もしもアップルがテレビを作ったら − いくつかの予想と考察、そして妄想
Apple TVは、iPhoneやiPad、PC/Macありきの製品です。もちろん単独でもリモコンを備え、基本的な操作は行えますが、日本語の漢字変換すら同梱リモコンでは行えず、iOSアプリ「Remote」を使わなければなりません。
またApple TVで見られる動画コンテンツは、iTunes Storeの映画/テレビドラマ配信がメインです(米国はNetflix対応なので多少事情が異なります)。日本の場合、まだまだiTunes Storeのコンテンツは少ないので、iOSデバイスやPC/Macから動画をワイヤレス配信する「AirPlay」が活躍する頻度が高くなります。
Apple TVは、単体で使うと不完全な商品と言っても良いくらいです。iPhoneやiPadと組み合わせて、はじめてその魅力を発揮します。
iPhoneやiPadによって製品の魅力を高めるという考え方は、当然、アップルが薄型テレビを開発する際にも重要になります。数億単位のiOSデバイスがこれまでに販売されているのですから、これを活用しない手はありません。
他社には、あくまでテレビを主軸に据え、スマートフォンやタブレットをそのコンパニオンデバイスと位置づけているメーカーもあります。一方のアップルはこれまでテレビを発売したことはなく、この分野では新参者。スタート地点や技術/インフラ資産が大きく異なります。iOSデバイスで確固たる地歩を築いたアップルは、むしろテレビをiPhoneやiPadのコンパニオンデバイスとして位置づけるに違いありません。
■「Apple TV内蔵テレビ」でも十分魅力的?
「アップルが作る薄型テレビ」では、Apple TVでできることは当然行えるでしょう。
つまり、AirPlayに対応して動画をワイヤレス再生でき、iTunes Storeにアクセスして動画をレンタルすることも可能。またホームシェアリングでネットワーク内のメディアファイルを再生することもできるでしょうし、iCloudのフォトストリームを表示することも可能になるはずです。さらに、iPhoneやiPadで再生した動画の続きを、テレビで即座に見るといったレジューム再生も自由自在です。
さて、Apple TVは外付けユニットですが、この機能をテレビに内蔵するだけでも、その魅力は大きく高まります。
たとえばiPhoneで面白い動画を見つけたとき、テレビの大きな画面で見たい、と思うことは多いもの。Apple TVでこれを実現する場合、まずテレビの電源を付け、HDMIの入力切替を行い…といった操作が必要でした。わずか2ステップと言われそうですが、これが面倒で再生を諦めることも、少なくとも私の場合は多々あります。
テレビにAirPlay機能が内蔵されていれば、Wake On Lanのような仕組みでテレビの電源を入れ、AirPlay再生画面を表示させるところまでをワンステップで行うこともできるはずです。
またiPhoneやiPadの最新機種では、画面をテレビにミラーリング表示する「AirPlayミラーリング」を搭載しています。これもiOSデバイスのタップだけでテレビの電源が入り、表示がはじまれば、活躍の機会が増えることは確実です。
個人的には、Apple TVが内蔵・統合されていて、他社製のテレビと価格差が大きく無ければ、それだけでもかなり魅力的に感じます。