【特別企画】編集部記者がイベントへ突撃
“音のDAIKEN”が「音のいい部屋」作りをレクチャー −「いい音・いい部屋体感ツアー」参加レポート
「音のスペシャリストが「音のいい部屋」作りをレクチャー |
イベントは音のスペシャリストである同社建築音響部の井上氏が講師に立ち、ホームシアター導入にあたっての部屋作りのポイントを解説。防音/調音/遮音のことだけでなく、光による映り込み、適切なスクリーンサイズの選び方など、専用室、リビングにおいてそれぞれで注意すべきポイントやメリット・デメリットを紹介する。
特に、近年増えているリビングでのホームシアターについては「リビングの部屋の特性ということで遮音を最初から諦めてしまう方もいらっしゃいますが、そんなことは決してなく、リビングでも色々な音対策が可能です」とコメント。実際に音を出し、その場で部屋全体の響きを調整するなど、同社製品を使ってのデモンストレーションを行った。
そして、音響設計の基準のひとつとなる残響時間について「音が60dB減衰するのに必要な時間ということなのですが、部屋で手を叩いた音が消えるまでの時間だと思ってもらえればいいでしょう」と、専門的なことにあまり詳しくない来場者にも分かりやすいようかみ砕いた表現を用いながら基本をおさらい。
音の響きが長い「ライブ」な状態、音の響きが短い「デッド」な状態があること、また、ライブな状態からデッドな状態へは微調整も可能であることなども紹介する。
そして「一般的に、ホームシアターにはデッドな状態であるほうが合うとされていますが、それは何故か? 例えば、映画の中に広い野原で『おーい』と叫ぶシーンが出てきたとしましょう。壁も何もない野原で叫んでいるのに、その声が反響して自分に返ってきてしまうと違和感がありますよね」とコメント。部屋の響きが、ホームシアターの楽しみに大きく影響することを説明する。
その上で井上氏は、ホームシアターを導入する上で「残響時間の調整が最重要ポイントです。なかでも一番忘れていただきたくないのが天井です。もし予算的な制約があり、専用室(遮音・吸音された部屋=防音室)が難しいのであれば天井だけでも先に対策しておくことをオススメします」とアドバイス。天井で一次反射をある程度吸音できていれば、ある程度のレベルまでは後からでも追加対策をとることも可能だと語る。
また、会場となっている防音室の壁面に使用している調音材「オトピタ」を取り外し、部屋の響きがどう変わるのかという実験も実施。その違いを実際に味わった参加者から「おぉ!」と驚いた声が漏れるなど大きな反応を見ることができた。こうした体験をできるのも『体感』ツアーならではのこと。実体験を通して理解を深めながら「音と部屋に対するものさし」を自分の中に持てるというのは、かなり大きなメリットだと言えるのではないだろうか。