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NASのメリットとデメリットとは?

【海上忍のAV注目キーワード辞典】第2回:NAS − 「nasne」で盛り上がる注目ジャンルを改めて知る

公開日 2012/06/15 11:40 海上 忍
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【第2回:NAS】

そもそもPC用周辺機器として登場した「NAS(ナス)」は、LANの普及も手伝ってAV機器の外部記憶装置としても利用されはじめた。また、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)からは「nasne」という注目機も発表されている。今回は、そうしたNASについて解説してみよう。

■『NAS』のメリットとデメリット

NASは「Network Attached Storage」の略で、文字どおりネットワークに接続して使用するハードディスクのこと。装備されたEthernetポートにLANケーブルをつなぎ、ルータや集線装置(ハブ)を介してLANに接続すれば、パソコンからは「LAN上に存在するファイルサーバ」として認識される。

アイ・オー・データのNAS“RECBOX”

日立マクセルからはiVスロット搭載NAS“Family Max”という製品も

パソコンでは、大容量記憶装置をUSBやFireWireなどのケーブルで接続し利用するが、その場合それぞれの規格によりケーブル長が制限される。たとえばUSB 2.0の場合、機器間のケーブル長は5mまで。1台のパソコンに排他的に接続するため、その間は他のパソコンから利用できない。

一方、NASの実体はファイルサーバであるため、“1対多”の接続が可能だ。たとえば、パソコンAとパソコンBから同時に同じNASを読み書きできるし、一般的にLANケーブルはつないだまま運用するため、別のパソコンで使うときケーブルを差し替える必要がない。同じプロトコル(TCP/IP)で通信できれば有線/無線を問わず接続できるので、ケーブル長は問題になりにくい。もちろん、パソコンに限らずLAN対応機であればAV機器からもアクセスできる。

NASは消費電力量も少なく常時起動が前提のため、いつでも気軽に読み書きできる点が特徴。ネットワークオーディオの記憶装置として利用すれば、CD数千枚分のPCM音源やロスレス音源をストックしておくこともできる。

ただし、メリットばかりではない。読み書き速度は、シリアルATAやFireWire 800など高速な接続方式に比べれば見劣りするうえ、LANの規格に左右される。

ギガビットイーサネット(1000BASE-T/TX、最大1Gbps)は高速なものの、ルータやハブなどネットワーク機器もギガビットイーサネット対応にする必要があるため、安価な100BASE-T/TX機器(最大100Mbps)に比べてコストが嵩む。加えて、ネットワークへの接続が大前提のため、不正アクセスなどセキュリティ問題が発生する可能性もゼロではない。

■NASの新時代を拓くデバイスたち − TVチューナー搭載の「nasne」

前述したとおり、NASは他の機器から見れば「LAN上に存在するファイルサーバ」だが、その実体は「小さなコンピュータ」だ。小型ながらもCPUやメモリを搭載し、LinuxなどのOSにより動作する。多くの機種はファイルサーバの機能に特化した設計のため、パソコンとは異なりマウスやキーボードで操作されることはないものの、パソコンのようにソフトウェアで機能拡張できるところがポイントだ。

特にメディア機能を持たせることは、個人向けNAS製品の定番機能になりつつある。たとえば、バッファローやアイ・オー・データ機器などから販売されているNASの多くにはDLNAサーバ(DMS)が搭載され、テレビなどのDLNAプレーヤー(DMP)搭載機から視聴することができる。この場合、NASが動画の保管庫になるわけだ。そしてDLNA対応のNASがDTCP-IPもサポートしていれば、地上デジタル放送やBS・CS放送など著作権保護対策が施された番組を保存しておくことも可能になる。こうなると、NASといえども(Blu-rayなど光学ドライブ非搭載の)ハードディスクレコーダーに近い存在となる。

最近では、スマートフォン/タブレットとの連携をうたうNASも増えている。バッファローは同社製NASの「LinkStation」「TeraStation」シリーズの一部機種向けに、スマートフォンアプリ(iOS用には「WebAccess i」、Android OS用には「WebAccess A」)を提供、写真や音楽などのコンテンツを外出先から自由に読み書きできるようにしている。従来は据え置き型のパソコンやAV機器向けの周辺機器と理解されてきたNASだが、今後はホームサーバ的な役割が強化される方向にある。

バッファロー“LinkStation”

バッファロー製NASのLinkStation/TeraStationシリーズ向けには、スマートフォンアプリが提供されている

先日、SCEからユニークな製品が発表された。その名も「nasne(ナスネ)」、NASとしての基本機能に加え、地上/BS/110度CSデジタルチューナ各1基を搭載したNASの一種だ。

nasne

500GBのハードディスクを内蔵、そこにテレビ番組を録画すれば、DTCP-IPに対応したDLNAプレイヤー(DMP)から鑑賞できる。録画予約や各種制御には、PS3アプリ「torne」(ver4.0以降)を使うしくみだ。

このnasneには、HDMIなどの映像/音声出力が用意されていない。ファイルサーバという汎用的な使い方も可能だが、テレビ番組の録画/再生というメディア機能を強調したNASなのだ。同社はnasneを「ネットワークレコーダー&メディアストレージ」と呼ぶが、そのネーミングからしても、NASの一種と考えて差し支えないだろう。

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