDや192/24再生対応
マランツ、60周年記念のUSB-DAC/ネットオーディオプレーヤー「NA-11S1」【情報追加】
ディーアンドエムホールディングスは、マランツブランドのUSB-DAC/ネットワークオーディオプレーヤー「NA-11S1」を2月下旬より発売する。価格は346,500円(税込)。
昨年5月にドイツのオーディオショウ「HIGHEND」で公開された商品が、ついに正式発表された。マランツのブランド60周年記念モデルとしてリリースする。
■USB-DAC/ネットワークオーディオ機能を搭載
本機はDSD再生対応のUSB-DAC機能と、192kHz/24ビット対応のネットワークオーディオプレーヤー機能を備えたプレーヤー。
USB-DAC機能は、ASIOドライバーを使う方法とDoP方式の、2つの方法によるDSDネイティブ再生に対応。DSDは公式には2.8MHzまでの対応となっているが、実際には5.6MHzまで対応可能。PCM信号は最大192kHz/24ビットまで対応。もちろんアシンクロナス伝送に対応している。搭載しているDACは電流出力型のバーブラウン製「DSD1792A」。
ネットワークオーディオプレーヤー機能はDLNA 1.5に対応し、MP3/WMA/AAC/WAV/FLAC/Apple Lossless ファイルの再生が可能。WAV/FLACは192kHz/24ビット、Apple Losslessは96kHz/24ビットのファイル再生が可能。またWAV/FLACのギャップレス再生にも対応した。
ネットワーク関連ではAirPlayにも対応し、PC/MacのiTunesやiOS機器の音声を、本機にワイヤレスで飛ばして再生することができる。さらにインターネットラジオ「vTuner」も利用可能だ。
そのほかデジタル入力では、同軸デジタル/光デジタル端子を各1系統装備。最大192kHz/24ビットの音声入力に対応する。また、同じく192kHz/24ビットのPCM出力が可能な同軸デジタル/光デジタル出力端子も各1系統を備えている。
さらに前面にはUSB-A端子を装備。iPodやiPhoneの音声をデジタル入力することができる。充電も同時に行い、充電中にNA-11S1がスタンバイモードに入った場合も、完全に充電されるまで充電を続ける。
■こだわりのデジタルオーディオ回路
本日開催された製品発表会にて、マランツの澤田氏は本機を「“ネットワークソリューションにおいて、マランツのHi-Fiはどうあるべきなのか”を形にしたモデル」と表現。本機はSACDプレーヤー「SA-11S3」と外観はほとんど同じであるが、明確な開発コンセプトの違いがあり、「音源ソースを本体の中に持ち自己完結するディスクプレーヤーと異なり、ネットワークプレーヤーは音源ソースを本体の中に持たず、外部機器と繋がるもの。外部機器からのノイズを徹底的に抑えるため、ノイズコントロールを重視した」と説明した。“アイソレーション”と“フィルタリング”を重要なポイントとして開発を行ったという。
USB-DAC機能では「コンプリート・アイソレーション・システム」を搭載。PCからのノイズ流入を抑制するため、デジタルアイソレーターを8素子・18回路備えた。また、PCとの接続時には、USB-B入力インターフェース基板のグラウンドを、メイン基板やシャーシから完全に分離。信号ラインやグラウンドを電気的に絶縁している。アースを含めて一切本体の中には直流のコネクションがなく、「ここまで徹底的な設計を施したのは初めて」と澤田氏は語る。
それ他のUSB-A端子やイーサネット、同軸デジタル、光デジタル端子については、ハイブリッドPLLジッター・リデューサーを搭載し、デジタル音声信号のクロックをリクロックしてジッターを低減する。またDSPやUSBコントローラーICそれぞれの電源ラインにデカップリングコンデンサーを挿入するなどノイズ対策を徹底し、高周波ノイズの影響を抑えている。
クロック回路は、SA-11S3と同様の超低位相雑音クリスタルを搭載。ジッターレベルを従来のクリスタルに比べ約1/10に抑えた。なおクリスタルを1基搭載していたSA-11S3とは異なり、本機の場合は44.1Hz系(88.2kHz/176.4kHzなど)と48kHz系(96kHz/192kHzなど)それぞれに適したクロックを供給できるよう、専用のクリスタルを2基搭載した。
オーディオ用のDSPはオリジナルの「PEC777f3」で、SA-11S3にも搭載されたもの。DACに内蔵されたフィルター機能は使用せず、マランツ独自のアルゴリズムによるオーバーサンプリング、デジタルフィルター、DCフィルター、ノイズシェーパー機能を開発、実装した。これらを総称して「Marantz Musical Mastering」という名称が付けられている。なおデジタルフィルターは2種類が用意されている。
■アナログオーディオ回路はフルバランス・ディファレンシャル構成
アナログステージには、SA-11S3と同様のフルバランス・ディファレンシャル構成の回路を採用するが、ネットワークプレーヤー用にチューニングの値を±15に変更した。マランツ独自の高速アンプモジュールHDAM/HDAM-SA2を採用し、すべてディスクリート回路で構成。I/V変換部から出力バッファーアンプまでのアナログステージはすべてフルバランス回路とする。アンバランス出力とバランス出力は完全に同等グレードという。またバランス出力のHOT/COLDを音質劣化なしに切り替えるデジタル位相反転機能も備えた。
オペアンプを一切使用しないフルディスクリートのヘッドホンアンプも搭載。こちらも回路構成をネットワークプレーヤー用に変更している。HDAM-SA2を採用することで、メインのアナログオーディオ出力回路との相互干渉を抑制。またヘッドホンアンプへの信号はバランス出力回路のマイナス側から分岐させ、アンバランス出力への影響を排除した。なお、本機ではリレーを使って出力回路から切り離すヘッドホン・オフモードは省略したという。
消費電力が大きいことや、USB-A端子経由でデバイスをチャージする電力をまかなう必要があるため、電源部には大容量トロイダルコアトランスを装備。SA-11S3のものからさらにコアサイズを大きくしたという。トランスは銅メッキシールドケースに封入して不要輻射を抑制。さらに珪素鋼板のシールドを加えてノイズを抑えた。捲き線は高純度OFCを仕様。なお二次捲き線はアナログオーディオ回路、DAC、ネットワークインターフェイス、USB-Bインターフェースそれぞれに専用のものを採用した。
アナログ回路とDAC電源用のブロックケミコンには、マランツ専用のカスタムパーツを採用。これもSA-11S3に採用されたものと同じもので、端子素材に銅を使用している。
アンバランス出力端子は銅の削り出し。熟練工が手作業で切削加工する特注品。もちろん金メッキが施されている。
筐体の剛性にもこだわった。5mm厚のアルミトップカバーや銅メッキシャーシ、ダブルレイヤードシャーシといったおなじみの仕様を備えたほか、インシュレーターはアルミダイキャストを採用した。前面には日本語表示対応の有機ELディスプレイも装備する。
そのほか、本体操作はiOS/Android用アプリ「Marantz Remote App」に対応。スマートフォンで本機の電源オン/オフや入力切替、PC/NAS内の楽曲閲覧や再生指示など各種操作が行える。
“これぞまさにDSD再生”と感じられる製品を、マランツ60周年記念モデルとして発表できた
ディーアンドエムホールディングスの上田氏は、「1953年にマランツが誕生してから今年で60年。アナログオーディオの時代を経て、CDの登場によるデジタルオーディオの時代、さらに音楽ファイルによる再生と、音楽コンテンツの形が変わっていくたびにマランツはエポックメイキングな製品を発表してきた」とこれまでの歴史を振り返り、今回発表したNA-11S1について「ユーザーが、“これぞまさにハイレゾ音源、DSD再生”と心の底から感じられる製品に仕上がったと思う」と述べた。
また、内部の設計思想について説明を行った澤田氏は「NA-11S1は、外観は似ているがSA-11S3のメカレス版ではない。開発コンセプトは“USB-DAC/ネットオーディオプレーヤーの決定版”で、ネットワークプレーヤーとして外部機器からのノイズを徹底的にマスクしたのが大きなポイント。“アナログに近いデジタル”、本機ではそれに近いDSD再生ができるようになったと思う」とした。
さらに「音楽再生のソースとして、世界的にダウンロード音源の比率があがってきている中で、マランツのHi-Fiはどう対応していくか? それを形にしたのがNA-11S1であり、60周年を記念するモデルとして納得できるソリューションを発表できたことに大きな意味がある」と語った。
製品発表会の最後には、本機の試聴デモが行われた。PC内のPCM/WAV音源のほか、上述の通りスペック上では対応が明言されていないDSD 5.6MHz音源の再生も実施。なお、フロントディスプレイにはDSD再生時に「DSD 2.8224MHz」の表示がされるが、DSD 5.6MHz音源の再生時は2.8MHz以上の音源であることを表すために不等号の>マークが表示される。
【問い合わせ先】
(株)ディーアンドエムホールディングス
D&M お客様相談センター
TEL/0570-666-112
昨年5月にドイツのオーディオショウ「HIGHEND」で公開された商品が、ついに正式発表された。マランツのブランド60周年記念モデルとしてリリースする。
■USB-DAC/ネットワークオーディオ機能を搭載
本機はDSD再生対応のUSB-DAC機能と、192kHz/24ビット対応のネットワークオーディオプレーヤー機能を備えたプレーヤー。
USB-DAC機能は、ASIOドライバーを使う方法とDoP方式の、2つの方法によるDSDネイティブ再生に対応。DSDは公式には2.8MHzまでの対応となっているが、実際には5.6MHzまで対応可能。PCM信号は最大192kHz/24ビットまで対応。もちろんアシンクロナス伝送に対応している。搭載しているDACは電流出力型のバーブラウン製「DSD1792A」。
ネットワークオーディオプレーヤー機能はDLNA 1.5に対応し、MP3/WMA/AAC/WAV/FLAC/Apple Lossless ファイルの再生が可能。WAV/FLACは192kHz/24ビット、Apple Losslessは96kHz/24ビットのファイル再生が可能。またWAV/FLACのギャップレス再生にも対応した。
ネットワーク関連ではAirPlayにも対応し、PC/MacのiTunesやiOS機器の音声を、本機にワイヤレスで飛ばして再生することができる。さらにインターネットラジオ「vTuner」も利用可能だ。
そのほかデジタル入力では、同軸デジタル/光デジタル端子を各1系統装備。最大192kHz/24ビットの音声入力に対応する。また、同じく192kHz/24ビットのPCM出力が可能な同軸デジタル/光デジタル出力端子も各1系統を備えている。
さらに前面にはUSB-A端子を装備。iPodやiPhoneの音声をデジタル入力することができる。充電も同時に行い、充電中にNA-11S1がスタンバイモードに入った場合も、完全に充電されるまで充電を続ける。
■こだわりのデジタルオーディオ回路
本日開催された製品発表会にて、マランツの澤田氏は本機を「“ネットワークソリューションにおいて、マランツのHi-Fiはどうあるべきなのか”を形にしたモデル」と表現。本機はSACDプレーヤー「SA-11S3」と外観はほとんど同じであるが、明確な開発コンセプトの違いがあり、「音源ソースを本体の中に持ち自己完結するディスクプレーヤーと異なり、ネットワークプレーヤーは音源ソースを本体の中に持たず、外部機器と繋がるもの。外部機器からのノイズを徹底的に抑えるため、ノイズコントロールを重視した」と説明した。“アイソレーション”と“フィルタリング”を重要なポイントとして開発を行ったという。
USB-DAC機能では「コンプリート・アイソレーション・システム」を搭載。PCからのノイズ流入を抑制するため、デジタルアイソレーターを8素子・18回路備えた。また、PCとの接続時には、USB-B入力インターフェース基板のグラウンドを、メイン基板やシャーシから完全に分離。信号ラインやグラウンドを電気的に絶縁している。アースを含めて一切本体の中には直流のコネクションがなく、「ここまで徹底的な設計を施したのは初めて」と澤田氏は語る。
それ他のUSB-A端子やイーサネット、同軸デジタル、光デジタル端子については、ハイブリッドPLLジッター・リデューサーを搭載し、デジタル音声信号のクロックをリクロックしてジッターを低減する。またDSPやUSBコントローラーICそれぞれの電源ラインにデカップリングコンデンサーを挿入するなどノイズ対策を徹底し、高周波ノイズの影響を抑えている。
クロック回路は、SA-11S3と同様の超低位相雑音クリスタルを搭載。ジッターレベルを従来のクリスタルに比べ約1/10に抑えた。なおクリスタルを1基搭載していたSA-11S3とは異なり、本機の場合は44.1Hz系(88.2kHz/176.4kHzなど)と48kHz系(96kHz/192kHzなど)それぞれに適したクロックを供給できるよう、専用のクリスタルを2基搭載した。
オーディオ用のDSPはオリジナルの「PEC777f3」で、SA-11S3にも搭載されたもの。DACに内蔵されたフィルター機能は使用せず、マランツ独自のアルゴリズムによるオーバーサンプリング、デジタルフィルター、DCフィルター、ノイズシェーパー機能を開発、実装した。これらを総称して「Marantz Musical Mastering」という名称が付けられている。なおデジタルフィルターは2種類が用意されている。
■アナログオーディオ回路はフルバランス・ディファレンシャル構成
アナログステージには、SA-11S3と同様のフルバランス・ディファレンシャル構成の回路を採用するが、ネットワークプレーヤー用にチューニングの値を±15に変更した。マランツ独自の高速アンプモジュールHDAM/HDAM-SA2を採用し、すべてディスクリート回路で構成。I/V変換部から出力バッファーアンプまでのアナログステージはすべてフルバランス回路とする。アンバランス出力とバランス出力は完全に同等グレードという。またバランス出力のHOT/COLDを音質劣化なしに切り替えるデジタル位相反転機能も備えた。
オペアンプを一切使用しないフルディスクリートのヘッドホンアンプも搭載。こちらも回路構成をネットワークプレーヤー用に変更している。HDAM-SA2を採用することで、メインのアナログオーディオ出力回路との相互干渉を抑制。またヘッドホンアンプへの信号はバランス出力回路のマイナス側から分岐させ、アンバランス出力への影響を排除した。なお、本機ではリレーを使って出力回路から切り離すヘッドホン・オフモードは省略したという。
消費電力が大きいことや、USB-A端子経由でデバイスをチャージする電力をまかなう必要があるため、電源部には大容量トロイダルコアトランスを装備。SA-11S3のものからさらにコアサイズを大きくしたという。トランスは銅メッキシールドケースに封入して不要輻射を抑制。さらに珪素鋼板のシールドを加えてノイズを抑えた。捲き線は高純度OFCを仕様。なお二次捲き線はアナログオーディオ回路、DAC、ネットワークインターフェイス、USB-Bインターフェースそれぞれに専用のものを採用した。
アナログ回路とDAC電源用のブロックケミコンには、マランツ専用のカスタムパーツを採用。これもSA-11S3に採用されたものと同じもので、端子素材に銅を使用している。
アンバランス出力端子は銅の削り出し。熟練工が手作業で切削加工する特注品。もちろん金メッキが施されている。
筐体の剛性にもこだわった。5mm厚のアルミトップカバーや銅メッキシャーシ、ダブルレイヤードシャーシといったおなじみの仕様を備えたほか、インシュレーターはアルミダイキャストを採用した。前面には日本語表示対応の有機ELディスプレイも装備する。
そのほか、本体操作はiOS/Android用アプリ「Marantz Remote App」に対応。スマートフォンで本機の電源オン/オフや入力切替、PC/NAS内の楽曲閲覧や再生指示など各種操作が行える。
“これぞまさにDSD再生”と感じられる製品を、マランツ60周年記念モデルとして発表できた
ディーアンドエムホールディングスの上田氏は、「1953年にマランツが誕生してから今年で60年。アナログオーディオの時代を経て、CDの登場によるデジタルオーディオの時代、さらに音楽ファイルによる再生と、音楽コンテンツの形が変わっていくたびにマランツはエポックメイキングな製品を発表してきた」とこれまでの歴史を振り返り、今回発表したNA-11S1について「ユーザーが、“これぞまさにハイレゾ音源、DSD再生”と心の底から感じられる製品に仕上がったと思う」と述べた。
また、内部の設計思想について説明を行った澤田氏は「NA-11S1は、外観は似ているがSA-11S3のメカレス版ではない。開発コンセプトは“USB-DAC/ネットオーディオプレーヤーの決定版”で、ネットワークプレーヤーとして外部機器からのノイズを徹底的にマスクしたのが大きなポイント。“アナログに近いデジタル”、本機ではそれに近いDSD再生ができるようになったと思う」とした。
さらに「音楽再生のソースとして、世界的にダウンロード音源の比率があがってきている中で、マランツのHi-Fiはどう対応していくか? それを形にしたのがNA-11S1であり、60周年を記念するモデルとして納得できるソリューションを発表できたことに大きな意味がある」と語った。
製品発表会の最後には、本機の試聴デモが行われた。PC内のPCM/WAV音源のほか、上述の通りスペック上では対応が明言されていないDSD 5.6MHz音源の再生も実施。なお、フロントディスプレイにはDSD再生時に「DSD 2.8224MHz」の表示がされるが、DSD 5.6MHz音源の再生時は2.8MHz以上の音源であることを表すために不等号の>マークが表示される。
【問い合わせ先】
(株)ディーアンドエムホールディングス
D&M お客様相談センター
TEL/0570-666-112
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