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防音・調音で音環境を良くする!

”ハコ”の響きが音質を左右する − 日東紡音響エンジニアリングが作り上げた「音のよい部屋」

公開日 2011/09/22 18:03 ホームシアターファイル編集部
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特集「音環境をよくする!」の〈実例紹介編〉では、ホームシアターとオーディオを見事に両立し、音環境が整えられた空間、福岡県S邸を紹介します。ホームシアター/オーディオルームの設計はプロフェッショナルユースのスタジオの設計で知られる日東紡音響エンジニアリング。プロユースで培ったノウハウが凝縮されたホームシアター/オーディオルーム、さっそく見ていきましょう。

“ハコ”の響きが音質を左右する

オーナーのSさんは住まいの新築にあたって、ホームシアターとオーディオが両立できる空間づくりを決意した。ホームシアターとオーディオに長年親しんできたSさんがたどりついた結論は、部屋の片方の面をピュアオーディオに使い、もう片方の面をホームシアターとして使うというレイアウトである。部屋の中央をリスニングポイントにして、椅子の向きを変えることによって、ある時は音楽を、ある時は映画を楽しむ、そんなスタイルを構想した。

この構想を持ってSさんが門を叩いたのは、スタジオ設計で名高い日東紡音響エンジニアリングである。「音質を左右する最大の要因は“ハコ”」と考えていたSさんが音響設計のプロフェッショナルに依頼したのは当然の成り行きだった。

Sさんの要望は、ピュアオーディオ優先で音づくりをすること、デッド過ぎないようにして音の響きを活かすことである。映画視聴に関しては音質よりも映像への没入感を優先したいという考えから出てきた要望だ。これを受けて、日東紡音響エンジニアリングは吸音と拡散のバランスをシミュレートし、設計を行った。

スクリーン手前の一段上がっている部分は防振ゴムを用いて、浮かせており、サブウーファーの重低音による振動を防いでいる

部屋の中心をリスニングポイントにして、椅子の向きを変えることによって、ホームシアターとオーディオを両立させる

住まいの設計の初期の段階から、音響設計も開始したため、天井の高さの調整や、躯体の厚みを本来より厚くすることにより遮音量を稼ぎ、トータルコストの削減にも成功している。このように住まい全体の設計と絶妙にマッチして計画は進んでいく。スピーカー等のレイアウトはSさんが決めていたが、その位置でパフォーマンスを最大限に引き出すための設計は日東紡音響エンジニアリングが担った。その結果、ホームシアターとオーディオが両立し、音環境が整備された空間が誕生した。


ホームシアター側はややデッド気味に音場をつくりあげた。サウンドは7.1chで、ITU-Rのサラウンドの推奨にほぼ近い設置となっている

オーディオ側は音を豊かに響かせるために拡散中心に設えた。スピーカーが照明で仄かに照らし出されるなど、演出にも凝っている
ホームシアターに関しては、スピーカーはサランネットの裏に隠し、暗闇の中にただ映像のみが浮かび上がるスタイルとなっている。ホームシアター側は吸音を優先させ、ややデッド気味に設えた。オーディオ側は逆に拡散を優先させ、音の響きを活かすスタイルとなっている。TAD-Reference Oneの周囲には、壁のない理想的な音場と言われている森の音響効果を室内で実現するSylvanを設置し、音の広がりを重視した。

柱状拡散体Sylvanは左右それぞれ4本、合計8本を使用する

壁面には拡散体が設置されている。その左側のサランネットの奥に、ホームシアター用のサラウンドスピーカーが納められている

実際に視聴させていただいたが、ホームシアターでは闇の中に浮かび上がる映像に没入できると同時に、サラウンドの豊かな音の響きを楽しめる。オーディオではTADのエネルギッシュなサウンドが程よくコントロールされ、緻密で心地よい響きを楽しめる。解像度の高さと、響きの心地よさが両立する空間。「音を楽しむには”ハコ”の響きが最も重要」と語るSさんの言葉の意味が、はっきりと理解できる。音響設計のプロだからこそ実現した“音のよい部屋”である。

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